映画「心が叫びたがってるんだ。」感動と青春がここにある!最高の青春群像劇

映画「心が叫びたがってるんだ。」感動と青春がここにある!最高の青春群像劇

映画「心が叫びたがってるんだ。」感
動と青春がここにある!最高の青春群
像劇

儚くも愛おしい。青春が詰まった映画「ここさけ」

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2015年に公開した映画『心が叫びたがってるんだ。(通称:ここさけ)』は、言いたいことが言えない高校生達の葛藤を描いた青春群像劇です。
人気アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない(通称:あの花)」の長井龍雪監督とそのスタッフが制作し、4人の高校生達の歯がゆくも愛おしい青春の物語。
映画の興行収入は11.2億円の大ヒットを記録し、第39回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞。
第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門・審査委員会推薦作品にも認定されました。
青春時代の輝きと甘酸っぱさ、そしてほろ苦さと感動を詰め込んだ本作の魅力を紹介していきます。
言葉を封じられた少女の秘めた想い
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主人公・成瀬順は、山の上のお城に憧れる、おしゃべりな女の子。
幼い日、彼女はお城から父が見知らぬ女性と出てくるところを目にし、そのことを母に話してしまいます。
父の不倫の発覚をきっかけに彼女の家族はバラバラに。
彼女は卵の妖精に呪いをかけられ、言葉を発すると腹痛に襲われるようになってしまいました。
高校生になってもしゃべれない彼女は、坂上拓実、田崎大樹、仁藤菜月と共に「ふれあい交流会」の実行委員に指名されてしまいます。
 
歌なら呪いが発動しないことに気づいた順は、自分の生い立ちを物語にした、ミュージカルにしたいと考えました。
次第に順の熱意と一生懸命さに胸打たれた実行委員3人は、彼女のミュージカルを成功させることを決意。
クラス全体も彼女を中心にまとまっていきます。
▲映画『心が叫びたがってるんだ。』本予告
しかし、本番前日にあることを知った順は胸が苦しくなり、行方をくらましてしまったのです。
果たしてふれあい交流会は、順はどうなってしまうのでしょうか?
魅力は、主人公の成長ドラマと染まりたくなる青春
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今作は親しみやすいメインキャラクターと声優陣の演技力も魅力の1つです。
過去のトラウマに縛られ、話そうとすると腹痛に見舞われる成瀬順(cv.水瀬いのり
順に優しく接し、彼女を応援する物静かな音楽男子・坂上拓実(cv.内山昴輝)
元カレとのうやむやな関係に悩み、自分をどう思っているか訊けない優等生・仁藤菜月(cv.雨宮天
ひじを負傷し、挫折と不満から周囲に攻撃的な態度をとるようになってしまった野球部のエース・田崎大樹(cv.細谷佳正
複雑な心を抱えた彼らを若手人気声優陣が繊細に演じています。
メインキャラ全員が言いたくても言えない気持ちの持ち主。
特に、順の心の葛藤が痛いほど伝わってきます。
彼女の声に出したくても出せないもどかしさ、言葉で人を傷つけてしまうことの不安や恐怖に、共感できる人は多いのではないでしょうか。
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彼女はそんな自分を理解してくれた拓実との出会をきっかけに、成長していきます。
勇気を出して気持ちを精一杯伝えることの大切さ、言葉で傷つくことを恐れず、ありのままの想いを伝えることの素晴らしさを本作から教えてもらえますよ。
クラスメートたちがいつのまにか順を応援していたように、一緒に応援しながら新たな一歩を踏み出したくなるでしょう。
それぞれが抱えていた言葉にできない気持ちや苦境と向き合い、みんなで成長していく。
その瑞々しい青春の青さに自分も染まりたくなる、映画『ここさけ』は、そんな魅力あふれる作品なのです。
彼女の王子様である拓実との恋の行方も注目です。
恋の甘酸っぱさとほろ苦さなど、青春のあらゆる要素がてんこ盛り。
観たら青春時代が懐かしくなりますよ。
リアルな感動が味わえる!実写版も素晴らしい
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今作は、2017年に中島健人主演で実写映画化されています。
成瀬順役に芳根京子、仁藤菜月役に石井杏奈、田崎大樹役を寛一郎が演じ、アニメに寄せたルックスとリアルな高校生らしい演技力で魅せてくれています。
実写版でも順がピュアで愛らしく、芳根京子の一生懸命さが伝わる演技が素晴らしいです。
また、アニメ版よりもサブキャラにも光が当たり、丁寧に描写されたミュージカルの準備シーンは、クラスの一体感がさらに際立っていました。
ミュージカル最後の歌唱シーンは、アニメ版と違う演出になっていて、深い感動に浸ることができますよ。
是非、アニメと見比べながら『ここさけ』の世界観をじっくり堪能してみてくださいね。
感動的なクライマックスを彩った劇中歌を紹介
今作では、ミュージカル「オズの魔法使い」のテーマ曲「Over the Rainbow」など、一度はどこかで聴いたことのある名曲が多く使われています。
どれも10代の不安定な気持ちを優しく包み込んでくれる、温かい音楽ばかりです。
心の中の言えない気持ちをメロディーや歌声なら伝えてくれる。
歌う人も聴く人も心が救われる。
映画を通して、歌には言葉を超える大きなパワーがあることを実感できますよ。
今回は、そんなミュージカルのクライマックスに使用された楽曲を紹介しましょう。
水瀬いのりの歌唱力に震える名曲「わたしの声」
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ミュージカル「青春の向こう脛」で順が、主人公の心の声役として歌った『わたしの声』です。
声を失った彼女の悲痛な叫びとこれから感じる孤独感を歌った曲で、流れた途端に世界に引き込まれる魅力があります。
音楽はイングランド民謡の「グリーンスリーブス」。
哀愁を誘うノスタルジックなメロディーと、水瀬いのりの伸びやかで透明感のある歌声が心に染みる名曲です。
映画では、失踪していた順が体育館の入り口からステージに向かってゆっくり歌いながら歩くシーンで使われました。
特に「わたしの声消えたこと みんな喜んだ みんなわたしを嫌ってるから」と歌いながら母親の席のそばに来たシーンは鳥肌ものです。
彼女が初めて母に本当の気持ちをぶつけ、母親もきちんと彼女の言葉に耳を傾けられた瞬間に感動すること間違いなし。
悔やむように涙を流す彼女の母に、つられて泣いてしまった人も多いのではないでしょうか。
これまで順が抱えていた辛さを「グリーンスリーブス」のゆったりとしたメロディーでしっかり伝えてくれる素晴らしい挿入歌です。
温かいフィナーレを彩る!最高のハーモニー
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ミュージカルのフィナーレを飾った『心が叫び出す』と『あなたの名前』です。
ミュージカルでは、ベートーベンのピアノソナタ第8番第2楽章「悲愴」と、ミュージカル「オズの魔法使い」のテーマ曲「OVER THE RAINBOW」のメロディーを同時に演奏しています。
この曲ができたのは、悲しい結末を考えていた順が、ハッピーエンドにしたい気持ちを持てるようになったことがきっかけでした。
拓実は、彼女の感じた気持ち両方を歌にしようと決意。
押し込んでいた感情があふれ出す悲しい歌と希望に満ちた歌を、同時に演奏することを提案したのです。
『心が叫びだす』は、王子様にもらった温かい言葉と世界を愛する気持ちがあふれ出す楽曲。
少し切なげなピアノの旋律と、感謝の気持ちをこめた温かい歌声がクライマックスを彩ります。
こちらの歌をメインで歌うのは、少女の心の声を演じた順(cv.水瀬いのり)。
自分の気持ちを解放してくれた拓実への感謝と一途な愛が伝わってきます。
一方『あなたの名前呼ぶよ』をメインで歌うのは、少女役の菜月(cv.雨宮天)。
優しく包み込む歌声と、王子様への惜しみない愛を綴った歌詞が聴く人を幸せにしてくれる曲です。
この2曲をストリングスの音色が美しくつなぎ合わせ、最高のフィナーレを飾る素晴らしい楽曲に仕上がっています。
映画を観た後に聴くと、また感動で胸がいっぱいになりますよ。
主題歌は乃木坂46!恋に揺れる心を歌った名曲
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映画主題歌『今、話したい誰かがいる』を歌うのは、人気アイドルグループの乃木坂46。
友人だった異性への想いが恋だったことに気づき、今までの関係が変わることを恐れながら、本当はいつまでも一緒にいたいと思ってしまう。
そんな恋と友情のジレンマを歌った曲です。
青春感や疾走感、歌詞が持つ切なさが本作にぴたりとはまっています。
美しく儚いピアノとストリングスのイントロから心を鷲掴み。
Bメロから徐々に盛り上がり、サビで切ない気持ちが一気に開放される感覚は、なんとも言えない心地よさがあります。
▲乃木坂46 『今、話したい誰かがいる』Short Ver.
特にサビの「あきらめるなら一人で良いけど 夢を見るなら君と一緒が良い」は、 同じメロディーの繰り返しの上に対比的な歌詞が乗っていて、心の揺れを上手く表現されています。
今、話したい誰かがいる 歌詞 「乃木坂46」
https://utaten.com/lyric/sa15102609
そして、一緒に話したい人がいることがどんなに幸せなことなのかが、ひしひしと伝わってくるでしょう。
拓実への想いが恋だと知った順の心とリンクした素敵な主題歌ですね。
「ここさけ」が叫びたいあなたを後押しする
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映画『心が叫びたがってるんだ。』は、普段何気なく使っている「言葉」について考えさせられる作品です。
相手にありのままの気持ちを言葉で伝えることは難しいことです。
気持ちを伝えて相手を傷つけたり、嫌われたりしないかと怖くなってしまうこともあるでしょう。
しかし、自分の殻の中に閉じこもっていては、言いたいことが言えずに苦しいだけです。
クライマックスに順が勇気を出して拓実に気持ちを伝えて「呪い」を克服できたように、殻を破ることで人はまた大きく成長します。 
一番大切なのは、勇気を出して気持ちを込めて話すことなのです。
この映画では、葛藤を抱えた4人の高校生達が「伝えたい本当の気持ち」と向き合います。
この映画を観て彼らの気持ちのこもった言葉に触れながら、あなたも一歩踏み出してみてください。

TEXT Asakura Mika

UtaTen

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