『TOHO MUSICAL LAB.』オーディオコ
メンタリー収録レポート-『CALL』(
木村達成、田村芽実、妃海風)編

コロナ禍により3月から休館していたシアタークリエの再開第一弾として立ち上げられた新たなプロジェクト「TOHO MUSICAL LAB.」。2020年7月11日(土)に無観客・ライブ映像配信にて上演された本作品が、数量限定でBlu-rayリリース(10月7日(水)発売)される事となった。

収録されるのは『Happily Ever After』『CALL』の2作品。さらに特典として出演者によるオーディオコメンタリーが新たに収録される。この収録現場の模様をレポートする。
まずは『CALL』から。

収録スタジオに最初に姿を現したのは、劇中で3姉妹の次女オドリバを演じた妃海風。場の空気が一気に明るくなる元気な声で挨拶して、その後スタッフと打ち合わせ。次に登場したのは末っ子ミナモ役の田村芽実。「久しぶり! 元気だった!?」と声をかける妃海と笑顔で談笑。そしてヒダリメ役の木村達成が登場。実は木村は別の取材で一足早く現場入りしていたためか、心のアイドリンクはもう完璧といった表情。久しぶりに顔を合わせた3人はもう喋りたくて喋りたくて、という気持ちを抑えきれず、オーディオコメンタリーの収録が始まる直前まであれこれと言葉を交わしていた。木村が「自分の映像を観るのが恥ずかしいので、その場面が来たらめっちゃ喋りまくってごまかしますよ!」と照れ隠しで宣言して笑いを誘っていた。
収録スタート。実は3人とも本作の映像を観るのはこれが初めてだと話し出す。劇場の映像がモニターに映しだされると、「こうなっていたのか!」「素敵!」「新鮮!味わったことないなあ!」と皆興奮しながら画面にくぎ付けになっていた。
収録の様子(オフィシャル提供)
稽古中のソーシャルディスタンスの取り方や、長女シーナ役の森本華の名が何度も出て「(劇団ロロで)三浦さん(※『CALL』脚本・演出の三浦直之)と10年くらい一緒にやっているせいか、三浦さんの考えている事を代弁してくれるのでありがたかった!」と頼もしい共演者に向けて感謝を述べる一方、演出の三浦の存在が「愛くるしいんです!」と田村が気になる発言も。
また劇中で皆が被っていたウィッグにまつわる秘話、ヒダリメやミナモの衣裳にまつわる裏話、さらにはそれぞれの初期設定について話が及ぶともう笑いが止まらない3人。「木村くんは盛り上げ隊長だよね!」という女性2名からの評価も飛び出し、すべての収録が終わると「体感時間、5分だったね」とコメントするくらい大盛り上がりとなった。
収録後、3人に感想などを伺った。
――お疲れさまでした。今日ご自身が出演した舞台の映像を初めてご覧になったそうですが、いかがでしたか?
木村:喋りに集中していて実はあまり映像を観ていなかったんです(笑)。
妃海:ひとつ確認したいんですけど、皆、自分が出た舞台の映像は観るタイプ?
木村・田村:観ないです。
田村:照れくさいんですよ。でも自分の映像を観るのが好きって人もいますよね。明石家さんまさんは必ず自分が出た番組を見るって聞いた事があります。
木村:芸人さんは自分の映像を観る人多いみたいだね。僕らも本来は絶対観た方がいいとは思うんですけどね……この前出演した映画の試写をしたんですが、もう恥ずかしくって(笑)!
妃海:自分の芝居を観るのが嫌なの?
木村:そう。だからさっき収録の時にも言ったけど、自分の出番の時には喋りまくってごまかしてたんだよ!
妃海:分かりやすく早口になってたもんね(笑)。
田村:私の場合、なんだか自分の芝居だけ浮き出して見えてくるんです。
妃海:わかる! だから芝居の筋に全然集中ができないんです。「ああ。あの台詞が……」って(笑)。
妃海風(オフィシャル提供)
――そんな3人が今回オーディオコメンタリーを収録したんですが、あの時間内で語りたい事は全部喋り切れましたか?
妃海:いやいや。まだまだたくさんありますね。稽古中もこんなに皆で喋る機会がなかったんです。ものすごい集中力でやっていたから。でも本番が近づくと心の距離を縮めたくなって、皆でトランプしたりと、コミュニケーションを取っていました。
田村:トランプも距離を取らないといけないので「ふんっ!」と腕を精一杯のばしながらカードを取ったり取られたり(笑)。
木村:妃海さんのマネージャーさんがタピオカドリンクを買ってくれた事もあったね。
妃海:あったあった。それを飲みながらトランプしてたわ(笑)!
――楽しそうな現場の様子が見えるようです。
田村:実は私、大体の現場で「稽古うつ」みたいになる事が多いんです。稽古場に行く途中の駅でお腹が痛くなったりして、帰りたくなる現状に陥るんです。エスカレーターも逆走して降りたくなるんです。ところがこの現場では、最初から最後まで楽しく過ごせたんです!
妃海:分かるわあ。宝塚時代にも「稽古場から消えたい……」って思いになる事がありました。でもこの現場は皆楽しくて優しくて、(演出の)三浦さんも優しくてね。今回男性が木村くん一人で、あと皆女性だったけど、そんな事が気にならないくらいだったね。なんだかクラスメイトのような感覚だったなあ。
木村:僕、お姉ちゃんがいるから、きっと女性と話す事が苦手ではなかったんです。壁がそもそもないんですよ。
木村達成(オフィシャル提供)
――先ほど収録の中で、木村さんがこの現場の盛り上げ隊長だ、という話が出ましたが、となると、妃海さんと田村さんはどんな役どころを担っていたんですか?
田村:って言うか、この二人(木村と妃海)が盛り上げ隊長なんです! 私はただ皆についていくだけで……(笑)
妃海:そう、木村くんと私が「よっしゃー!」って旗を振るイメージだよね(大漁旗サイズの旗をぶんぶん振る仕草)
木村:でも芽実ちゃんの笑い声は良く響くので、その笑い声を聴くともっともっと喋りたくなるんだよ。
妃海:こっちもエンタメ精神があるので「もっと笑わせたい!」って思うんですよ(笑)。
――そして、演出の三浦さんが愛くるしいと評判ですが、具体的にはどんな人物なんですか?
妃海:こちらから提案した事を「それ、良いと思います」って全部まるっと一度受け止めてくれる人。感動しました。
田村:全てを受け止めてくれるんですよね。だから、とても愛おしくなっちゃうんですよ!
木村:なんでも受け止めてくれるから、こっちもいろいろとトライし甲斐がありますね。受け止めた上で「こっちのほうが良いかな」と的確に返してくれるし。僕らに一生懸命考えてさせて、案を出させようとしている感じでもあります。そういう過程って自分の芝居の形を見極めたりする上で大切なプロセスですから。
――さて今回無観客での上演となりましたが、実際舞台に立ってお芝居をしてみていかがでしたか?
妃海:本番で気が付いたんですが、お客さんがたくさんいらっしゃるいつもの舞台ですと、やっぱりどこか良く見せようとする自分がいたなって。だから今回のようにお客さんがいっらしゃらない事で欲が無くなりました。でもカーテンコールでお客さんからのリアクションがない事で、どこか心が埋まらない気持ちになりました。最後の1ピースがみつからない感じというか。改めてお客様の存在って大事だなって思いました。
田村:劇中、お客さんがいない劇場をセットとして使ったり、「ここにいない誰か」という台詞があったんです。ミュージカルなんですが、今まで観たり出演したりしてきた作品とは全く違う、別のジャンルという感覚がありました。スタッフの方々が「実験的」という表現を何度も使っていたんですが、まさにその通りで、その実験は成功したんじゃないかなって思っています。
田村芽実(オフィシャル提供)
木村:こういう機会がないと舞台の生配信なんて事はなかったと思うんです。僕的にはテンションが上がりましたね。体験したことがない事を経験しましたし、目の前にいるお客さんが今、どう思っているんだろうという想像を、無観客によって一気に消し去って集中できてよかったです。舞台は生もの、舞台は観に行くものという意識が強くあったと思うので、観てくださった方々が「配信」という形に興味を持ってくだされば成功だったと思います。あとは妃海さんが言う通り、カーテンコールで何かが足りない感がね。お客さんがいる事で生まれる安心感や達成感が。
――さて、このブルーレイをすでにご予約いただいた方、購入しようか考えている方に3人それぞれの見どころを聞かせてください!
木村:僕のオススメはM1(1曲目の歌)です。歌の中でラップが入っているのが僕の中では最高なんです。歌っている姿を見たらほっこりしますし、是非そこを見てほしいです。
田村:私たちの芝居ももちろん観ていただきたいんですが、客席がとても美しく、劇場ってこんなに美しいんだって今日観て思ったんです。シアタークリエの客席や壁、通路の色が映えているので是非そのあたりも観ていただきたいです。
妃海:最初に本編を観ていただいてから、今日収録したオーディオコメンタリーを是非聴いていただきたいです。この空気感だったからこそあんなに楽しい作品ができたんだなって感じていただきたいです。そしてオーディオコメンタリーを聴いた後、改めてもう一度本編を見て楽しんでいただきたいです。
取材・文・撮影(一部)=こむらさき

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