Editor's Talk Session

Editor's Talk Session

【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:コロナ禍を
背景にしたライヴハウスの発展

バンドの元気のなさに
未来が感じられなくなる

千々和
ART HOUSEでは9月から定額制のオンラインファンクラブを始めましたが、それはどのくらい前から動き出していたんですか?
西本
もともと3月くらいのタイミングで売り上げがほぼない状態になってしまった時に、若手アーティストのプロデュース業などをしている昔ながらのミュージシャンの友達から、ライヴ配信の他にも音楽番組っぽいことをやったりとか、音源を限定配信できたりとか、箱自体をオンライン上に作ってしまうアイディアをもらって、それを構築したんですよ。企画書を作りつつホームページの制作者に相談しながら、ようやくリリースできたのが9月なので半年くらいかかってますね。6月から無観客配信をやっていくために機材を揃えたりしたんですけど、国が新しい取り組みのためにお金を一部負担してくれるっていう制度があったんですよ。採択されないとお金はもらえないんですけど、採択されたので配信機材を急いで買い揃えて、8月いっぱいまではYouTubeで無料配信をしていました。
二位
反響はどうですか?
西本
言うてもローカルなライヴハウスで、地元バンドが中心って感じの箱でもあるから、規模的にえげつない件数の反響があるわけじゃないんですけど、出演者もお客さんもザワザワとはしてくれていると感じています。
石田
ネーミングが秀逸でした(笑)。
西本
“ART HOUSE Organization”で頭取って“AHO”っていう(笑)。アホみたいなことをやろうっていうコンセプトもありつつ、無理矢理に頭文字を作ってそうしています。
二位
今、気になっているのは、ライヴハウスのことは話題になるけど、ブッキング作業をやっていると若いバンドの元気のなさに未来が感じられなくなってくるんですよね。バンドマンが元気ないと、我々はどう頑張っても太刀打ちできないから、本当は店どうこうの前にバンドに勇気や魅力を見せられることをしなきゃいけないんじゃないかと。
石田
前回、しのくんが言ってたみたいに、コロナ禍が長引いてバンドを辞めてしまう子が増えてるのかもしれないですね。
篠塚
それは僕も感じてます。ライヴハウスが売り上げを立ってれないのって、要は“バンドが出演しないから”っていうのもあるんですよ。お客さんが来れないのもあるけど、単純に公演がないんです。ライヴハウスに出たいと思うバンドがいないから、需要がなくなったみたいな空気になって、どんどんライヴハウスが潰れていっているという。
二位
ライヴハウスが大変って前にバンドマンが大変なんだよね。さっきの西本さんの話じゃないけど、俺たちはバンドが元気だったら、世間の風潮がどうであれ、安全対策など工夫しながらやってると思うんですよ。でも、バンドが元気ないから世間の目も余計に気になるっていう流れはあるかもしれませんね。
篠塚
だからこそ、ART HOUSEがオンラインファンクラブを立ち上げたことでバンドやお客さんがザワザワしてくれたというのは、ほんとに素晴らしいことだと思うんですよ。バンドにとって必要のないものだったら、ライヴハウスなんてなくなってしまうわけだし。
二位
そうだね。でも、西本さん、経営的に考えたらめちゃめちゃ遠回りじゃないですか?
西本
そうですね、間違いないです(笑)。
二位
仮に今ワーッとお金が集まって、給付金とか援助もあって、それで半年持ったところで、その先にバンドがいてくれなかったらって考えると…ね。とりあえず延命はできるけど。
篠塚
結局は延命にしかなってないんですよね。文化として盛りあがっていかないと、ただ続いても限界が来る。

OKMusic編集部

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