L→R 陽哉(Dr)、ryuto(Support Ba)、泰輝(Vo&Gu)、茅津(Gu)

L→R 陽哉(Dr)、ryuto(Support Ba)、泰輝(Vo&Gu)、茅津(Gu)

【Bye-Bye-Handの方程式
インタビュー】
苦しい時間すらも愛おしいと
思えるようになった自分がいる

やっぱりバンドって
曲を作ったら一番成長する

「嘘ならファンファーレ」には“青春”って言葉も出てきますが、今作ではそういう根拠のない自信や衝動を大事にしている印象もあります。

茅津
そうですね。ギターに関しては、特にリード曲の「あの子と宇宙に夢中な僕ら」はあえて難しいフレーズを入れないように、ただ真っ直ぐに蒼さも若さも感じられるように意識しました。
陽哉
僕は泰輝が弾き語りで作った曲を聴いて、バッと頭の中に浮かんだものを音にする直感的な作り方をすることが多くて。変にいじるよりも、衝動的なほうが伝わると思っているので、そういう直感的なリズムが詰まっていると思いますね。

《僕の頭では宇宙戦争が始まっているよ》など、歌詞にも青臭さがありますね。

泰輝
そのフレーズには、今後曲を作る時にも通じるルールみたいなものがあって。今、「湿恋」を聴いても当時の気持ちが全然思い出せないんですよ。当初のことをリアルに書きすぎて、逆に今の自分に当てはまらない曲を作っちゃった感覚があったんです。だから、どの時期の自分にも当てはまるような曲を作りたいって思った時に、自分が好きなロックバンドの歌詞を読み返してみたら、ラブソングを書く時はノスタルジーと宇宙を混ぜるっていう方程式があると思って。そうすることによって、いつ聴いてもその気持ちが分かるようないい塩梅になるって気づいたんです。宇宙と恋愛の相性ってすごく良くて、美しいけど遠くて、近くもあるみたいな。それと好きな人を想う気持ちは何か似ているなと。今の大人が聴いてもちょっと昔を思い出すようなノスタルジーな風景とか、子供ながらの無敵感を出したかったんです。

アレンジはみなさんそれぞれのイメージで作っていくんですか?

陽哉
そうですね。各々が自由に考えてスタジオに持ち寄って合わせていきます。
泰輝
言葉で曲のイメージを伝えると、みんながいい意味で履き違えるというか。例えば“宇宙的な感じ”って言われたら、全員が思う宇宙があるわけじゃないですか。その履き違いで自分が思いもしなかったフレーズに出会えるので、イメージは伝えつつもプレイで応えていくっていう方法で作ってますね。

曲作りで言うと、途中でガラッと転調する「ちゃんと握って」は他の曲とはまた違ったんじゃないかと思ったのですが。

泰輝
僕が作った時点では後半のパートがなかったんですよ。使えないと思って保留しているフレーズがたくさんあるんですけど、その中のひとつを合体させて完成したんです。今作ではただポップスをやるんじゃなくて、ちょっと違和感のある要素や独特さを出したいっていうのがあったんですね。「ちゃんと握って」は一曲の中に抑揚があるからアルバム全体としても抑揚が生まれて、このアルバムの中で一番好きです。
茅津
同じメロディーでも違うリズムで作っていて、リフレインがない曲だからこそ、急に転調してもいい感じになったんじゃないかなと。でも、完成するまでは大変でしたね(笑)。
泰輝
クラシック的な要素があるというか、コード進行も和音がギターっぽくないんですよ。最初のリフもギターじゃ作れないと思ったのでピアノで誘導してイメージを伝えて、そこからギターに変換してもらったので。
茅津
ギターではあまりしない動きだったのですごく弾きづらくて。
泰輝
初めての制作方法だったから、一気に立ち止まりましたね。今までとは真逆で、自分が思い描いているイメージがありすぎて、“これじゃない”っていうのがたくさんあったので、今回の制作では一番難しかったです。
茅津
レコーディング時にギターが一本増えて、デモからアルペジオっぽいフレーズを付け足したりとか、残り5分のギリギリまで粘って作った曲です。
泰輝
うまくいけばめっちゃいい曲になるって分かってたからこそ突き詰められました。

全曲が新曲ってこともあって「ちゃんと握って」のような挑戦的な部分もあったと思うんですけど、ゲストヴォーカルを迎えた「甘えたいだけなのだ feat.asmi」に関してはいかがですか? フィーチャリングはこれまでにもやってきたことですよね。

泰輝
他のアーティストの曲でもフィーチャリングって結構好きなんですけど、インディーズとかアマチュアのバンドでやっているのって少ない気がしていて。ライヴでできないし、手間もかかるし、バンドっていう形態で考えるとなしだとは思うんです。でも、その音楽が“こんな服を着させてほしい”って言うんだったら絶対に着させるのが仕事だと思ってて。自分らがどうっていうのは二の次で、この曲に最適な服を着させてあげたいって考えた時に、asmiが自分で作った音源を送ってくれて。それを聴いた時にちょうどこのアルバムを作っていたので“入れたい!”と思って、急遽電話してお願いしました。

配信ライヴではすでに今作の楽曲を披露していますよね。何か感覚的に変わったことはありますか?

泰輝
圧倒的に演奏しやすくなりましたね。ライヴの空気感も作りやすくなったというか、僕たち的には全部が個性の強い曲やったので、絶妙に欲しいテンポ感が今回で埋まったような、バリエーションもすごく広がった感覚があって。やっぱりバンドって曲を作ったら成長するって毎回思うんですよね。曲が増えるごとにライヴがしやすくなって、良くなっていく。難しいこともやろうとするし、うまくもなるので良いことしか起きない。ライヴがすごく楽しくなって、安定感も増しましたね。

ryutoさんは演奏してみてどうですか?

ryuto
楽しいです!
泰輝
食い気味やったな(笑)
ryuto
もともと好きだし、自分がやりたいプレイができるバンドなので、願ったり叶ったりです。さっき話していたみたいに曲作りのやり方が独特だったりもするので、ちょっとテンパる時はあるんですけど、僕も感覚的にやることがあるので合ってる感じがします。

今後の意気込みはいかがですか?

泰輝
『Flowers』は外向きを意識したアルバムなので、また初めて聴いてくれる人に出会って、仲間を増やして違う場所に挑んでいくっていう目論見があります。そう思って作ったからには広く届いてほしいというか、これを機に僕たちの昔の曲を漁るのもありだし、この先の曲を楽しみにするのもありなので、聴いてくれる全員にとっての初めまして、改めましての一枚になるんじゃないかなと。ここで留まらずに次のアルバムでは“何これ?”って思わせることもあるだろうし、そういう変化を一緒に楽しめる仲間が増えたらいいなと思います。今までの僕らと違うことをやっても、“こういう音楽だから聴けない”じゃなくて、“Bye-Bye-Handがやるならこういう音楽もいいかも”みたいな、そういう信頼感も生まれたらなお嬉しいですね。まずやっとスタートを切れる一枚なので、“たくさんの人に出会ってしまえ!”と思ってます。
茅津
今後やりたいことのひとつとして、Bye-Bye-Hand主催でサーキットとか、大きなイベントをやりたいっていうのは目標としてあります。僕らだけで大きな会場でライヴをするっていうよりかは、もっと周りを巻き込んでひとつの舞台を作れるようになりたいです。
陽哉
早く走れなくても、長く走れたらいいというか。これはメンバーみんなと言ってることなんですけど、バンドとして長生きしたいと思ってます。先を見据えて行動するのが僕は苦手なので、その一点だけを見て進んでいけたらなと。
ryuto
今はただついていくって感じだけど、ベーシストとして期待に添えるように、ついていくだけじゃなくて、バンド全体をガッて底上げできたらと思っています。

取材:千々和香苗

ミニアルバム『Flowers』2020年9月9日発売 No Big Deal Records
    • NBPC-0080
    • ¥1,600(税抜)
    • ※TOWER RECORDS一部店舗およびオンラインにて発売中
Bye-Bye-Handの方程式 プロフィール

バイバイハンドノホウテイシキ:2015年5月に地元・大阪の中学の同級生で結成。さまざまなジャンルの音楽をロックに落とし込み、正直に“今”鳴らしたい音楽と新しいカッコ良さを追求する。20年3月には『No Big Deal Records Audition 2020』で優勝し、同年9月にNo Big Deal Recordsからミニアルバム『Flowers』を、翌21年3月には初の全国流通となるミニアルバム『ろまんす快速特急』をリリース。そして、21年1月にミニアルバム『すくーぷ』を発表した。Bye-Bye-Handの方程式 オフィシャルHP

「あの子と宇宙に夢中な僕ら」MV

ミニアルバム『Flowers』トレイラー

OKMusic編集部

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