写真左より時計回りに、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトコウキ(Gu)、オカモトレイジ(Dr)、オカモトショウ(Vox)

写真左より時計回りに、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトコウキ(Gu)、オカモトレイジ(Dr)、オカモトショウ(Vox)

【OKAMOTO'S インタビュー】
いろいろな意味で極端な曲も
EPだったら入れられる

EPの良さって短さにゆえに
集中して聴けるところにある

その他、バンドが自由に曲を作ってきたことがうかがえる、それぞれに違う魅力を持った5曲が収録されていますが、その5曲はどうやって選んだのでしょうか?

ショウ
6曲目の「History」にはひとつ理由があって、映画『十二単衣を着た悪魔』が11月6日に公開になるんですけど、その主題歌として書きました。だから、「Welcome My Friend」と作り方としては同じで、デモの中から選んで、映画を観た上で歌詞を書いたんですよ。監督の黒木 瞳さんが俺らの「BROTHER」(2016年発表のシングル)という曲を気に入ってくれていて、映画のエンディングに「BROTHER」を当てつつ“こういう曲を書いてほしいです”と依頼してくれたんです。ちょうどコウキと「BROTHER」や「ROCKY」から発展したような曲がもうちょっとあってもいいかもと話しながら書いていた曲があったので、それをもとに「History」を作りました。

なるほど。映画のエンディングに流れるわけですね。そう言われてみると、確かにエンディングに相応しい曲に思えます。

ショウ
映画はタイムスリップの話なんですよ。タイムスリップした主人公が歴史の重みを感じるというか、歴史の波に飲み込まれていくんで、俺は“今の自分たちの人生はいろいろな人の人生があったからこそ”みたいな解釈をしたんですけど、ちょうど歌詞を書いたのが武道館を終えたあとだったから、自分たちの10年を思い返したところとリンクする部分があるといいなと思っていました。だから、「History」と「Welcome My Friend」は、ありがたいことに外からのお話があって選ばれた曲たちでしたね。

その他の4曲はバンドの攻撃的な面と哀愁や泣きの魅力を物語っていますね。

ショウ
EPの良さって短さにゆえに、集中して聴けるところにあると思うんですよ。だから、シングルに相応しいわけじゃないんだけど、何か光るものがある曲は、EPに入れたら何回も聴いているうちに“やっぱりいいね”ってなるんじゃないかな? アルバムに入れちゃうと注目度が薄れちゃうかもしれないって、そんな選考基準もあった気がするんですけど…コウキさんはどう思いますか?
コウキ
そうですね。いろいろな意味で極端な曲もEPだったら入れられるってことで、ネタじゃないですけど、2曲目の「THE BEAR」はパロディーみたいな勢いで、歌詞も含めて“ここにだったら入れられる”ってのはありました。あと、これは聴く人は意識しなくてもいいと思うんですけど、30曲ある中に“これは明らかにシングルだろう”とか、“これはアルバムのリード曲だろう”という曲が、実は結構あるんですよ。ショウと僕の中でそれらを11年目のOKAMOTO'Sの顔にしていこうと決めているんですけど、それを見据えた上での、ある意味予告編なのかな? “11年目も攻めていきますよ”みたいなことを最初に伝えられるセレクトになっていると思います。全曲、楽しそうで生き生きとしていますよね。

どの曲も自由に作っていることが伝わってきて、OKAMOTO'Sにはこれまで以上にいろいろなことを期待していいんだなって思いました。

ショウ
この歌詞は曲とは別に書いてあったんです。意図としてはトラップみたい譜割で面白い歌詞を書きたいっていうのがあって、トラップのノリで山口冨士夫さんの名前を出す奴はいないだろうと思いながら、オカモトショウ的に一番カッコ良い歌詞が書けたんです。それで、コウキさんが前々から作っていたオケが別にあって…『BOY』(2019年1月発表のアルバム)の時の曲だっけ?
コウキ
そう。『BOY』の時にバンドに持って行って、その時は採用にならなかったんだけど。
ショウ
そうそう。それで、“そう言えば、その時の曲があるね”と。もともと「THE BEAR」には全然違う歌詞が乗っていたんですけど、尺も含めガラッと変えて、冨士夫さんのことを歌った歌詞を乗せたら、自分たちにとってすごく新鮮な曲になったんです。ロックバンドの曲なんだけど、ちょっとロックバンドっぽくない。でも、聴いていると“ロックバンドカッケぇ!”って気持ちになれる(笑)。コウキさんが言ったように半分ネタみたいなところもあるんですよ。この曲で世界をどうこうしようとは思っていないんですけど、“良くない?こういうの”みたいなライトな気持ちで。でも、意外にこういうのが“OKAMOTO'Sの新曲、ヤバっ!”みたいになるんじゃないかな? こっちがあんまり真剣に考えるよりもちょっとそういうノリでやったらすごいエネルギーが出ることあるってことで今回入れました。

その一方では「MOTEL」のようなOKAMOTO'Sの繊細さ、哀愁、泣きが前面に出た曲もあって、そういう振り幅も聴きどころではないかと思うのですが、「MOTEL」のギターソロは雰囲気がEaglesの「ホテル・カリフォルニア」っぽいなぁと。 

コウキ
そうですね。まさに。

えっ!? “まさに”だったんですね(笑)。

コウキ
最初は“MOTEL”ってタイトルだから(笑)。歌詞の内容も結構通じるところがあって。もともとは打ち込みの曲だったんですけど、ベースのハマくんがアレンジを変えようと言って、ユーミンさんとか…。
ショウ
原田真二さんとか言っていたよね。
コウキ
それでシャッフルの曲になったんですけど、ギターソロだけは打ち込みの時から「ホテル・カリフォルニア」を意識していました。2本のギターがハモっているところは特に。

いやぁ、全然違っていて、怒られたら嫌だなと思いながら恐る恐る訊いてみました(笑)。

コウキ
いやいや、ちゃんと伝わっていて良かったです(笑)。

訊いて良かったです(笑)。ところで、具体的なことは言いづらい状況ではあるのですが、11年目となる今年2020年、OKAMOTO'Sはどんなふうに活動していこうと考えていますか?

コウキ
状況次第ではあるんですけど、いつでも動けるような状態ではあるんです。曲はあるのでアルバムを出してもいいんですけど、出すならやっぱりツアーもやりたいし、その前にもう一枚同じようなテンションでEPを出して聴いてもらってもいいし。可能性はいろいろ無限にあります。あとは、タイミングだけですね!

取材:山口智男

EP『Welcome My Friend』2020年8月26日発売 Ariola Japan
    • 【初回生産限定盤】(CD+Blu-ray)
    • BVCL-1097〜8
    • ¥3,000(税抜)
    • 【通常盤】(CD)
    • BVCL-1099
    • ¥2,300(税抜)
OKAMOTO'S プロフィール

オカモトズ:中学校からの同級生で結成。2010年、日本人男子としては最年少の若さでアメリカ・テキサス州で開催された音楽フェス『SxSW2010』に出演。アメリカ七都市を廻るツアーや豪州ツアー、香港、台湾、ベトナムを回ったアジアツアーなど、海外でのライヴも積極的に行っている。19年の10周年イヤーには6月に初の日本武道館ワンマンライヴを開催し、20年4月には初のベストアルバム『10’S BEST』、8月にフジテレビ深夜アニメ枠”ノイタミナ”「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」エンディング・テーマ「Welcome My Friend」を含むEPをリリース。オフィシャルHP

OKMusic編集部

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