「野村義男のおなか(ま)いっぱい お
かわりコラム」2杯目は羽生結弦を魅
了した歌声の持ち主、内田直孝(Rhy
thmic Toy World)が登場

ギターをこよなく愛するギタリスト・野村義男が、沢山の仲間を呼んでおなかいっぱいの内容でお送りする対談形式のコラム。おかわり2杯目は、代表曲「僕の声」を羽生結弦が勝負前に熱唱していた事で一躍話題となった、Rhythmic Toy Worldの内田直孝(Vo/Gt)が登場。
野村:はい、今回も始まりました「野村義男のおなか(ま)いっぱいおかわりコラム。第二回目のゲストはRhythmic Toy Worldのボーカル・ギター内田直孝さんということで、宜しくお願いします!
内田:宜しくお願いします!
野村:月並みだけど、コロナで変わったことはありますか? リズミックとしてもそうだけど、ウッチーそのものがコロナの影響でこうなりました、これをはじめた、これをやったみたいな。
内田:結局ライブができない分、新曲を作る機会が出来ました。その結果が3カ月連続配信リリースという形になるのですが。ちょうど2月28日が自粛前の最後のライブになって、そこからしばらくは様子をみていたんです。でも、夏に向けて自分達もそうですが、ファンの皆んなにもテンションを上げて楽しくしていってもらいたいと思って、毎月新曲を届けていこうよって方向になりました。
野村:エラいなぁ!
内田:今回このような状況になって、今までライブっていうものに生活のほとんどが割かれてた事に気付きまして。僕ら結構行く機会がある九州でのライブであっても移動は全部車で行くので、往復で考えたら2・3日くらいは移動で車の中なんですよね。よく移動の車の中でも曲作ってますみたいな話を聞くんですけど、僕はライブで使い切ってヘロヘロになってしまうので、移動中は休むのが基本だったんです。でも、その部分がなくなったのでしっかり曲を作れたというか。
野村:うん。
内田: でも、それは全部が前向きな意味じゃなくて、単純に音楽を発信していないと自分達が忘れられてしまうんじゃないかって、微妙な恐怖感があったんだと思います。自分達の存在を出せるものって、ライブが出来ないのであれば楽曲を出すしかないのかなって。
野村:その新曲のレコーディングはいつやってたの?
内田:自粛期間になってからですね。楽器は全部自宅レコーディングに変えて、歌録りだけ1人でスタジオに行ってという形です。だいたいリリースの1カ月前に録って、ミックスとマスタリングをしてというのを繰り返すイメージかな。
野村:やっぱえエラいよね。ミュージシャンの鑑だ!
内田:いやいやいやいや!(笑)
野村義男 / 内田直孝(Rhythmic Toy World)
野村:コロナになってからミュージシャンなんて皆んな仕事ないから、だいたいひと月くらいで答えが出てたよね。ウッチーみたいにそうやってちゃんと行動をしてる人と、僕みたいな人。実際、3カ月ぐらいギター弾いてないからさ。(笑)
内田:本当ですか!?
野村:一切触ってないもん。全く弾いてなくて、弾く気も起きない。毎日忙しい時は、“ここに2時間の隙間があるじゃん、楽器屋いかなきゃ!”とかギター命な人だったのね。でも、今は時間はいっぱいあるじゃない? その時間を有効に使えばいいものの、この暇な時間に全くギターに向かなくなったのよ。
内田:そういうもんなんですか?
野村:うん、だからひと月くらい経った時に不安になってちょっと触ったの。そしたら弾けるんだよね。弾けるんだけど、“あれ、ちょっと指痛くね? あーもうやだな”って。
内田:(笑)。
野村:それじゃヤバいっていうんで、また練習とかしなきゃって気持ちになれば良いんだけど、もう痛いからや~めた!ってなっちゃったの。で、なにしてるかって言うと、インスタをやってるかプラモデル作ってるかだから(笑)。
内田:なんだろなぁ、僕からすると今まで触りすぎてたんじゃないかなっていうのを感じます。だって単純に僕は音楽を仕事にして10年で、義男さんが40年だとすると4倍じゃないですか。しかも音楽の仕事量で言っても、舞台の大きさで言っても全然経験値が違う訳で。
野村:うん。
内田:例えば人生において、呼吸する回数が決まってるかのようにギターを触る時間が決められてるとしたら、今まではめちゃくちゃ触りすぎてたのかなって。前借していたというか。触りたくないなんて思えることって、今まで絶対なかったはずなんですよ。ギターが大好きだって部分と、求められて弾くっていうお仕事の部分が両立してるし、変な話ギターを弾かなくても成り立つ時間が、今まではなかったわけじゃないですか。
野村:でもね、そんなかっこよくないんだよ(笑)。今までの流れからすると、誰かのツアーとかで、曲を覚えなきゃとか、この曲を弾けるようにしなきゃとかで触る時間がいっぱいだっただけなのよ。それがことごとく中止になった瞬間に、「なぁ~んだ、別に弾かなくても良いんじゃ~ん。」って。
内田:それこそ2月29日に義男さんのアルバムが出たじゃないですか。で、普通だったらプロモーションなのかイベントなのかをするわけで、しかもあのアルバムってめちゃくちゃメモリアルだったし。制作も6年7年かけてとか、ジャケットも凄くこだわってとかも伺ってたので、それが出来ないなんて……
野村:でもきっとさ、コロナがあったから、逆にプロモーションが出来たということもあるかもしれないし。インスタ始めたのも4月2日なんだけど、そこでアルバムの曲たちを全部PV作ったら面白いかなと思って、そんなのも作ってみたり。たぶんコロナがなかったらまずインスタなんて始めてないし、PVとかも作る意欲もなかったし。SNSでいっぱい遊ぶことを覚えたからだよね、それまでは会社のブログしかやってなかったし。そのブログはまだ2020年になってないけど(笑)。
内田直孝(Rhythmic Toy World)
内田:義男さんのインスタのシュールな感じとかは結構好きです。細かい感じなんだけど、めちゃくちゃ写真がキレイで、見ものとしてシリーズでまとまってあったら良いなって思ってます。何度もお伝えしてますけど、僕にしても僕の親からしてもレジェンドなわけで、その義男さんがギターとかを使ってシュールな遊びをしているのが凄く可愛くて。
野村:若者に褒められた! 色んなものの物撮りが大好きなんだよね、撮影で使ったギターとかも同じのは出さないようにしてるし。でも、インスタってお金になんないからさ。誰かが本にしましょう!って言ってくれるまで待ってます。
内田:個人的にはめちゃくちゃハマってるので、ずっと更新し続けてほしいなって思います。
野村:まあでも、今のうちはあれだけど仕事が始まるとだんだん更新しなくなるだろうけどね(笑)。だってさ、ネタとか大変なんだよ。
内田:だったらもう写真が3枚あったら、1日ずつにしちゃうとか。
野村:それはイヤなんだよ。朝イチとか昼イチとかあたりの時間帯に絶対これ見たいでしょ?って思うんだよ。夜は夜でほんわか寝たいから、そういうものを上げたりとか、一応自分の流れがあるから。
内田:むしろ上げる時間帯で見る人のことを想像してやってる人の方が少ないと思います(笑)。
野村:本来は今あったことをメモする為に写真を撮って言葉を残せるものって言われたんだけど、僕はそれを上げる為にノート1冊持ち歩いてんの。で、散歩とかしながらそのノートにネタを集めて、そこから時間帯でセレクトして上げてるって感じ。
内田:ギターを触ってないって仰ってたんで、正直どうしたのかなって思ってたんですけど、なんかもうこんな違う形のクリエイティブで時間を使ってるのであれば、存分にやっていただきたいなって思います。
野村:マジですか?
内田:かなり有意義な時間の使い方だと思いますけどね。本当に何もしてない人は、こんな時間のかかることやらないと思います。
野村義男 / 内田直孝(Rhythmic Toy World)
野村:ウッチーは散歩とかしない?
内田:散歩毎日します。シロアリの害虫駆除をやってる知り合いが、インスタにビフォーアフターの説明つけてシロアリの時期ですみたいなのを上げてたんです。コンって叩くと柱がバラバラになって中が空洞になってるのがわかるみたいな。
野村:うん。
内田:それを見てシロアリって凄いなって思って。でも、シロアリってなんかそこら中で見られるもんじゃないから、とりあえずアリを見ようと思ったのもあったし、ちゃんと陽の光も浴びておきたいし、毎日外に出ようかなって。
野村:うんうん、大事だね。
内田:実は近場に森があって、今までは虫が多いからイヤだなあって思ってたくらいだったんですけど、これだけ虫が多いんだったらアリの巣とかもあるんじゃないかって、行ってみたんです。
野村:はいはい。
内田:そうしたらアリの巣なんていっぱいあって、今まで見る機会もなかったんでマジマジと見ていたんです。アリって出入りを繰り返すわけじゃないですか、これなんでなんだろう?ってよく見てたら、出てくるアリが皆んなこんな小さい砂のカケラみたいなものを持ってて、ちょっと離れたところに置いてまた入っていくんです。
野村:ちゃんと仕事をしてるんだね。
内田:アリの巣ってこうやって作られるんだっていうのに、もの凄く感動してしまって。
野村:分かった、じゃあアリを飼おう!
内田:そうなんです、昔あったじゃないですか? 透明な板に挟まれたアリの観察キットみたいなやつ。それを調べたら本格的なものも結構あって、普段は側面のシャッターが閉まって活動を妨げないように出来るものとか、普通のアリよりも大きい女王アリを購入して生態系を観察できるものとか。まだ手は出してないんですけど、凄く迷ってます。
野村:うん。
内田:何と言うか、人知れず毎日通り過ぎてたのに、誰に何も気づかれなくても毎日コツコツと小さい粒をひたすらひたすら運び続けてる姿に、自分を重ねてしまったんです。
野村義男
野村:良い話! 曲出来るじゃないですか。アリによって人生を変えられた男。
内田:(笑)。
野村:あ、ちょっと違うか。アリのおかげで生き方を見つけることが出来た男!
内田:そうなんですよ。本当にこの自粛期間だったりとかコロナがあって一番大きかったのは、そのコツコツ精神みたいなところに心底、感動出来たというところが、でかかったんじゃないかなって。これをやって何になるんだろう?って思うことって結構あったんですね。早く結果を求めちゃったりして。
野村:うん。
内田:なんとなくそれじゃいけないとは思っていたけど、過ぎていく日々も早過ぎて。それがこの期間で、そのほんとにもう誰も見てなくてもいいから、毎日何かアクションを起こそう、俺の巣を作る感覚とでも言うのか。毎日少しでもいいから、俺の巣を大きくしていこうって。
野村:きっと僕にとってはそのアリがインスタなんですよ。
内田:きっとそうですよね。そういう何かに対して心を動かされたことがあるだけで、僕らはかなり儲けもんだったなって思います。どう過ごせば良いかなって結構悶々と悩んでいたので、大げさではなく救われました。
野村:そうか、アリに救われたんだね。
内田:はい。だからアリガトウって。
野村:うまいっ! 座布団持ってきて。

撮影=kaochi
野村義男 / 内田直孝(Rhythmic Toy World)

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