久石譲が日本センチュリー交響楽団の
首席客演指揮者に就任

2021年の4月より、日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に久石譲が就任する。
スタジオジブリ作品の音楽制作で知られる作曲家 久石譲だが、最近はオーケストラの作品作りに取り組む傍らで、ロンドン交響楽団や香港フィルハーモニー管弦楽団を定期的に指揮するなど、指揮者としての活動も精力的にこなしている。
2016年に開館した長野市芸術館の音楽監督に就任した際、レジデント・オーケストラとして「ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)」を誕生させ、「ロックのようなベートーヴェン」というキャッチフレーズの下に繰り広げられた演奏は、国内主要オーケストラで活躍する腕利き達による、リズムに重きを置いた斬新なもので、当時大変な話題となった。昨年には長野市の予算上の問題から、NCOは新たに「フューチャー・オーケストラ・クラシックス(FOC)」へと進化を遂げ、「久石譲ベートーヴェン交響曲全集」をリリースし、第57回レコードアカデミー賞特別部門賞も受賞している。
日本センチュリー交響楽団と久石譲は、ここ10年に渡り共演回数も多く、ベートーヴェン交響曲第9番といた古典派の作品も演奏しているが、カール・オルフ「カルミナ・ブラーナ」、レナード・バーンスタイン「シンフォニック・ダンス」、ジョン・アダムズ「ザ・チェアマン・ダンス」等、近現代の作曲家の曲で多くの共演実績がある。
今年4月には、秋山和慶をミュージック・アドバイザーに迎えて、首席指揮者 飯森親範との指揮者2枚体制で行くと思われていたが、久石譲の首席客演指揮者就任により、正統派プログラムに加え、多彩で変化の富んだ斬新なプログラミングも企画していこうという楽団の思惑が見て取れる。関西に複数あるプロのオーケストラと明確にプログラミングの差別化を図り、クラシックに比較的なじみの薄いファン層を取り込む作戦が有るのかもしれない。何しろ、日本センチュリー交響楽団には顧問としてドラゴンクエストでお馴染み、すぎやまこういちの名前もあるくらいで……。
ドラクエとジブリ、これは強力だ。
ドラゴンクエストのすぎやまこういちは、日本センチュリー交響楽団の顧問  写真提供:日本センチュリー交響楽団
指揮にかける思いの強い久石がオーケストラのポジションに就いて、一体何をやろうと考えているのだろうか。
久石の並々ならぬ意気込みは、メッセージからも伝わって来る。
「日本センチュリー交響楽団とは、ここ10年ほどの間に、ベートーヴェンの「第九」から、カール・オルフ、レナード・バーンスタイン、ジョン・アダムズといった近現代の作曲家の作品を演奏して来ました。皆さん積極的で、とてもバランスの取れた素晴らしいオーケストラです。そんなオーケストラでこのようなポジションを頂くのは、大変光栄なことです。
私は常々、作曲家・指揮者として、過去・現代・未来につながるクラシック音楽の在り方を追求していきたいと思っていました。例えば、ミニマル系の楽曲を演奏する際のリズムを活かし、作曲家としての視点からスコアを見直して現代の解釈として演奏する。そうすることによって聴きなれたクラシック音楽がちょっと違う“Up-to-date”な音楽(最新の音楽)になると思うのです。
クラシック音楽は古典芸能ではありません。 – 過去から未来に繋がり、時代と共に解釈が変わっていく− そういう演奏をしていきたいと思っています。
そして、大阪のお客様が心から応援したくなるようなオーケストラを目指します。いつか彼らと一緒に海外で演奏できたら素敵だなと思っています。皆さん、コンサートでお会いしましょう!」
これに対して楽団員からはこんな声が聞えてきた。
「これまで幾度となく共演を重ね、その心に響く音作りや、楽譜の新鮮な解釈に、私達はいつも心を奪われて来ました。来シーズンから一緒にどんな音楽を作っていけるのか楽しみでなりません。」
心配は無用。相性は良いようだ。
飯森親範のハイドンマラソンで鍛えた足腰の強さに加え、秋山和慶の卓越したバトンによって磨かれたオーケストラとしての高い技術力は、久石譲が加わる事で、テクニシャン揃いのセンチュリーサウンドに新たな魅力が加わり、さらに光り輝く事だろう。
Withコロナの時代を生きるオーケストラとして、どのオーケストラよりも早く始めた有料による動画配信ライブは、「ドラゴンクエスト・スペシャルコンサート」としてこれまで2回実施。既に、8月、9月と第4回目までの公演が決まっている。
ソーシャル・ディスタンスによる客席数減少問題を抱えるオーケストラ業界にとって、有料配信ライブは共通のテーマだが、既にスタートさせている彼らのアドヴァンテージは大きい。問題点をクリアにしつつ、定期演奏会などへ拡大していく事も視野に入っているようだ。
ドラゴンクエストの有料ライブ配信は既に2回実施  写真提供:日本センチュリー交響楽団
そして、日本センチュリー交響楽団が毎年この時期に行う、噂の「星空ファミリーコンサート」も、これまた他のオーケストラとの大きな差別化となっている。
緑に囲まれた服部緑地野外音楽堂でのコンサートは、文字通り星空の下、ここでしか味わうことの出来ない解放感溢れる極上のコンサートだ。25回目となる今年は、日本センチュリー交響楽団の元首席客演指揮者として強い絆で結ばれた佐渡裕が登場。加えて、関西を中心に活躍する豪華歌手たちが一堂に会し、お馴染みの名曲に、お楽しみの指揮者体験コーナー。
日本を代表する指揮者 佐渡裕  (c)Takashi Iijima
解放感抜群!の星空ファミリーコンサート  写真提供:日本センチュリー交響楽団
そしてメインの曲は、ナント星空の下で奏でるベートーヴェン「第九」の第4楽章!
有名な「第九」の一節、「抱き合おう、諸人よ!この口づけを全世界に!兄弟よ、この星空の上に聖なる神が住み給うはず!」を、コロナ禍のまさに今、実感出来るのだ。
このコンサート、驚く事に入場無料で、例年なら当日の先着順で予約なども必要なく、定員に達するまでは入場出来たが、今年はコロナにより客席数が通常の半分程度に制限されることも有り、往復はがきによる事前申込制に変わっているので、くれぐれもご注意を!
このコンサートをこれまで無料でやり続けて来たのは何とも太っ腹なことだが、今年はこの豊中の夏の風物詩「星空ファミリーコンサート」を、地元の豊中市が実施する「ふるさと納税型クラウドファンディング(ガバメントクラウドファンディング)」による支援の下、開催するそうで、一般の方からも広く支援を呼び掛けているそうだ。
詳細は下記の公演情報をご覧頂きたい。
何かと話題の多い日本センチュリー交響楽団。クラシック通の貴方は、ハイドンマラソン派、それともこだわりの定期演奏会派? 家に居ながらリラックスして「ドラゴンクエスト・コンサート」という手もあるし、過ぎ行く夏を惜しみながら、大切な家族と「星空ファミリーコンサート」なんて選択肢も。
もはやクラシック音楽は垣根が高いとは言わせない!
日本センチュリー交響楽団の音楽は、様々なライフスタイルに合わせて色々なカタチで楽しめる。
これこそが、Withコロナの時代のオーケストラの楽しみ方ではないか。
私達の活動に注目してください!  (C)s.yamamoto
文=磯島浩彰

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