瀬名あゆむ 近影

瀬名あゆむ 近影

一旦サヨナラします。最後にこれだけ
は言わせてください!:瀬名あゆむのア
イドル革命! 連載34

地域発アイドルプロデューサーの月イチ連載

瀬名あゆむのアイドル革命!
第34回 一旦サヨナラします。最後にこれだけは言わせてください! こんにちは! 仙台と千葉のローカルアイドル『2ねん8くみ』プロデューサーの瀬名あゆむです。
はい! 今回を持ちまして、このコラム『瀬名あゆむのアイドル革命!』は休止とさせていただきます!
  前回では、2015年より丸5年間続いたこのコラムで、一番嬉しかったことをあげさせていただきました。嬉しいこと1位、それはこのコラムを元に書き上げた単行本『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』を世に出せたことでした。出版にご尽力いただいたコアマガジン社およびブッチニュース関係者の皆様、本を置いていただいた書店の方々、そして買って読んでくれて、さらに熱い感想をいっぱいくれた読者のみんな……改めて心から感謝したいです!
アイドルのサヨナラは悲しいことだけとは思いません ただ、その前回コラムのラストで私はこう書きました。
 <アイドル運営がずっと順調だったわけでは決してありません。むしろ逆のほうが多かったのかも。>――って。
 アイドル運営をやっているとこう言われることがよくあります。
「運営で一番大変なのは、せっかく育てたメンバーが辞めちゃったりすることでしょう?」……と。
 確かにそれはそうかもしれません。運営者側にアンケートをとったら、たぶん「1位」はそれになるかもしれません。ここ最近の芸能界だって、それこそあのジャニーズ事務所さんを筆頭に、「脱退問題」は一番大きなトピックですもんね。
 ただね、実は私自身の本音は「メンバーが辞めちゃうことが一番辛い……」ではないんです。
 正直、自分の元から、『2ねん8くみ』の数々のユニットから、数々のメンバーの子たちが辞めていく、脱けていったとき、辛くなかったといえば嘘になります。でもその辛さは自分の中では半分以下なんですね。それ以上に「残念だけど、悲しいけど、でもここをやめても次の場面で頑張ってね! 輝いてね!」って感情が私には強いんです。これ、もしかしたら、アイドルプロデューサーとしてはちょっとダメなのかもしれません。もっと強烈に残念がり、強い悲しみを覚えないといけないのかもしれない。
 でも、かつては私自身が「辞めたアイドル」だった経験があるわけです。4人ユニットで、私以外の3人のメンバーで全国メジャーデビューが決定し、ひとり弾かれた私は事務所を脱け、アイドルを辞めたんです。それこそトラウマになりかけたけど、でも普通の女子高生に戻って、さらにギャルになって遊びまくって(笑)、でもガチで有意義な10代を過ごしました。
 だから、アイドルが辞めることをあまり強く悲観すべきじゃないっていう感覚が肌に染みついちゃってるんですよね、経験値として。なので、辞めていく子たちにも「バイバイ! ありがとね! 明るくね!」って本気で言えてしまうんです。
 さらに言えば、私はAV女優を引退するときも、とてもきれいな辞め方をさせていただきました。派手な引退作品とかは撮らなかったけど、引退後も女優時代の名前でこうやってプロデューサー業ができていますし、当時からのファンの皆様にもいまだに多く応援してもらっています。
 きれいにサヨナラすること。これってとても大事なことだと思っていて、ゆえに自分が送り出す側になったときも、きれいにアイドルたちを旅立たせてあげたいと考えているんです。
 やめることは、同時に、次へのはじまり。そして戻りたくなったら、いつでも『2ねん8くみ』は扉を開いている。それが私の理想だし、出来る限り、そうありたいんです。
私が唯一笑顔をなくしていた数ヶ月じゃあ、何が一番、辛かったのか?
 私がこのコラムを書かせていただいた5年間で最も辛かったこと。
 それは、「ネットストーカーX逮捕事件」です。
 私って特に座右の銘とか絶対的なポリシーとかはないタイプなんですけど、ただ高校卒業して社会にでた18歳のころからずっと心がけていることがあって、それが「いつも愛想よくしていよう! 愛想よく生きていこう!」ってことでした。
 私は18歳で札幌のすすきのでキャバ嬢になりました。大学に進学したり一般企業に就職したりするより楽しいかなって思って水商売の世界に入ったのですが、実際にはとっても競争社会だったんですよね、お水って職業は。そこでは売上げを稼ぐため、様々なテクニックやノウハウが飛び交っていました。それこそ、「ヤラセたら終わり、焦らせ!」とか「騙されるな、騙せ! おまえが騙さなくても誰かが騙す!」とかの過激なパワーワードが溢れてて、想像以上の激しい世界でした。私は「アイドル時代、さんざん競わされて、それで挫折してあきらめたのに、また他人を蹴落としてでも上にいけ……みたいな感じでやらなきゃダメなのかあ」とかなりげんなりしたことを覚えています。色恋営業とか駆け引きとかほんと苦手だったので……。
 なのでひとつだけ決めたのが、「とにかく笑顔で愛想よくしてよう。お客さんに強烈に贔屓されなくても、嫌な思いだけはさせないようにしよう」だったんです。いつもニコニコ明るく明るく。ただそれだけを守る。そうしたら、自然にどんどん指名が増えて、売上もあがって。No.1のカリスマキャバ嬢とかには成れなかったけど、常に無理せずベスト5をキープできたからストレスもトラブルもなく、もちろん病むこともなく、元気に楽しい水商売ライフをおくれたんですよね。その実体験から、「愛想よくが一番! 愛想こそ最強!」って心がけが生まれたんです。
 「愛想こそ最強!」はAV女優になってからも大いに有効でした。
 AVもキャバクラも実はチームプレイだから、女優や嬢のチカラだけでは何もできません。だからこそファンの方やお客様だけに愛想よくするのではなく、スタッフさんや裏方さん、マネージャーさんにもしっかり愛想よく接することを心がける。そうすると必ずもろもろ良い方向に回っていく。それは実感値としてありました。やっぱり愛想ほど身を助けるものはないなって!
 でも、「具体的に、愛想よくするって、どういうこと?」って思いますよね。
 それは、はい、ニコニコ笑顔で愛想よくしてればいいだけだと思ってやってました。
 や、顔で笑って、腹の中で舌だしてた、とかじゃないですよ。誰へだてなくきちんと愛想よくふるまうこと。〝愛想をふりまく〟って悪い意味に捕らえられたりするけど、無理に媚びるわけじゃなく、ただただ「普通に気持ちいい自分でいて、自分以外の人にも気持ちよくいてもらう」ってこと。それをずっと意識して、無意識にやれるくらいに意識して、やっていました。
 けれど、そうやってずっと愛想よく生きてきた私から徹底的に笑顔を奪ったのが、「ネットストーカーX」だったんです。
「X」は最初はとても良いお客様として『あいどるかふぇ 2ねん8くみ』に現れましたが、でもそのうち、「僕がこの店の1位の客だよね?」「公式に1位の称号をいただけますか!?」と言い募るようになり、それが受け入れられないとなると、悪質なネットストーカーに変質していきました。そして、「殺害予告」的な書き込みをSNSにしたり、私の子供の写真をネット上に悪意ある形でばらまいたりしたあげく、「脅迫罪」で警察に逮捕されました。
(事件のさらなる詳細については私の著書をお読みいただければと思います)
 この「事件」でなにが辛かったって、それは私以外にお店のキャストの女の子たち、さらに我が子を標的にされたことでした。多少嫌なこと、キツいことがあっても、ワガママいわず、愚痴らず、愛想よくしていれば必ずうまくいくはず……そう信じてこれまで生きてきた私だったのに、この「事件」に関してだけは「愛想こそ最強!」なんて一言もいえなかった。
 実際に事件が解決するまでの数カ月間、私は笑顔を奪われてしまってました。子供はまだ赤ちゃんだったのですが、赤ちゃんにすら微笑みかけることもできない。お店の子たちの前でも絶対に見せるはずもなかった暗い顔をふとしてしまう。今思い返してもゾッとします。
 ただ私には家族がいたし、アイドルたちやお店、そしてファンやお客様という〝守るべきもの〟〝守ってくれるもの〟がありました。笑えなくても、強くいなきゃと思えることができた。だから最悪のダークサイドに堕ちることあはりませんでしたが、本当に危険な精神状態だったことは確かです。
マスク越しでも笑顔でいれば最強ですよ! あれから数年がたち、私もとっくに笑顔を取り戻しています。
 「愛想こそ最強!」「いつも愛想よく生きていこう!」という心構えも全然捨ててはいません。
 しかし今の私たちはより強力な〝笑顔を奪おうとする情況〟に立ちはだかられています。
 そう、「新型コロナウィルス」の猛威です。
 いくら笑顔を作ってもマスクで隠されてしまうなんて、洒落にもならないですよね。
 このコロナ禍の今の情況は、アイドル活動・カフェ経営・ライブハウス運営をやる私たち〝にっぱちグループ〟にとっては凄まじく辛く、「もしかしたら、この5年間の最も辛い時期は今のかもしれないな……」なんてつい嘆いてしまいそうになる毎日です。
 でも、それでも、私はマスクの中で口を閉じてでも笑っていようと思っています。愛想よくしていようと思っています。もう一度、「愛想こそ最強!」を証明していこうと思っています。
 だって今、大変なのは私たちだけじゃ絶対ない。
 私にはまだまだ守りたいものがたくさんあるし、愛すべき人も仲間もいっぱいいます。
 アイドルはどんなときでも笑顔を絶やさないからアイドルなわけじゃないですか?
 だとしたら、やっぱりアイドルは最強じゃないですか!
 最強な私たちが負けるわけにはいかないじゃないですか!!
ね!!!!
『瀬名あゆむのAV vs アイドル ~もし元AV女優がローカルアイドルのプロデューサーになったら』を経ての、『瀬名あゆむのアイドル革命!』まで。
 5年間の長きにわたり、私のコラムをご愛読いただき本当にありがとうございました。
 今回で一旦この『瀬名あゆむのアイドル革命!』は休止させていただきますが、また皆様にお会いできる日を心待ちにしております。
 っていうか、『あいどるかふぇ 2ねん8くみ』に遊びに来ていただければ、まぁまぁお会いできたりするので、いろいろ大丈夫になったら、ぜひぜひ再会いたしましょう!
 そのときは私はいつものように全力で愛想を振りまきますよ!
 じゃあね、バイバイ! またね! ま・た・ねーーー!!!!
<瀬名あゆむさんの連載は今回で休止となります。ご愛読ありがとうございました>
写真:瀬名あゆむ 近影
★瀬名あゆむツイッター
https://twitter.com/senachanpon
★ふぁんしーどりーみー【公式】Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCEgaeqp2bu9xWIwQdvTG20w
★あいどるかふぇ『2ねん8くみ』仙台本店ツイッターhttps://twitter.com/idolcafe2_8
★2ねん8くみ仙台校 HP
http://www.2-8cafe.com/
★あいどるかふぇ『2ねん8くみ』千葉校ツイッターhttps://twitter.com/chiba_nippachi
★2ねん8くみ千葉校 HP
http://2nen8kumi-chiba.com/
★『ふぁんしーどりーみー【公式】』ツイッターhttps://twitter.com/Fancy_Dreamy_
★『LIVE HOUSE 88(eighty eight) 』ツイッターhttps://twitter.com/tohoku88
【瀬名あゆむ・書籍のお知らせ】
 瀬名あゆむの新書『元アイドルのAVギャル瀬名あゆむ、アイドルプロデューサーになる』(787円税別/発売元:コアマガジン)全国書店・ネット書店で絶賛発売中です。発売から一定期間が経過したため、店頭にない場合も多いかもしれません。お近くに在庫がない場合は店舗カウンターまたはネットから是非、お取り寄せでご購入ください。
http://books.rakuten.co.jp/rb/15068251/
詳細・他のネット書店ご案内:
http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_024.html
【『2ねん8くみ』楽曲カラオケ&CDのお知らせ】
 デビュー曲『クラスメイト』がついに[カラオケDAM]に入りました!新曲『ドリーム☆ステージ』も[カラオケJOYSOUND]にて全国配信されています。
 さらにCD『アイドルライブラリー Vol.04』に「2ねん8くみ」の『ドリーム☆ステージ』と、「Asterisk from 2ねん8くみ」の『answer』が収録されています。Aが頭文字の某大手ネット通販サイトなどでお買い求めいただけます。
【瀬名あゆむ:プロフィール】
仙台&千葉のローカルアイドル『2ねん8くみ』プロデューサー。10代の頃に北海道のローカルアイドルとして活動し、メジャーデビュー寸前で挫折。その後、地方局TVレギュラー出演等をへてAV女優となり累計800本以上に出演した。1985年生まれ・さそり座・A型。
連載バックナンバー
https://wp.me/p95UoP-aT

※リンクの飛ばないサイトでごらんの方は、URLをアドレスバーにコピペしてください。

アーティスト

ブッチNEWS

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着