「心做し」の言葉に込められた意味と物語の真実を歌詞から紐解く!

「心做し」の言葉に込められた意味と物語の真実を歌詞から紐解く!

「心做し」の言葉に込められた意味と
物語の真実を歌詞から紐解く!

主人公はロボットの「僕」

ピアノロック系の楽曲をいくつも生み出し、有名となった「蝶々P」。
2014年に公開された『心做し』は、彼の代表曲の1つであり、動画投稿サイトの再生回数は100万回を超えています。
ボカロ界を代表する切ないピアノバラード楽曲で、2019年には歌い手「Sou」に提供された対曲となる『証として』のリリックビデオも公開されました。
「どことなく」「なんとなく」と言った意味をもつ『心做し』。
はたしてなぜ、このようなタイトルがつけられることとなったのでしょうか。
その理由を、歌詞から考察してみましょう。

心做し 歌詞 「蝶々P feat.GUMI」
https://utaten.com/lyric/iz17071910
誰かに語りかける口調から始まる歌詞。
どうやらこの歌は、主人公がすぐそばにいる誰かに向かって話していることを歌った楽曲のようです。
心做し 歌詞 「蝶々P feat.GUMI」
https://utaten.com/lyric/iz17071910
「僕」という一人称が出てきました。
『心做し』のMVにはロボットらしき男の子と人間の少女が描かれています。
きっとこの男の子が「僕」なのでしょう。とすると「君」は、女の子を指す言葉だと思われます。
つまりこの楽曲は、ロボットらしい「僕」が人間である少女の「君」に話しているという事になります。
しかし、話かけているのは彼の方であるはずなのに「言わないで」「見せないで」と矛盾する歌詞も歌っています。
それはなぜなのでしょうか。
「僕」が矛盾する言葉を口にするわけ

矛盾する歌詞の理由を探る手がかりと思われる部分に迫ってみましょう。
心做し 歌詞 「蝶々P feat.GUMI」
https://utaten.com/lyric/iz17071910
彼は「君と同じもの」が欲しいのだと歌っています。この「同じもの」とは、何をさしているのでしょうか。
ヒントは、続く歌詞にあると思われます。
心做し 歌詞 「蝶々P feat.GUMI」
https://utaten.com/lyric/iz17071910
彼女は彼を愛してくれているようです。
さらに、これと同じ内容を歌ったと思われる歌詞が1番でも歌われていました。
彼女に近づこうとしているさまから見て、彼も彼女の事を少なからず良く思っている。
または、彼女からの愛を理解しようとしている様子が浮かびます。
彼がロボットであるならば、人間である彼女からの愛は上手く理解する事ができないものなのかもしれません。
だからこそ「理解したい」「同じものがほしい」と願っているのかもしれません。
しかし彼にはやはり上手く理解できないのか、愛という言葉に対して「心臓」と、臓器の機能のみを重視した、どこか機械的な言葉となってしまっています。
機械であるロボットの事を考えれば、それが正しい思考回路なのでしょう。
ですが、彼は機械の領域を超えて彼女からの愛を理解しようと努めます。
これが冒頭の矛盾する歌詞を生んだ理由なのでしょう。
はたして彼は彼女と同じものを手に入れる事はできるのでしょうか。
「心做し」の言葉に込められていた物語の真実
心做し 歌詞 「蝶々P feat.GUMI」
https://utaten.com/lyric/iz17071910
Cメロの中で、ついに彼は彼女からの優しさを拒絶してしまいます。
続く歌詞でも「理解ができない」と彼女の行動が理解ができずに、苦しんでいる様子が歌われています。
しかし同時に「言葉で教えてよ」と、まだ彼女から貰う愛を理解しようともがいている様子も歌われています。
理解できないものに苦しむ反面、彼女の愛を理解したいとも願っているようです。
心做し 歌詞 「蝶々P feat.GUMI」
https://utaten.com/lyric/iz17071910
続く大サビでも彼の苦しみが歌われています。
いっそのこと壊して欲しいと願うさまから、彼の行動が、いかに機械として矛盾したものであるかがわかる痛ましい歌詞となっています。
しかしそれも全て、彼が彼女の愛を理解したいと願うが故。
それがわかっているからか彼女は「壊して」と乞う彼とは反対に、その身体を抱きしめています。
まるで彼が壊れないように守っているかのようです。
そして楽曲の最後についに彼は彼女にある問いかけをします。

心做し 歌詞 「蝶々P feat.GUMI」
https://utaten.com/lyric/iz17071910
これまでは「心臓」と機械的な言葉しか述べなかった彼が「心」という言葉を口にしました。
ようやく彼は彼女から貰う愛の正体に「心」が関わっている事に、気がつき始めたようです。
ここで楽曲のタイトルを振り返ってみましょう。『心做し』のタイトルは、彼自身の有様に近しいものを感じられないでしょうか。
機械の彼は、元々心が理解できなかったのです。言ってしまえば「心無し」の存在でした。
「心無し」と「心做しか」の2つをかけあわせて生まれたのが『心做し』だったのではないでしょうか。
さらにもう1つ、別の意味を持つ考察があります。
彼の問いに彼女は「ここにあるよ」と返しています。
「ここ」とは彼自身の事を指している歌詞だと思われます。
つまり彼女からの愛を理解したいと願ったその時から、すでに彼の中に心はあったと、彼女は返しているのです。
なぜなら、理解したいと願う想いこそが「心」なのだから。
彼が気づかなかっただけで、ずっと前から「心做しか」その存在は息づいていた。
それが『心做し』に込められているもう1つの意味であり、この楽曲に込められた物語の真実なのでしょう。

TEXT 勝哉エイミカ
【特集】ボカロバラードの名曲「心做し」そのタイトルに込められた意味を徹底解剖!
https://utaten.com/specialArticle/index/4475

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