松尾太陽

松尾太陽

【松尾太陽 インタビュー】
“今”だからこその本名で挑む
ソロデビュー

世界観強めの曲ばかりなんで、
どれが本当の自分か分からない(笑)

すごく分かります。対照的に「libra」は淡々とリズムが刻まれる、完全に夜なイメージの曲で。

確かに。イントロの時点で目をつぶったら完全に夜だったし、でっかい水平線まで見える海があって、空があって、星があって…っていう景色が見えたんです。“不思議”のひと言で収めるのはもったいないですけど、本当にミステリアスな世界観。しかも、She Her Her Hersさんからデモをいただいた時、長い文章が添えられてたんで“あっ、言葉数が多い歌詞なんだな”と思ってたら、下半分はShe Her Her Hersさんからの僕に対するメッセージだったんですよ! それを読んでみたら歌詞に出てくる乙女座はファンのみんなとか、家族や友達といった大切な人のことで、乙女座の次に回ってくる天秤座…つまり、僕がその乙女座に愛される存在でありますようにとか、もちろん僕自身も大切な人に幸せな音楽を届けられますようにっていうメッセージが込められていたんです。

太陽さんって9月23日生まれの天秤座だし、“libra”は天秤座のことですものね。

でも、ちょうど変わり目の日付らしく、雑誌によっては乙女座だったりもするんですよ。そういうところもちゃんと調べて書いてくださってたんです。

すごい! ちなみに、ご自身で作詞作曲を手がけた「掌」は、去年の『Utautai』で初披露した楽曲の歌詞を書き換えたもので、《夜行バスの窓から》という歌い出しを見ると、大阪から通っていた上京前の経験を書いているのかなと勘ぐってしまうんですが。

そこは完全にそうですね。歌詞のベースとしては自分のことを書いているんですけど、同じような想いって誰もが経験ある、もしくはこれから経験するものだと思うんです。前に進んでいるつもりなのにゴールが見えなくなったり、“これって本当に自分にとって良いことなのか?”とか“そもそも自分はこういう道に向いてないのでは?”と迷ったりすることって。

生きていれば、誰もが経験することですよね。

この曲の主人公も最初はそうやって自分に問いかけるんですけど、自分自身が“大丈夫”って言ってくれることが励みになって、過去の自分を乗り越えていくんです。そうやって成長していくと、太陽に手をかざした時に流れる血潮がだんだん掌まで広がって見える…最初はまったく見えなかったものが、成長していくにしたがって見えていくようになるっていう歌詞なんで、いろんな方に聴いてもらえる曲にできたんじゃないかと。特に、これから新しい道に踏み出したり、心機一転しようとしている人に聴いてもらえると嬉しいですね。

実際、夜行バスで外の景色を見つめながら悩んでいた過去を乗り越えた今の太陽さんが歌うからこそ、説得力がありますよね。そこに《太陽が味方だから》と、さりげなく自分の名前も入れているのがうまい!

はい(笑)。そうやって歌詞は変わりましたけど、僕が人生で初めて作った曲なので、ぜひデビュー作に入れたかったんです。

いや、初作曲とは思えないくらいいい曲ですよ。メロディアスで、とても胸に染みる。

ほんとですか!? めっちゃ嬉しいです!

ほんとです(笑)。最後の曲が「Hello」というのも気になりますが、アコースティックギターの音色が印象的でしっとりしつつもノリのある曲ですね。

この曲はライヴの最後のほうだったり、アンコールとかで歌うと気持ち良いだろうな、楽しく終われるだろうなっていうイメージですね。邦楽と洋楽のメソッドを合体させたような楽曲になっていて、とらえ方によってはアッパーかもしれないけど、おっしゃる通りしっとりと聴く人もいるかもしれない、ちょっと不思議な楽曲です。

というか、今回6曲全部不思議じゃありません?

なんか世界観強めですよね。だから、6曲を通して聴いた時に、“どれが本当の自分なんだ?”ってなるんですよ。

じゃあ、本当の松尾太陽に一番近い曲を挙げるなら?

やっぱり「掌」になっちゃいますけど、それ以外で考えると「mellow.P」かな? わりと素で表現してるんで、そこは新しいですね。今まで素ってあんまり出したことないから。

時勢的にも素で歌いやすい歌詞ですからね。そんな曲が1曲目だと、幕開けで“松尾太陽”というパーソナリティーも伝えやすい。

だから、曲順もいいなって思うんです。普通はリード曲が最初のほうに来るのに、「Sorrow」は「掌」の次の4曲目で、次の「libra」で落ち着いて、ラストの「Hello」で楽しく締め括るっていう。すごくいい曲が揃いましたし、“本当にアルバムが出るんだ!”って、まだちょっと驚きもある状態なんですけど、素直に嬉しいですね。こうやって作品を出させてもらう以上は、もっといろんな活動をしていきたいですね。僕の大きな野望としては、今、こうして豪華なアーティスト陣の名前が曲名の横に並んでいますけど、いつかここを自分の名前のみで埋めたいなと。なので、作曲だとか、制作面からも頑張っていきたいです。

ライヴができる状況になるまで、当面はYouTubeや配信での活動になると思いますが、ちなみに今回のソロデビューにあたり、超特急のメンバーからもらって一番嬉しかった言葉って何でした?

一番となると…ソロデビューをするって発表した時かな? SNSでカイが“誇らしい”って言ってくれたんですよ。それが僕の中では記憶に残ってます。あと、オフィシャルYouTubeでカバー動画をアップしてるんで、タクヤはそれを観て連絡してきてくれたりもしますね。あいみょんさんの「裸の心」をカバーした時は、“好きな曲だから歌ってもらえたのが嬉しかった”とか、そういう感想を個人的にくれたりもします。

自分のグループのヴォーカルがひとり立ちするのは、間違いなく誇らしいことですよ。

でもね、そんなふうに言ってもらえることが、僕としてもすごく嬉しいんですけど、その言葉をいいプレッシャーとして、また自分にかけていきたいですね。

取材:清水素子

ミニアルバム『うたうたい』2020年9月2日発売 SDR
    • ZXRC-2069
    • ¥2,530(税込)
松尾太陽 プロフィール

マツオタカシ:両親の影響で幼い頃より1970年、80年代の音楽に慣れ親しんで育ち、12年6月に超特急のヴォーカルとしてCDデビュー。伸びやかな歌声と、ソウルフルなファルセットから艶やかに響く低音までを使い分ける表現力には定評があり、19年9月に開催した自身初となる単独公演『Utautai』のチケットは完売。平成生まれながら音楽ルーツと豊富な知識、さらに、どんな楽曲世界にも没入して登場人物を演じ切る七色の歌声で、今、大きな注目を集めている。20年9月にミニアルバム『うたうたい』でソロデビュー。松尾太陽 オフィシャルHP
超特急 オフィシャルHP

「Sorrow」MV

OKMusic編集部

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