IVVY「こんなときだからこそみんなの
希望にならなきゃ」ファンへの愛と決
意を込めて挑んだ中野サンプラザ公演
レポート

IVVY ONEMAN LIVE-AWAKE-

2020.8.8中野サンプラザ
5人組ダンス&ボーカルグループ、IVVYが8月8日(土)、自身最大規模となる東京・中野サンプラザにおいて『IVVY ONEMAN LIVE-AWAKE-』を開催した。7月から5大都市を回る予定だった全国ツアーは次々と中止、ライブができない状況と向き合っていくなか「挫折の音がしかけた時期もあった」と本音を吐露したYU-TA。けれども、憂いてばかりはいられない、と彼らをこのサンプラ公演開催へと突き動かしたもの。それは、たった一つの想いだった。
「こんなときだからこそ、僕たちはみんなの希望にならなきゃいけないなと思ったんです」。終盤、そう伝えたリーダーのHIROTO。IVVYの熱い想いが、観る者の心を震わせ、ファンみんなの希望を目醒めさせていく。そんな、愛のこもったライブだった。
HIROTO
この日のサンプラ公演は生配信だけではなく、有観客で挑んだ彼ら。有観客ライブはIVVYにとって3ヵ月ぶり。来場者はマスク着用、手の消毒、検温はもちろん、ソーシャルディスタンスを確保した座席間隔で着席スタイル、声援も禁止など、政府の感染防止策ガイドラインにそったなかでの開催となった。ペンライトとタオルを手に、久々に会えるIVVYの登場を心待ちにする観客たちの期待感と、座席に貼られた来場できないファンからの応援メッセージで、開演前から会場内には静謐ながらもみんなのIVVYに対する熱い想いが溢れていた。そうして、荘厳なSEが鳴り響くなか、バックライトに照らされ、ブラック✕パープルの衣装を着た5人が広いサンプラザの舞台中央から登場。
YU-TA
ライブは、期間限定で先行公開していた新曲「AWAKE」で幕開け。強烈なEDMに合わせてレーザービームが飛び交うなか、メンバーに4人のダンサーチームが合流し、迫力満点のダンスで魅せ、「SHOW~昇~」へと雪崩れ込む。KENTO.iがラップでメンバーに次々とエネルギーを注入していくエンディングのパッションをキープしたまま、新曲「Rock city」へと展開すると、KENTO.iの切れ味抜群のラップがさらに炸裂。ヒップホップマナーのトラックでこれまでにはなかったワイルドIVVYをアピールするなど、冒頭から彼らは“僕たちはちゃんと前に進んでいるよ”とメッセージを伝えるように、新しいIVVYのステージングを連発。観客たちの目を釘付けにしていった。
TOSHIKI
そうして、おなじみの楽曲をメドレーでつないだ「Mirage~MORE~Mirage」が始まると、オーディエンスは声援の代わりにペンライトを振りだす。続く「Alice」は暗転した場内にオルゴールの音でイントロが流れ、ステージセットの上段にいたTOSHIKIがスポットライトで射抜かれた瞬間歌い出すというスターな演出で、観るものに魔法をかけ、観客の心をときめかせていった。そして短い挨拶をはさみ、HIROTOは今日のために新曲5曲を用意したことを伝え、そのなかから「こんな状況下だからこそ5人で初めて作った曲があります」と話して、新曲「軌跡」を披露。
KENTO.i
横一列になり《明日への光となり》《悲しみは歌で包むよ》《届けようこの声にのせて》《僕らはずっと君の味方》と、ファンと真摯に向き合う想いが如実に表れた歌詞、そのひとつ一つにありったけの想いを込める5人。すべてが包容力に満ち溢れていて、胸が強く締め付けられる。そこからHIROTO、TOSHIKI、YU-TAの3人だけ残って歌ったバラード「One love-piano ver.-」は、HIROTOの熱量、声量ともにエモーショナルな声、 TOSHIKIの艶っぽさをもった華やかな声、YU-TAの淡く繊細なゆらぎをもったクリアな声。3人ののびやかで美しいハーモニーがこの日はとびきりやさしくて、心を温かく包んでいった。
TAIYU
このあとラフな衣装に着替えたKENTO.iとTAIYUがダンサーとともに勢いよく飛び出してきて、「JOK3R」をキレキレのダンスでパフォーマンス。場内の温度が高まったところで、そこに3人も加わり、ダンサブルな「Higher」へ突入。観客たちは“Ho!”と叫ぶ代わりに、ペンライトを動かしてフリ真似でメンバーとシンクロ。セクシーな腰つきで観客をメロメロにして翻弄していく大人っぽい「Pain」を届けたあと、メンバーはいったん姿を消し、白い衣装を着た男女のダンサーがオンステージ。男女の絡み合い、すれ違う恋心を表現したダンスをイントロに、このあとIVVYのセンチメンタルなロストラブソング2連投につなぐというドラマチックな展開も新しかった。
HIROTO
ステージ上段にいたTAIYU、KENTO.iが掛け合いをするように交互に踊ってみせた「First&Last」、続けて、それでもまだ“さよなら“がいえないんだと、もどかしい気持ちを新曲「Freeze」でしっとり歌いあげると、場内からは大きな拍手が届けられた。一息おいて、軽快でハッピー感溢れる明るい「WINK」が始まると、場内は一気に華やぐ。メンバーの繰り出すウインクを受け取った観客は一斉に“ウインクダンス”の手振りでIVVYと一緒にライブを盛り上げていった。
YU-TA
そうして、このあとはトークタイムへ。ここではHIROTOが昨年10月4日、マイナビBLITZ赤坂でのワンマンライブでこの公演を発表して以降、IVVYとして成長したことは? という問いかけに、TOSHIKIが真顔で「部屋の観葉植物が0から6本に増えた」と返し、安定の天然(?)回答にメンバーも観客も大笑い。和みきった場内にHIROTOが「ここから後半戦です」と呼びかけ、J-POPな「Brand New Day」が始まると、ステージ上では5人が自由奔放に遊び出す。1番でカメラに向かってわちゃわちゃと追いかけっこをした彼らは、2番に入るとKENTO.iが繰り出す即興ダンスをみんなで楽しく完コピ。その勢いで次にTAIYUがダンスをリードすると、メンバーはそれをガン無視という、まるでコントのような展開に客席には笑顔が広がる。そうして、アッパーな新曲「A:live」へ。ジャンプをしたくなるようなこの曲で、5人がカッコよくハイキックを決めたあとは、本編のラスト「We like party」へ。恒例の“ドライブダンス“でクライマックスを大いに楽しみ、ステージと観客、みんなが一つになったところで、場内にはメンバーのコメントが書かれたテープがキラキラと舞い降り、本編はフィニッシュ。
TOSHIKI
アンコールを求める拍手のなか、真っ赤なライトとレーザービームに包まれ、まずは「Light on fire」をエネルギッシュにパフォーマンスした5人。このあとのMCでは、当たり前だった日常やライブがなくなって「キツかった」というTAIYU は「このメンバーがいて、メンバーと笑いあえたことでとで背中を押された」と話し、KENTO.i は「ファンの皆さんは宝物です」と語りかけ「ここにいるみんなと夢を貫いて、ドームに行って“あのときは辛かったね”と笑いたいと思います」と涙をこらえながら宣言。「自分がやりたいことは歌とパフォーマンスを通してみんなの光になることだと再確認しました」と、「泣きそう、やばっ」といいながらも想いをしっかりと伝えたTOSHIKI 。IVVYとしても個人としても気合いを入れていた年だったからこそ「挫折の音がしかけた時期があった」と本音を吐露したYU-TA は「でも、そのときに“音楽”というものは僕の中からどうしても無くならなかった。だから、僕たちが先陣をきってみなさんに勇気を発信していく。そういう存在になります」と力強く意思を表明。最後にHIROTOは「このグループはみなさんの“希望”にならなきゃいけないと思ったんです」と決意をアピール。「この先に希望はあります。僕たちと歩んでいきましょう」とやさしくファンに語りかけたあと「この曲で全員で手を取り合って、笑顔で終わりましょう」といって、彼らがライブで欠かさず歌ってきたファンとの絆ソング「With you」を最後に届けた。《それでも1人目の前の君を 導ける声届けたい》、《約束する 何があっても 僕はずっと君をそばで支え続ける》というメッセージを万感の想いを込めて懸命に歌い上げる彼らに、胸がジーンと熱くなる。
KENTO.i
そうして、場内が感動の涙で包まれるなか、終演後は“マイクタイユー”の影アナで笑わせ、みんなを笑顔にしたIVVY 。この公演中には、年内に1st アルバム『AWAKE』を発売することを伝え、終演後にはロビーで最新ヴィジュアルも初公開した。
TAIYU
こんなときでも一歩前に踏み出し、先陣を切ってみんなの光り輝く希望になることをライブを通して証明したIVVY。1stアルバム『AWAKE』への期待、その想いは高まるばかりだ。
取材・文=東條祥恵

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