茅原実里 無観客配信ライブ『サマチ
ャン2020』への思いを語る 「あの場
所に立って歌ったら、みんなの笑顔が
思い浮かぶ」

新型コロナウイルスの感染拡大によって、春に予定していたオーケストラコンサートやファンクラブ限定のキャラソンライブが延期となってしまった茅原実里。万全の体制を期して臨む『「SUMMER CHAMPION 2020 ~Minori Chihara 12th Summer Live~ 」配信ライブ』への意気込みと、彼女を支える「12年積み重ねてきたもの」への思いを語ってもらった。

新型コロナによる外出自粛期間を経て「最近は主食をオートミールに」
――ライブの話に入る前に、まずは近況からお聞きしていこうかなと。新型コロナウイルスの感染拡大で、4月には緊急事態宣言。外出もままならない時期が続きましたが、どのように過ごされていましたか?
世界的なパンデミックになってしまって本当にびっくりしました。 うーん、何をして過ごしていたんだろう……。
――ブログには料理の写真がたくさんアップされていましたよね。
不要不急のおでかけはしないようにしようと思って、家の中になるべくずっといるようにしていました。極端な性格だから閉じこもってばっかりで、友だちにも「少し外の空気を吸わないとダメだよ」って心配されました。
――料理は気分転換のような意味も。
けっこう気持ち的にふさぎこんでいたりもして、自分でもヤバイな、何かしなくちゃと思ってお料理をしたりしていました。あとは、私のバンド「CMB(Chihara Minori Band/Creative Music Band)」のメンバーで、ギタリストの馬場ちゃん(馬場一人)にオンラインでギターレッスンをしてもらったり、曲を作ったりということはしていましたね。
――6月19日に緊急事態宣言が解除されてから、徐々に外出制限などは緩まってきましたが、何か変化はありましたか?
ないかもしれないですね。今もやっぱり注意して生活しなくちゃいけないし、東京も感染者の方が多かったりするので(取材時、東京都では1日あたりの感染判明者数は150人から300人未満で推移)。友だちとどこかに遊びに行ったりすることもないですし、外食もすごく少ないですし。あまり変わっていないですね。
SUMMER CHAMPION 2019 ~Minori Chihara 11th Summer Live~より
――基本的にはずっと家で過ごされている。
スーパーと家だけ!っていう感じでしたね。でも、友だちとZOOMとかで話しながら飲んだりっていうのはしていましたね。多い日は6~7時間くらいお話ししていたこともありました。
――人との接触8割減を実行して過ごしてきたと。
そうなんですよ。運動不足にもなっちゃうし、ダイエットをしなくちゃと思って、最近は主食をオートミールに変えて過ごしています。
――急にアスリートみたいな単語がでてきましたね(笑)。
あはは(笑)。もうね、ライブもすぐなので。
――ギターの練習以外には何か歌や芝居のトレーニングのようなことは何かやっていましたか?
河口湖ステラシアターでのライブに向けての準備は家でも始めていますけど、その前はトレーニング的なことは何もしていなかったですね。本当にギターを弾いて歌うくらいで。そんな感じでしたね。
12回目の「河口湖ライブ」、コンセプト「自由に」の由来は……
――それでは本題、『「SUMMER CHAMPION 2020 ~Minori Chihara 12th SummerLive~ 」配信ライブ』のお話に入りたいと思います。何より、オンラインではあるものの開催できて良かったですよね。
状況的に、開催自体がもしかしたら厳しくなるかもしれないなという不安もあったなかで、プロデューサーが最後まであきらめない姿勢を貫いてくれて無観客ではあるものの生配信という今の状況ではベストな形で着地したなと思っています。
――今回、発表されたコンセプトが「自由に」ということですが、どのように決まったんですか?
ちょっとコンセプトを語るのは恥ずかしいんですけど(笑)。12年連続で、12回目のライブというところで、家でずっと一人で考えていたんですね。「12回……12年目かあ……」ってずっと12の数字にとらわれて考えていて。
――積み重ねてきた回数ですもんね。
それで「12」をずっと繰り返していて。「12、じゅうに、じゅうに…じゆうに…自由…自由でいいじゃん!」っていうのが自分のなかでのひらめきで(笑)。「自由に!自由なライブにしようっていうのはどうですか」と提案したら、それが通ったっていう感じでした。
――まさかのダジャレ……! 「自由」ではなく「自由“に”」なんですね(笑)。
そうなんですよ(笑)。でも、もう12回もやっているから、コンセプト的なアイデアは出尽くしているんですよね。夏になったら茅原実里を中心に河口湖ステラシアターにみんなで集まって、音楽で一つになって、花火を見て、「また来年会おうね」と約束をするっていう。お正月の初詣に行くような、そういう感覚に近いものがあって。年に一度のお祭りですよね。
「SUMMER CHAMPION 2020 ~Minori Chihara 12th Summer Live~」キービジュアル
――公式サイトでは「グラフィティアートのように自由に」と補足されて、イメージビジュアルも公開されています。
「自由に」というコンセプトを受けて、いつもお世話になっているデザイナーの姫野さんが提案してくれたデザインで。これもとっても素敵だねっていうことでこんな感じになりました。
――オンラインライブという形での実施は初めてになるわけですが、これまでにもライブを中継することはありましたよね。
そうですね、河口湖ステラシアターのライブも1度だけありますね。ニコ生だったかな。
――はい、ニコニコ生放送で2012年の『SUMMER CAMP 4』が生中継されました。今回は無観客という点が大きく違いますが、どういったことを意識されていますか?
そうなんですよね、目の前にみんながいないわけですから、ぜんぜん違いますよね。それこそ、リハーサルをしているような状況が本番っていうことですもんね……。ただ、配信だからこそ気軽に観に来てもらえる可能性もあると思ったので、茅原実里のコアなファンの方からライトな方までみんなが楽しんでもらえるようなセットリストにしようと思って組み立てていきました。あとは、12回目の河口湖ステラシアターで、普段は踏み込めないようなエリアに行って歌ってみようとか、お客様がいないからこそできるようなアイデアも出ているので、配信だけだからこそできる楽しい演出ができたらいいなと考えていますね。
――その辺も「自由に」というコンセプトに合っている部分ではありますね。
そうですね。本当に自由なライブになるんじゃないかな。でも、自由過ぎても困っちゃいますけどね(笑)。バンドメンバーとも距離を保った状態でやらなきゃいけないので。ノリノリになっちゃって近づいたりしないようにしきゃとは思っています。
――そのあたりの、コロナの感染拡大防止ということは意識も強くされていらっしゃるんですね。
はい。河口湖に乗り込むバンドメンバー、チームスタッフ全員が万全の対策をして臨みます。ライブ中も、観ている皆さんが心配になったり楽しめなくなっちゃったら嫌なので、私も初体験でどこまで意識できるのか心配なんですけど、対策をしながら精一杯がんばります!
初めての無観客でも「蓄積された思い出があるから心強い」
――春以降、生配信のライブを行うアーティストはたくさんいましたが、ご覧になったものはありますか?
最近だと、同じ(所属事務所)ホリプロインターナショナルのニノミヤユイちゃんや安藤裕子さんのライブを観ました。
――参考になったことや、自分でもやってみたいと思ったことはありますか?
やっぱり、ライブをやる場所や環境、発信する側のスタイルで見せ方、見え方はすごく変わってくるなあと思いましたね。私はありがたいことにやりなれているステラシアターでバンドメンバーと一緒にできるので、逆にあまり気負わずにいつもどおりのスタイルでライブを楽しんでいけば、きっと見ているみんなも楽しんでくれるだろうなと思っているんですけど。
SUMMER CHAMPION 2019 ~Minori Chihara 11th Summer Live~より
――スタジオやライブハウスからの配信が多いなかで、ステラシアターで配信ライブをするということは、すごく特別なことのように思えたのですが、茅原さんとしては逆にやりやすいと。
そうですね、「初めてのことをやる」という意識はあまりなくて。音楽を届けていく環境は変わらないので、いつもどおりで良いと思っています。
――アイドルの配信ライブでは、ファンのコメントをモニターに表示したり、顔をモニターに表示して、ファンの存在を感じられるようにしているものもありますが、茅原さんはそういうファンの存在を感じられるように何か考えていることはありますか?
ライブ中にコメントを見るんですか!?
――ライブハウスやスタジオなどからの配信で、壁にプロジェクターで投影したり。河口湖ステラシアターとはぜんぜん環境が違いますけど。
たぶん、あの場所に立って歌を歌ったら、みんなの笑顔が思い浮かんだりみんなの声が聞こえてきたりするような気がします。12年積み重ねてきたものがあるので、そこはすごく心強いです。
SUMMER CHAMPION 2019 ~Minori Chihara 11th Summer Live~より
――ファン側からすると、「この曲を初めて聴いたときこんな感じだったな」「前にこの場所でライブやってたときはこんな感じだったな」といった思い出も重ねて見えたりもするのですが、歌っている側もそういったことがあるんですね。
河口湖ステラシアターだから、よけいにありますよね。10年以上毎年やっているライブなので。だから、あまり無観客ということへの不安がないのかもしれないですね。実際にお客様はいないけど、でもきっと笑顔だったり気持ちだったり、体温を感じながらできるだろうなと思っているのは、あの場所での蓄積された思い出があるからだろうなって。
――それはファンにとってもうれしいと思います。
12年だから、その間に結婚して家族ができて、家族と一緒に遊びに来てくれる方がいらっしゃったり。友だちが増えて輪が広がって、みんなでキャンプして楽しんでくれたり。みんなにとっても、あの場所でのライブには歴史があると思いますし。だから良かった!ライブができて。
SUMMER CHAMPION 2019 ~Minori Chihara 11th Summer Live~より
――逆に、スタジオやライブハウスのほうが難しかったかもしれない。
はい。たぶん、テレビの収録みたいな感じになりますよね。
――カメラに目線を送るか送らないか、みたいな。
私、へたくそなんだよなあ……カメラにアピールするのが。それこそ『SUMMER CAMP 4』で中継をやったときも、目の前のお客様にすべてのベクトルが向いてしまって、カメラの向こう側にいるお客様をあんまり意識できなかったので。今回は、カメラの向こう側がメインになる……だからといってずっとカメラ目線で歌うわけではないんですけど(笑)。意識する場所がちょっと変わってくるのかなというところで、難しさはあるかもしれないですね。
――そのあたりはリハーサルで確認しながら調整していくことに。
そうですね、いつも通りと言いつつも、やっぱり新しい試みにはなるので楽しんでいけたらいいなと思います。開催できること自体がすごくありがたいと思うので。
毎年恒例、夏の行事「河口湖にいるような気持ちで観てもらいたい」
――無観客ではあるものの、ファンへの思いが強く込められたライブになりそうですね。
この状況下でライブができることって、本当にすごいことだなと思うんですよね。それはやっぱり「私の歌を聴きたい」って言ってくれるファンのみんながいてくれるからなので。本当にみんなに生かされているなっていうことを今すごく実感ているので、感謝の気持ちを届けたいし、一人でも多くの人をハッピーに、笑顔になってもらえるようなライブにしたいなと思っていますね。
SUMMER CHAMPION 2019 ~Minori Chihara 11th Summer Live~より
――今回、ファンは画面越しにライブを観ることになりますが、茅原さん的にどういうふうに楽しんでほしいというイメージみたいなものはありますか?
一人で観る方もいれば、友達やカップル、ご家族で観る方もいると思うので、ご近所迷惑にならないように(笑)、一緒に歌ったりして楽しんでもらいたいなと思います。今回もグッズは作っているので、おうちでTシャツを着て、いつもどおり……とはいかないですけど河口湖にいるような気持ちで観てもらいたいですね。家で観る人がほとんどなのかなあ? 各々のスタイルで生配信の楽しみ方を編み出してもらえたら嬉しいですね。
――茅原さんにとってもファンの方にとっても大切な「夏の毎年の約束」だというのが伝わってきました。改めて、どういうライブにしたいか、意気込みをお聞きしたいなと。
毎年恒例の行事で、12年目の夏というところで、私もすごく楽しみにしていたし、ファンのみんなとの約束を守ることができて、感謝の気持ちでいっぱいです。河口湖ステラシアターのスタッフの皆さんもそうですし、河口湖町の皆さんも本当に応援してくれているので、その気持ちにしっかりこたえたいと思っています。今年もみんなと一緒に夏の最高な思い出を作れるようにがんばります。
SUMMER CHAMPION 2019 ~Minori Chihara 11th Summer Live~より
――何より無事に終えることが大事ですからね。夏以降にも、11月には『Minori Chihara ORCHESTRA CONCERT 2020「Graceful bouquet」』の延期公演があり、ファンクラブ限定のキャラソンライブも11月、12月に予定されていますし、そちらに向けての弾みもつけていきたいところですよね。
そうですねえ…本当に会いたいですね。私はやっぱり直接会えないのはつらすぎる。会わないと無理です私。オーケストラもファンクラブのイベントも、どういう形で開催されるかも今の状況だとわからないですからね。もしかしたら配信という形になる可能性もあると思ったりはするんですけど。どちらも15周年プロジェクトなので、しっかりこれはファンのみんなと一緒に締めくくりたいなと思っています。
取材:藤村秀二、加東岳史 文:藤村秀二

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