写真左より時計回りに、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトコウキ(Gu)、オカモトレイジ(Dr)、オカモトショウ(Vox)

写真左より時計回りに、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトコウキ(Gu)、オカモトレイジ(Dr)、オカモトショウ(Vox)

【OKAMOTO'S インタビュー】
いろいろな意味で極端な曲も
EPだったら入れられる

新たな面を打ち出した表題曲をはじめ、OKAMOTO'Sの持つさまざまな魅力を印象づける全6曲を収録したEP『Welcome My Friend』。同作についてオカモトショウ(Vox)とオカモトコウキ(Gu)に語ってもらったところ、11年目を見据えた上でまだまだ攻めていくという予告編でもあるとのことだった。

10代後半の頃とはまた違う質の
30歳になった俺たちのエネルギー

4月にベストアルバム『10’S BEST』をリリースし、5月に予定をしていた東名阪ホールツアーは残念ながら中止になってしまいましたが、菅田将暉さんとコラボした配信シングル「Keep On Running」など、水面下で動いていたプロジェクトが一気に表に出てきて、OKAMOTO'Sの11年目がいよいよ本格的に始まるのかなという印象を受けました。

ショウ
まさに。
コウキ
ショウさんが配信リリースした初のソロ楽曲「CULT feat. Pecori」も含め、ライヴができなくなったからこそ、逆に時間ができた中でいろいろなことに対応しながら動いていけたのは良かったですね。

もちろん、その中でメインになるのは、やはり今回のEPだと思うのですが、収録された6曲を聴いて、改めてOKAMOTO'Sはカッコ良いロックバンドだと思いました。一曲一曲のカッコ良さもさることながら、怒りなのか、鬱憤なのかはっきり分からないのですが、今にも何かが爆発しそうなスリルに満ちているところとか孤独や虚しさも歌っているところなど、デビュー10周年を迎え日本武道館をいっぱいにしたバンドが、11年目のスタートにこういう作品を持ってくるのかと。

ショウ
今回は全曲、コウキと俺がふたりで一緒に書いているんです。これまではそれぞれにデモを作って、4人でアレンジしてきたんですけど、昨年『HELLO WORLD』という映画の劇伴を俺らがプロデュースさせてもらった時、デモの精度を上げなきゃいけないことになり、コウキと一緒に作るってことをやり始めたんですよ。そこから、“ふたりで作ると、いい曲が書けるから続けてみよう”と作った30曲の中から選んだ曲が今回のEPに入っています。だから、セレクトの話になると思うんですけど…どうですかね? エネルギッシュな部分と切なさというか、孤独を歌った部分が言われてみると確かにあるんですけど、そうしようという狙いみたいなものはなかったですね。10年やってきて、初めてベスト盤を出して、一度まっさらにしてから新しい一歩を踏み出したい気持はありましたけど、だからってものすごく新しさを出したかったわけでもなくて。でも、最初の一歩は重要だと思いながら作っていました。武道館をいっぱいにして満ち足りた気持ちになっていちゃいけないなって、どこかハングリーさみたいなものがあったのかな? 10代後半の頃とはまた違う質の30歳になった俺たちのエネルギーみたいなところだと思うんですけど、そこは出したいし、出さないといけないと思っていたので、そういうメンタルが表れたセレクトなのかも…と今、話を聞いて思いました。
コウキ
そうですね。僕らは音楽的な面白さで判断していくバンドなので、メッセージやコンセプチュアルな打ち出し方は気にしていなかったんですけど、30曲作ったデモには今回のEPに入っているようなムードが共通してありますね。わりとどれを選んでも同じムードにはなったかもしれない。
ショウ
そういう意味では、コウキと俺のムードなのかもね。

タイトル曲の「Welcome My Friend」は、テレビアニメ『富豪刑事 Balance: UNLIMITED』のエンディングテーマでもあるのですが、書き下ろしたわけではなくて、30曲の中から相応しい曲を選んで提案したと?

ショウ
デモとしては、そうですね。お話をいただいて、この曲が合うだろうって決めて、歌詞は脚本を読んだ上で書きました。そういう意味では書き下ろしと言えるんですけど、せっかくなんだから自分たちにとっていい手札を切ったほうがいいということで、この曲を選んだところもありますね。

どんなところがいい手札だと?

ショウ
“肩の力を抜いたOKAMOTO'S”と監督に言われたんですよ。
コウキ
ロックサウンドで攻めるというよりは、斜に構えた感じでハードボイルドに…
ショウ
“クールでお洒落”みたいなキーワードをいくつかもらって、この曲を選びました。もちろん、“この曲、カッコ良いね”ってメンバー4人がなった上でなんですけど。あとは、今年の頭ぐらいにいただいた話だったので、11年目の最初に出る曲になることは分かっていたから、その見え方として、この曲の新旧入り混じった感じ…あくまでもバンドサウンドだし、特別に今っぽい何かがあって引っ張っていく曲ではないんだけど、ヒップホップのエッセンスがちょっとありつつ、昔ながらのバンドがただやっているだけじゃないというエッセンスが浮かない程度に散りばめられている具合が、OKAMOTO'Sの次の顔に相応しいと思ったところはありました。

全員が一歩退きながら、それぞれにいい仕事をしていると言える絶妙なアンサンブルが心地良いですね。

ショウ
家聴きにぴったりですよね。いや、ライヴでやってももちろん盛りあがると思うんですけど、家聴きでも心地良いロックナンバーって、OKAMOTO'Sはできる時とできない時があるんで(笑)。ライヴを想定するほうが得意なんですよ。でも、この曲の家聴きに合っている感じは、監督が言っていたリラックス具合に通じるところになったと思うんですけど、そこはいい塩梅でできたかなと。

その家聴きに相応しいアレンジは最初からスッと決まったのですか、それともいろいろ試しながら最終的に落ち着いたのでしょうか?

ショウ
試したっていうよりは結構練りました。本当に細かいところ…例えばふたつ目のサビ、3つ目のサビはコードを増やして変えていこうとか、転調を入れようとか、この曲に決めたあとの詰めは、だいぶ細かかったんじゃないかな? 技が効いていて、ちゃんと飽きずに聴けるように。でも、ド派手にストリングスが入っていることではなくて、アレンジはコウキさん中心に頑張ってやれた気はしますね。

コウキさんが考える聴きどころは?

コウキ
今回のEP全体がそうなんですけど、『HELLO WORLD』で一緒になったBRIAN SHINSEKAIが「Welcome My Friend」や他の曲でもキーボードを弾いてくれています。もはや半分レギュラーメンバーなんですけど、サポートとして初めてベタで入ってもらったら、その効果がかなり大きくて。人間としてグルーブが合ったということもあるんですけど、アンサンブル的にピアノが入ることによって細かいアレンジやコードの動き、押し引きの感じがガラッと変わったんです。例えば、昨今のKing Gnu、Official髭男dism、あるいは海外のもうちょっとバンドサウンドじゃないものって、打ち込みとかキーボードが結構重要じゃないですか。でも、俺らはロックバンドなので、そこに寄せていかずにその耳で聴いてもいいと思えたり、そこに並んでもいいと思えるサウンドにしたいというのが、昨年からのショウさんとの曲作りでもテーマのひとつだったんです。けど、そうなってきた時、BRIANという適任のアーティストに入ってもらったことが聴きどころになっていると思います。

ところで、「Welcome My Friend」の歌詞は脚本を読んだ上でどんなことを考えながら書いていったのですか?

ショウ
アニメの世界観から外れたものを書いたら『HELLO WORLD』に縁のある監督にせっかく呼んでもらった意味がない。とはいえ、寄せすぎると嘘になっちゃって違うと思ったので、物語と自分の人生の間にある共通点を探っていきました。結果、アニメは刑事の物語なんですけど、刑事というには若いふたりの男の腐れ縁みたいなものと、バンドメンバーとの関係性がリンクするところがあると思ったので、この人たちと集まって楽器を持つといろいろなことがうまくいくということを照れ隠しも含め書きました。だから、OKAMOTO'Sが好きだと思ってこの曲を聴いたら、メンバーのことを歌っていると思ってもらえるだろうし、アニメのファンは俺らのことを知らなくてもちゃんとアニメの世界にリンクしていると思ってもらえる歌詞にできたと思います。

僕はメンバーのことを歌っていると思いました。新しいOKAMOTO’Sの顔になるかもしれない曲で、《Show must go on, I just need you, more than ever(こんなとこで終われないだろう? 今、どんな時よりもお前が必要なんだ)》という歌詞が聴けるのは頼もしいというか、ファンはすごく嬉しいと思いますよ。

ショウ
あははは。そういう直接言う必要もないことを歌詞にしていくのもいいかなと思ったんですよ。
写真左より時計回りに、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトコウキ(Gu)、オカモトレイジ(Dr)、オカモトショウ(Vox)
EP『Welcome My Friend』

OKMusic編集部

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