「劇場版 Fate/stay night [HF]」リ
レーインタビュー(4)下屋則子&浅
川悠 桜とライダーの関係性の変化

(c) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC 劇場3部作の最終章、「劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]』III.spring song」(8月15日公開)リレーインタビューの最終回は、下屋則子(間桐桜役)と浅川悠(ライダー役)。桜にスポットをあてた「Heaven's Feel」の物語には、これまで寡黙だったライダーの内面がうかがえるシーンが多くある。全陣営のなかで唯一の女性コンビで、プライベートでも親交のある2人にキャラクターの関係性の変化について聞いた。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)
――桜とライダーは、これまでのルートでは脇をかためるキャラクターでした。
下屋:キャラクター同士の関係性がうすいポジションだったせいか、これまで不思議と浅川さんとお話しする機会があまりなかったんです。ご一緒するようになったのは「Heaven's Feel」からでした。
浅川:収録をのぞいて、最初にご一緒したのは「間桐家舞台挨拶」(※第1章公開中の17年11月25日開催)でしたね。そこで連絡先を交換して、同じぐらいのタイミングで「衛宮さんちの今日のごはん」の収録もありましたから、桜とライダーとして会う機会が増えていきました。
(c) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC下屋:「Heaven's Feel」をきっかけに、プライベートでも一緒に遊びにいったりご飯を食べにいったりするようになりました。そうして仲良くさせていただくようになったのがすごくうれしくて、キャラの距離感と実際の交友関係がシンクロすることってあるんだなと思いました。
浅川:AbemaTVさんの特番(※「Fate/stay night 15周年記念アベマ特番」2020年1月30日配信)でも、それぞれの陣営のキャスト同士は、積み重ねてきた歴史が感じられて仲がいいんですよね。一緒に戦いはじめたばかりの私たちは、まだ少し初々しかったと思います。
――浅川さんは、はじめてライダー役を演じたときのことを覚えておられますか。
浅川:2006年のテレビシリーズ(※「Fate/stay night」)にピンポイントで出演したのが最初です。マネージャーからゲストキャラとしての出演だと言われて、「よしやるぞ」という思いで途中の話数から参加し、セイバーが強いことを世の中に知らしめるように散っていきました。
――オーディションはなく、指名だったのでしょうか。
浅川:おそらく、この役だったら浅川がいいのではないかと呼んでいただいたんじゃないかと思います。当時の私は今より芝居の幅が狭くて、ライダーのようにちょっと怖い女性役が定着してきた頃だったんです。陰陽師の女性や、「(キャラクターが)日本刀をもっていると浅川さんしか浮かばない」とよくスタッフの方に言われていました(笑)。
――桜とライダーは、マスターとサーヴァントの主従関係とは違った関係性を感じます。2人の関係をどう感じていますか。
下屋:第2章で、本当は桜がライダーのマスターであることが明らかになりますが、それまでも2人の時間は流れていたはずですよね。召喚されたライダーはマスターの慎二に酷いことをされていたり、蟲蔵に入れられた桜のことを、ぐっと唇をかみしめながら見ていたりしていたのかもしれません。そんなライダーが、第2章では士郎に「あなたは、どんなことがあっても桜の味方ですか」と問いかけます。誰かの命令ではなく、ライダーが桜のためを思って行動する姿を見て胸があたたかくなりました。士郎と藤村先生のほかに桜を大事に思ってくれる人はいませんでしたから、ライダーが隣にいてくれるだけで安心感があります。そうした相棒がいることになれていない私としては、ずっと兄の彼女だった人が、ある日突然親友になるような照れくささが最初はありましたが、桜とライダーがお互いのことを信頼しあえる間柄になれて、うれしかったです。
(c) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC浅川:「Heaven's Feel」のライダーは、思いをよせる桜の右肩となることで、物理的にも精神的にも演じていて解放感がありました。ずっと狭いところに閉じ込められていたのが広いところにでられて「んー!」と体を伸ばして、思うように力をだすことができている感じです。
 慎二がマスターだったときは、すべての事情が分かったうえとはいえ、ライダーは桜に愛情を示すことができませんでした。またセリフも少なく、何かふくむところがあるシーンが多かったように思います。それこそ、慎二に無茶なことを言われて「はい」と短く返しながらも、内心「お前がやれ」と思っていたはずなんですよね(笑)。それが桜のサーヴァントとして行動できるようになり、彼女から「ライダーお願い」と言われての「はい」は心からの「はい」なんです。嘘のないセリフが多くなって、気持ちよく演じることができています。
 「Heaven's Feel」は桜ルートと言われるだけあって、桜のサーヴァントであるライダーのことも、今まで以上に一挙手一投足を丁寧に描かれています。つくり手の方々がライダーに向きあってくださっていることを、ひしひしと感じられて、一員感というか、「私も『Fate/stay night』に出てます!」と胸をはって言うことができます(笑)。
下屋:すごく分かります(笑)。私もです。
浅川:これまでのルートの映像化では、「悠ちゃん出ているんでしょう?」と聞かれても、「出ているけど、すぐいなくなっちゃうんだよね」と付け足していましたが、「Heaven's Feel」は堂々と出ていると言えるのがうれしいです。
――全3章のアフレコを終えていかがでしたか。杉山紀彰さんとのインタビューで下屋さんは、「濃密な3年間だった」と話されていました。
下屋:「Fate/Zero」や第1章では幼少期も演じられましたし、第3章のアフレコが終わったときには、桜の半生を生きたような達成感がありました。もしかしたら「Heaven's Feel」の桜を演じるのは最後かもしれないという思いもあり、いつも以上に気合いが入っていました。アフレコのときには、桜に気持ちが入りすぎてしまったことも多々あって、第3章の最後の収録が終わったあと、急きょ「一緒にご飯に行きましょう」と浅川さんたちを誘って、みんなで飲みに行ったんですよ。
浅川:行きましたね。
下屋:まっすぐ帰るのではなく、皆さんと一緒に飲んで話すことで、桜を降ろしていきたかったんです。それぐらい思いをこめて「Heaven's Feel」の桜を演じられた実感があります。ufotableさんが、今だからこそあのクオリティのアニメーションをつくることができたと話されていたことがありましたが、私にとっても今だからこそ演じられた桜というのものがあったのではないかと思っています。
【関連リンク】・「劇場版 Fate/stay night [HF]」リレーインタビュー(1)杉山紀彰&下屋則子 士郎と桜が選んだ先にあるもの

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