首振りDolls × 鮎川誠(シーナ&ロケッツ)鼎談

首振りDolls × 鮎川誠(シーナ&ロケッツ)鼎談

首振りDolls、憧れの鮎川 誠と鼎談!
ジョニーとナオが感銘を受けた
ロックレジェンドの
最高にカッコイイ生き方とは

首振りDollsも
東京に来たんやから、
“今”やらんと。

首振りDolls × 鮎川誠(シーナ&ロケッツ)鼎談

首振りDolls × 鮎川誠(シーナ&ロケッツ)鼎談

――今回、『LIVE FOR TODAY ! -SHEENA LAST RECORDING & UNISSUED TRACKS-』の中で個人的にめちゃくちゃ好きだったのは「KISS KISS KISS」のピッキング。最高でした!
鮎川:良いよね! あのピッキング! そうなんよ。あれにもストーリーがあってね。オノ・ヨーコがスタジオに来てくれるんよ。せっかくヨーコさんが来てくれるなら、ジョンの曲かヨーコさんの曲をやりたいね! って言うて。ニューヨークでの話なんだけどね。それで、シーナが「KISS KISS KISS」を歌いたいって言ったから、じゃあそれにしようって決めて。みんな“ヨーコさんに聴いてもらえるかもしれないから!”っていう想いで演ったから、ものすごい力が発揮されて(笑)。あれは1発録り。俺たちからのラブレター。下手な字で書いたラブレターで良い。ヨーコさんとても喜んでくれて、家にも招待してくれたんよ。

――カヴァーって、またオリジナル曲とは違った思い入れがありますからね。そこも含め、愛しさがサウンドに詰め込まれてる気がします。
鮎川:そうね。本当に。好きなアーティストの曲ばっかり集めて入れてあるからね、今回も。ただ、最初はシーナのラストレコーディングの7曲だけを出したかっただけだったんよ。本当は、『ROKKET RIDE』を作ったときに1日余ったけ、次のアルバム用にちょっとスケッチしようかって、“んじゃあ1曲目何にしようか「Loudmouth」やってみよか!”って。イントロかき鳴らしたら、シーナが隣で“You're loudmouth baby!”って叫びよって。
ジョニー&ナオ:おぉ〜〜〜〜! いいですね!
ナオ:テンション上がりますよね! 
鮎川:そう。でも、「Loudmouth」弾いてたとき、途中で弦が切れたんよ。肝心なとこでね。始まってすぐのとこ。
ジョニー:え〜〜~っ!? で、どうしたんですか?
鮎川:辞めたらカッコ悪くなると思って、最後まで弾き続けた。ちょっと変な音になっちゃうけど、なんとかなるから! 
ジョニー:すごい。でも、それこそロックですよね!
鮎川:そうやね。
ナオ:カヴァーがバンドの腕の見せ所というところなんですけど、私が初めて「You Really Got Me」って曲を知ったのは、初めてこの曲を聴いたのは、シーナ&ロケッツだったんです。1番最初に聴いた「You Really Got Me」は、シーナさんの歌声なんです! だから、自分の中での「You Really Got Me」って、シーナ&ロケッツなんですよね〜。その後に聴いたのが、ヴァン・ヘイレンの「You Really Got Me」でした!

――あ、私の最初の「You Really Got Me」はヴァン・ヘイレンだったなぁ(笑)。
ナオ:私はさらに、ヴァン・ヘイレンから、大元のキンクスに辿り着いたんです(笑)!
ジョニー:ロックってそういうもんですよね!
鮎川:そう。ロックってそういうもん。「You Really Got Me」の歌い出しは、“Girl, you really got me〜”なのに、シーナは最初からBoyって歌っているからね(笑)。ロックっていうのはそういうもんたい。やらされたロックじゃない。自分がロックで遊んどるんよ。自分たち流になっとるというか、せんといかんのよ。
ジョニー:すげぇ。やっぱカッコイイ!
ナオ:でも、本当にそうだもんなぁ。俺の中で「You Really Got Me」は、Sシーナ&ロケッツの曲なんやもん。
ジョニー:そうなったら勝ちよね。
ナオ:うん。そうよね。シーナ&ロケッツの音楽は、我が家では私が生まれた頃から既にそこにあったものだったんです。
ジョニー:そう。普通にもう実家にあったよね。
ナオ:そう。生まれる前からあった。
鮎川:ね〜。そう思うとすごいことだよね。幸せなことだよ。こんなに歳の離れたロック友達が出来るなんて。ものすごく嬉しい。
ジョニー:友達だなんて! そんなふうに言ってもらえてこっちこそめちゃくちゃ幸せです!

ナオ:高塔山ジャムで対バンさせて頂いたときの打ち上げで乾杯の後、鮎川さんとお喋りさせて頂いたんですけど、そのとき鮎川さんが、“もう俺たちはロックファミリーやけ”って言ってくれたんです。俺、その言葉が嬉しすぎて忘れられないんです! めちゃくちゃ家族に自慢しましたもん!
鮎川:今もその気持ちに変わりはないよ。俺たちはロックファミリーやけ。
ジョニー:僕は、そのとき、シーナさんと写真撮ってもらったんですよ。でも、やっぱり緊張して、ちょっと離れて隣に立たせてもらったら、シーナさんが、“もっと近付きなさいよ!”って、ギュッと肩を引き寄せてくれて。すごく嬉しかったんです!
鮎川:おー、本当? そんなことがあったとね? きっとシーナも嬉しかったろ。
ナオ:“可愛いね”って言ってもらったのすごく嬉しかったんです!
鮎川:シーナ、ナオのこと好きやったけね。
ナオ:わぁ〜! 鮎川さんに自分の名前を呼んでもらえるのだけでも嬉しいのに、そんなこと言ってもらえて光栄です! 嬉しいです! 純粋に!
鮎川:首振りDollsっていいやん、ニューヨーク・ドールズみたいで。
ジョニー:おぉ! まさに首振りDollsのドールズはそこなんです!
鮎川:うんうん、分かるよ。サウンドも最高たい。最高のロックやん!
ジョニー:嬉しいです!
ナオ:本当に最高に嬉しいです! ロックンロール・ゴッドにそんなこと言ってもらえるなんて!
ジョニー:最高です! 頑張れます、俺!
ナオ:本当よね。鮎川さんの言葉一つ一つは、本当に大切なメッセージやなって思う。“みんな憧れのロックバンドに憧れて、それに近付こうと頑張る”って、さっき鮎川さんがおっしゃってたけど、ジョニーのギターも鮎川さんへの憧れで形成されているし、私自身、ステージで着物を着て歌ってるのは柴山さんへの憧れだし、ステージで髪を大きく立ててるのはシーナさんへの憧れでもあるんです!
鮎川:ありがとう。でも、みんなそうだよね。みんなそういう憧れから繋がれていってる。俺もそうやし、ミックもそうやし、キースもそうやし、もっと言うなら、神様ボブ・ディランだってそうだと思う。全部同じ音楽だからね。みんな憧れから繋がっていってる。それは、ナオもジョニーも俺もミックもキースもエリック・クラプトンもみんな一緒。それがロック。けど、自分が人にとってそういう存在になれてるのは嬉しいことだね、それ。ありがとう。
ナオ:いえいえ、ありがとうって言わなくちゃいけないのは私達の方です! 鮎川さんにはたくさん貰ってるものがあるんです。
鮎川:スピリットを受け継いでくれてるわけやね。ありがとう。でも、そうだね、九州のロックはルーツのあるロックン・ロールかもしれないね。たしかに、福岡はこだわりもんが多かったから、そういう意識が強いかもね。
ジョニー:ルーツってすごく大事だと思うんですよね。個人的に、ルーツを感じない音楽って好きになれないんです。そこはすごく大事なところだと思うから。僕も九州に居た頃、最初にロックの衝撃をもらったザ・ルースターズの前身バンドの人間クラブのボーカルだった南浩二さんがやってるお店によく行ってて、南さんからサンハウスを教えてもらったんです。KISSも南さんに教えてもらったんですけど、南さんに“1番好きなバンドは何ですか?”って聞いたときに、“サンハウス。サンハウス知らんの?”って言われて、ボロボロになるまで聴いたサンハウスの『有頂天』を見せてもらったんです!
鮎川:おー、そうね。伝道師になってくれとんやね。それは嬉しいね。
ジョニー:自分が知らない音楽を教えてくれる人の存在って、本当に大切だなって思うんです。本当にありがたいなって思う。“うわぁ、教えてくれてありがとう!”ちなるんです。
鮎川:そうよね。嬉しいよね。見つける喜びもあるよね。シーナもサンハウスを見つけてくれたんだけど、本当に見つけてくれてありがとうって思った。その頃俺たちは、川端のヤング・キラーっていうダンスホールでハコバンやってて、毎日40分のステージを2バンドで4ステージ任されとったからね。そこでシーナと出逢ったんよ。シーナは、全国いろんなバンドを見て回って来た中で、たまたま見つけてくれたサンハウスが、1番良かったって言ってくれて。嬉しかった。

――逆に、シーナさんも見つけた喜びが大きかったと思います。
鮎川:そうね、その喜びもあるよね。世の中にはたくさんの音楽があるからね。俺自身、好き嫌いもあるから、聴かず嫌いで聴きそびれた音楽もたくさんあるとは思うけどね。いっぱいいい音楽には出逢った方がいい。
ナオ:本当に、逢えて良かったって思える音楽ってありますもんね。憧れがルーツを作っていくと思うから。そういえば、ずっとジョニーが鮎川さんに会ったら言いたいって言ってたことがあって。私たちの曲で「渇いた雨」っていう曲があるんですけど、ジョニーが当初この曲を作っていたときに、イントロのフレーズが、サンハウスの「スーツケースブルース」以上のものが出て来なかったみたいで、そこのフレーズをオマージュとして使いたい言って来て。
ジョニー:そうなんです! ずっと鮎川さんに会ったら“フレーズをオマージュとして使わせて頂きました!”って伝えたかったんです! 叱られるかなぁ、、、、ってちょっと恐々ではありますが、、、、。
鮎川:そんな全然! 逆に嬉しいことだし、それが出来るロックバンドって、すごくお洒落だと思うよ。知ってる人しか弾けないことやし。それを知ってるってことやからね。俺だってクラプトンやピーター・グリーンをなぞったからね。50年前のB.B.キングも50年後のB.B.キングも同じなんよ。いくつかのフレーズで良い。俺はそげん思っとる。歌が求めたときに、側でギターを鳴らせれたらいい。それがギターの役目やけん。それに、同じ曲でも歌い手が違うだけで違う曲になるし、聴いてくれた時点でその音楽はその人のものになるからね。それを引き継いでくれたことが嬉しいし、何よりも、見つけてくれたことが嬉しいよ。ありがとう。
ジョニー:ありがとうございます! そんなふうに言ってもらえるなんて想像していなかったから、なんか、嬉しさがすごいです。
ナオ:やっぱり鮎川さんすごいな。本当にすごい。人間的にも憧れる。

――鮎川さんやシーナさんの人柄も、サウンドに出てるんだろうなって思うよね。
ナオ:本当にそう思う。私、ライブを見て涙が出たのって、シーナ&ロケッツが初めてだったんです。
ジョニー:そう。高塔山のジャムのとき。俺も泣きました!
ナオ:サウンドもライブも本当に最高だったんですけど、シーナさんが、“夢を諦めないで!”ってステージで叫んだんです! そのとき、首振りDollsを始めて2、3年くらいの頃だったんですけど、勝手に自分に言われてる気がして、めちゃくちゃ泣けてきちゃって。
鮎川:ありがとう。
ナオ:おこがましいんですけど、勝手に受け取っちゃったんです、北九州のバンドとして。勝手にバトン受け取っちゃったんです!
鮎川:応援しとるけ、頑張り。シーナもきっと天国から応援しとるよ。“やっちゃり!”って、言いよる。
ジョニー:嬉し過ぎます!
ナオ:東京に出て来て1年なんですけど、世の中にコロナが蔓延してしまって、勝負かけに来たのに何も出来ない状況になってしまって、大変は大変なんですけど、そんなことでへこたれていられないなって。ロックンロールはこんなことで辞められるもんじゃないから。
ジョニー:頑張ってやり続けないとね。
鮎川:そう。代わりはおらんけんね、俺たちの。
ナオ:そうですよね! 頑張らなくちゃ!
鮎川:やっぱり生きたライブが1番だからね。

――7月4日も、コロナで流れてしまった“シーナの日(4月7日)”の振替公演を下北沢GARDENでされてましたよね?
鮎川:そう。最高だったよ。やっぱり“生きてるんだ!”って実感出来たくらい最高に楽しかったし、嬉しかった。“ギターが弾ける! 俺たちの曲はやっぱりいいな!”って思えたんよ。LUCYの歌も最高やったしね(LUCY MIRROR=シーナ&ロケッツのゲストボーカルで鮎川誠とシーナの三女。元・DARKSIDE MIRRORSのボーカル&ギター)。シーナとは全然違うとこで、“私の歌!”っていう感じでガーッと来るんよ。“おぉ、そう来るか!”って受け止めながらライブやったんけど、それが最高やった。奈良も褒めてくれたんだけど、最高のロックが出来たよ。4ヶ月という空間が一瞬にして埋まったからね。40年一緒にやって来た40年分の感覚が即座に戻ったというか。それが本当にものすごく嬉しかった。
ナオ:体が覚えてるんですね。
ジョニー:刻んで来た歴史ですもんね。
ナオ:ロックって、生き様ですね。あーもー、話しても話しても話し足りないです! ジョニーもいっぱい聞きたいことある、話したいことあるって言ってたのにね。
ジョニー:鮎川さん目の前にしたらやっぱり偉大過ぎて緊張しちゃって、全部飛んじゃったんです!
鮎川:あははは。大丈夫。楽しかったし、またいっぱい話そ。
ナオ:あーなんて幸せな言葉! 
ジョニー:もうこれ以上はないですね。『有頂天』と『仁輪加』のLPにも“ジョニー・ダイアモンド”って名前入りのサインまでもらって、北九州の奴らに自慢したいです!
ナオ:良かったね、ジョニー。鮎川さんから今日もらった、“今、やるかやらないか”っていう言葉と、今日のこの時間は、本当に今の自分にすごく響きました。ありがとうございます! 
鮎川:そう。“今”やることに意味があるから。“今”やることをやらないと、絶対に後悔するから。首振りDollsも東京に来たんやから、“今”やらんと。くよくよしとらんと、目の前のこと、今やるべきことを精一杯やらんね。本当に応援しとるけん。また一緒にステージに立とう。
ジョニー:嬉しいです! 本当にそんなこと言ってもらえるなんて! 頑張ります!
ナオ:また一緒にステージに立って頂ける日を目標に頑張ります! 本当にありがとうございました!
鮎川:こちらこそ、ありがとう。

取材・文:武市尚子
写真・映像:DOLL RECORDS Co., Ltd.
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OKMusic編集部

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