L→R 孝哉(Gu)、瀬希(Ba)、KAZ(Vo)、SHINYA(Dr)、克哉(Gu)

L→R 孝哉(Gu)、瀬希(Ba)、KAZ(Vo)、SHINYA(Dr)、克哉(Gu)

【SLOTHREAT インタビュー】
本物のヘヴィミュージックを
もっと幅広い層に届けたい

“世の中に対して抗う”が
歌詞の一貫したテーマとしてある

歌詞の話が出ましたので、歌詞についてもお訊きしたいです。本作の歌詞は“孤独感”や“痛み”“やるせなさ”などを描いた曲が多いのですが、そういったネガティブなことに押し潰されるなと歌っていることが印象的です。歌詞を読んで“戦う”ということがテーマとしてあるのかなと。

KAZ
はい。自分の中では全ての歌詞に一貫して“戦う”というか、“世の中に対して抗う”ということがテーマとしてあるんです。何に対しても抗うというのは強い意志が必要だし、抗い続けるのは難しいことだけど、僕もメンバーもそういう気持ちは持っていて、同じ気持ちを持っている人にも“共感と応援歌”としてのメッセージを受け取ってもらいたいです。ネガティブなことを描いていて中には落ち込んだ状態のままで終わる歌詞もあるけど、そういう曲はダークに聴こえすぎないような歌い方を工夫したりしています。

『THEMIS』は聴き応えのある曲が並んでいて、ジェントっぽい手法を活かした「Face It」や、ヘヴィネスとブラックミュージックに通じる洗練感を融合させた「軀謳」なども注目です。

克哉
「Face It」は個人的に“ザ・モダン”という曲だと思うんですよ。この曲は今回の制作の中でかなりあとのほうにできた曲で、アルバムに必要な残りのピースが“分かりやすくてモダンでキャッチーなもの”だったんです。僕らはいわゆる世の中がステレオタイプのイメージとして持っているモダンなヘヴィミュージックという部分をあまり見せてこなかったので、この曲は大々的に取り入れることにしました。ギターとかはもうずっと左手が動いているような感じだけど、構成とかをシンプルにして、分かりやすくすることを意識しましたね。あとは、アルバムとして統一しているアンビエント感を入れるためにエフェクティブなクリーントーンのギターを積極的に入れたり、ニューメタルっぽい要素も入れたりという感じで仕上げました。もう一曲の「軀謳」は、真新しい切り口かつどんな気分の時でも聞けるような曲が欲しくて作りました。さっき話した“矛盾を超越する”というテーマもある種かなり色濃く出ているかもしれません。ポップさとヘヴィネスの配合がかつてないバランス感なので。

“結果的にこういうものになりました”ではなく、狙いを定めて独創的な楽曲を作れるのは大きな強みですね。続いて、『THEMIS』のプレイ面について話しましょう。今作を録るにあたって、それぞれプレイやサウンド面などで大事にしたことは?

克哉
ギターは結構ファズを多用しました。代表的なところだと、「現人」のアウトロとか、「氷面鏡」のBメロの左右の壁や後半の間奏とか。「氷面鏡」はアルペジオフレーズだけど、ファズでバキバキにして、さらにワーミーを踏んだりして。あと、「明滅する記憶の代償」もオクターブファズとワーミーを使ったバースト系のトレモロリードフレーズを弾いたりしましたね。「現人」にもそういうリードフレーズを入れていて、さりげなくその2曲をリンクさせたりしています。僕は“汚し”に結構気を遣っているんです。二面性じゃないけど、SLOTHREATのきれいな側面に対して、汚くしてバランスを取りたいというのがあって。グチャグチャに汚すというところでファズが一番最初に出てきて、結構使いました。

SLOTHREATのようなモダンなサウンドの場合、ファズというチョイスはなかなか出てこないような気がします。ちなみに楽器のチューニングはどのくらい下げているんですか?

克哉
そうかもしれません。でも、僕の中ではファズだったんですよね。うちのバンドはギターのチューニングがベースの領域まで下がっていたりするんですよ。最低音はレギュラーチューニングの半音下げのオクターブ下なんです。

えっ、マジですか!?

克哉
はい(笑)。“ロー・ローE♭”(笑)。ここまで下げると、昨今世の中にはこれより下げているバンドもいますしチューニングに関してはペグを回すだけで落とせることなので、あまりチャームポイントとしての具体的な強調はしたくないのですが、大体ここまで下げるとプレイは大変ですね。ピッチの問題があるし、ピッキングの概念も変わりました。で、ファズにいったのは極端なダウンチューニングいう言ってしまえばただでさえ汚いものを、もっと汚くする点でも使えると思ったんです。振り切った音像を作れると。そうやって美しさと汚さの二面性をうまく出せたと思います。

本当にセンスがいいですね。『THEMIS』のギターは緻密なアンサンブルを構築していることも特色になっています。

孝哉
ギターパートは作曲者の克哉がデモを作る段階でバシッと仕上げてきて、それを僕も弾くような感じですけど、例えば「ILLUMINATE」は一緒にフレーズ作りもしました。あとは、ライヴでは基本的に僕がリードを弾いて克哉がバッキングを弾くという編成で、克哉が作ってきた曲に自分が上モノを足すこともありして、今作の中で「軀謳」だけはギターソロを取り入れているのですが、それは自分が克哉にこの曲にはギターソロがあればよりメリハリがつくと思うから入れたいと言ったんです。

「軀謳」のギターソロはエモーショナルなフレージングからリズミカルなツインリードに移行するという流れが秀逸ですし、音色もいいですね。

孝哉
ありがとうございます。今使っているギターはPUがハムバッカーですけど、僕はストラトのフロントPU(シングルコイル)で弾くリードの音とかがすごく好きなんですよ。ハムバッカーで図太くいくよりもピッキングがカリカリ鳴るような音が好きで、「軀謳」はそれを強調しました。あとは、僕は聴く分には好きなんですが自分がバンドの一員としてやる上では弾きすぎるギターソロがあまり好きじゃないけど、弾けないと思われるのは嫌なんですよね。なので、そこのバランスを気にしながらなおかつグルーブ感も感じられるように「軀謳」のソロは作りました。
瀬希
今作は前作と使っているベースが違っていて、前よりも音が全然良くなりました。Dingwallの6弦ベースを新たに入手して、ライヴで弾いたらすごく感触が良かったんですよ。なので、レコーディングでも使ってみたらすごく良かった。今まで以上に重くて、なおかつクリアーな音になりましたね。プレイ面では「ILLUMINATE」とか「Face It」とかはギターリフとのユニゾンが結構多くて、その辺りは聴いてほしいです。

ギターのチューニングが相当下がっているわけですが、ベースのチューニングはどうなっているのでしょう?

瀬希
ベースも一緒です。普通のベースの半音下げのオクターブ下です。

えええっ!! そ、それって普通のベースアンプで再生できる領域ですか?

瀬希
ギリギリできます(笑)。
克哉
ものによってはチューナーが反応しない時があるよね(笑)。
瀬希
うん(笑)。ダウンチューニングに対応するためにスーパーロングスケールのベースを使って、太い弦を張ってます。一番太い弦が145とかですね。ここまで低いとピッキングも重要になってくるので、そこも気をつけています。
SHINYA
ドラムに関しては、決して悪い意味ではなく一般的なバンドのドラムはキメだけ合わせて、ビートのフィーリングとかフィルとかは自由にいくことが多いと思いますけど、うちらの曲は一音一音全部に意味合いがあったりするんですよ。だから、ある意味好きなようには叩けない。なので、正直なところ今回のレコーディングはめちゃくちゃ苦戦しました(笑)。

OKMusic編集部

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