ALI PROJECT

ALI PROJECT

【ALI PROJECT インタビュー】
安全なものばかり
食べていてもつまらない

ポップは曲が好きじゃなかったけど、
今はもう普通に歌える

「喰らう女」という曲もあって、これはまさしくアリカさんのことですね。サウンドは80年代の日本のパンクという感で。

ここまでストレートにパンクサウンドをやったのは初めてです。もともとYAPOOSの「肉屋のように」をカバーしようと思っていたんですけど、私がそれを歌っても戸川 純さんの真似にしかならないと思って。それで作ることにしました。

THE STALINっぽい感じがあるかなと。

アナーキーとかね。でも、そういう感じですよ。言葉は短いし、繰り返しで使えるから、すごく歌詞を書くのが楽でした(笑)。パンクバンドをやりたいなって、ちょっと思いました。

「恋愛分子ガストロノミー」という曲も。“分子ガストロノミー”というのは、実験みたいな感じで化学的に作る料理のことですよね。

そう。それを恋愛と絡めて歌いました。白衣を着たアーティスト写真がまさにこの曲のイメージで、この写真ありきで作った曲ですね。分子ガストロノミーはフランスで食べたことがあるんですけど、その時はそこまで“分子ガストロノミー”という感じではなかったんです。だから、もっと本物を食べたらこういう歌詞にはならなかったかもしれないけど、こういうのもなきにしもあらずかなって。

そして、「La Fée Verte〜アブサニストによる音楽的試み」は食事には欠かせないお酒がテーマになっていて。

アブサンというお酒があって、それを象徴とする美しい言葉を使って歌詞を書きました。アブサンはアルコール度数が50度もある強いお酒なんですけど、ハーブを使った緑色がとてもきれいで。

よく飲まれるんですか?

他の薬草酒を飲んだ時、美味しくていくらでも飲めちゃって、おかげで3日くらいつらかったことがあったんです。それからアブサンも飲みすぎないように気をつけています。でも、最近はワインですね。すごくお気に入りの美味しいワインを見つけてしまって、次から次へと取り寄せています。とはいえ、飲んでも3日で一本くらいですよ。うちの親なんかはひと晩で2〜3本空けてましたから。配達に来ていた酒屋さんから“おかげで蔵が建ちました”と感謝されるくらい(笑)。

(笑)。また、通常盤にのみ「ストロベリーパイをお食べ〜運命編」が収録されてますが、これは90年代に発表した曲の再録になるんですよね。

でも、あまり変わってなくないですよね。ベートーヴェンの「運命」のフレーズを取り入れているけど、それ以外は原曲からあまり変えていないので。歌を新しく録り直したとはいえ、私の感触としてはそんなに変わっていないかなって。ただ、“なぜ「運命」なんだろう?”とは思いましたよ。きっと片倉さんの遊び心なんだと思いますけど、理由は特に訊いていないので分かりません。

ベスト盤『jamais vu』(2000年8月発表)にしか入っていなかった曲なので、ファンには嬉しいですよね。

今作の中では一番古い曲で、ファンクラブのライヴでたまに歌っていたんですけどね。通常のツアーではほとんどやっていなかったから楽しんでもらえたら嬉しいです。

そう言えば、この曲についてネットの質問箱で“白アリでしょうか? 黒アリでしょうか?”という質問があって、いろんな人が丁寧に解説していて“これは黒です”とありましたよ。

えっ、黒なんだ!?

ストロベリーパイは臓物を意味する隠語でカニバリズムなんじゃないかと解説されていました。

へえぇ〜(笑)。カニバリズム説は私も読んだことがありますけど、そんな意味を込めた覚えはなくて。ストロベリーパイは単なるストロベリーパイとして書いたんですけどね。

曲としては非常に可愛らしくて、80年代アイドルソングのような雰囲気ですけど、久しぶりに歌ってどうでしたか?

昔はポップな曲があまり好きじゃなくて、個人的には好みというわけではなかったんですけど、今はもう普通に歌えます(笑)。

最後のほうにリミックスっぽくなって台詞が入ってますよね。

そこは私から“台詞を入れてみよう”と提案しました。原曲にはないパートなので、ぜひ聴いてみてください。30年くらい前の曲ですけど、そんなに古くはないですよね。

アリプロの曲はどれも時空を超えていますからね。あと、初回限定盤には2002年の『月光ソワレI』公演のライヴ音源を収録したCDが同梱されていますが、ストリングスが入ることで壮大さやドラマチック感が増して、より幻想的な印象を受けました。

オーケストラライヴの第一回目で、MCも入ってて…会場となった武蔵野市民会館小ホールはピアノの発表会などが行なわれるようなところなんですけど、この翌年に同じところの大ホールでやったんですよね。当時を知らないファンも多いと思うので、ぜひこういうアリプロも知っていただけたら嬉しいです。

最近は家にいる時間が長いので、こういう時にアリプロの曲を聴くと想像が広がって、あっと言う間に時間が経ってしまうのでいいですね。

思い浮かぶ景色もいろいろあると思いますし、歌詞の言葉の意味を調べてもらって、“こういう意味なんだ!?”とか“この情景はこういうことか”と発見していただければ、そこからまた想像が広がると思うし、そんなふうにして聴いてもらえたら嬉しいですね。

では、最期にアリカさんの人生において大切なスパイスは?

ええ〜、何でしょう? …お金かな?(笑) 食事とお酒がメインなので。

取材:榑林史章

アルバム『人生美味礼讃』2020年7月29日発売 徳間ジャパンコミュニケーションズ
    • 【初回限定盤】(2CD)
    • TKCU-78112
    • ¥3,818(税抜)
    • 【通常盤】
    • TKCU-78113
    • ¥2,818(税抜)
ALI PROJECT プロフィール

アリプロジェクト:作詞&ヴォーカル・宝野アリカと、作曲編曲・片倉三起也によるユニット。 独創的なメロディーとアレンジ、文学的な歌詞、先鋭的なビジュアルで、幅広いファン層を魅了する。多数のアニメ主題歌を手掛け、毎年オリジナルアルバムをリリースし、全国ツアーを行なっている。2017年には活動25周年を迎え25周年記念シングル「卑弥呼外伝」、25周年記念ベストアルバム『血と蜜~Anthology of Gothic Lolita & Horror』をリリース。次なる展開に向けて常に飛躍する、飽くことなき探究心を携えたアーティストユニットである。ALI PROJECT オフィシャルHP

OKMusic編集部

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