ジブリの新歌姫プリシラ・アーンは、
アナ雪「Let It Go」を超えられるか

(参考:『アナ雪』熱唱で改めて注目 歌手・松たか子の実力とキャリアとは?)

 ディズニーがアメリカ随一のアニメ制作会社だとすれば、日本にあるのはご存知スタジオジブリ。そしてこのジブリも、今夏に新作『思い出のマーニー』の公開が控えている。先日、本作の主題歌を担当するアーティストが発表された。名前はプリシラ・アーン。米・ロサンゼルスを拠点に活動を続けている女性シンガーソングライターだ。

 プリシラは現在30歳。写真を見ると長い黒髪が印象的なオーガニック系美女だ。2008年にブルーノート・レコードからデビューした際は、ノラ・ジョーンズに次ぐ大型新人として注目を集め、フジ・ロック・フェスティバルにも2度出演している。転機となったのは2012年に発表したアルバム『ナチュラル・カラーズ』。SUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」やくるりの「ばらの花」などに加え、荒井由実の「やさしさに包まれたなら」(『魔女の宅急便』主題歌)、安田成美の「風の谷のナウシカ」(『風の谷のナウシカ』テーマソング)などジブリ関連ソングも収録したこのアルバムを引っ提げ、翌年、三鷹の森ジブリ美術館でミニライブを開催。この会場設定には大人の事情的なものの連想を禁じ得ないが、これがきっかけとなりプロデューサーが監督に起用を打診。今回の抜擢に至ったという。

 ジブリ映画の主題歌を外国人が手がけるのは、2010年に公開された『借りぐらしのアリエッティ』のフランス人のハープ奏者/歌手のセシル・コルベル以来2人目。だが、このときは日本語詞を歌わせていたので、今作の主題歌「Fine On The Outside」はジブリ映画初の “全編英語詞”となる。また、宮崎駿御大の作品だと、音楽を務める久石譲氏や本人が主題歌にも大きく関わるパターンが多いが、今回の米林昌弘監督にしろ、ほかの所属監督の作品の際は、比較的自由に歌い手や作り手に楽曲制作を委ねている。プリシラが歌う「Fine On The Outside」も、自身が数年前に制作していた1曲を、映画のイメージにぴったりと提供したそうで、書き下しではないもののアーティストの意向が採用されたかたちだ。さらに近年の傾向で言うと、主題歌アーティストを「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に出演させるのも定着している。前述のセシル・コルベル、『コクリコ坂から』の手嶌葵は映画公開に合わせてそれぞれステージに立ったが、先日発表されたRIJFの第1弾アーティストの中にもすでにプリシラ・アーンの名前が。まだ映画を観ていない/知らない層にも積極的にアピールしていこうという姿勢の表れであると同時に、楽曲単体でもヒットさせたいという狙いもあるのだろう。

 楽曲自体はまだお披露目されていないが、彼女のスタイルを活かしたものであるなら、シンプルなギター弾き語り曲になる可能性が高い。加えて、孤独な少女の心を歌った曲とのことなので、アップテンポというよりは繊細なメロディになると予想される。ゴージャスかつキャッチーなサビが持ち味の『アナ雪』の「Let It Go」とは一見正反対だが、そこはジブリ。公開前にはこれでもかと番宣に力を入れるだろうし、CMも連日大量に投入してくるはず。公開時にはプリシラ自身も長期日本滞在し、楽曲と映画のキャンペーンを行うと予想される。果たしてどんな楽曲となっているのか。解禁を心して待ちたい。(板橋不死子)

リアルサウンド

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