ALI PROJECT

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【ALI PROJECT インタビュー】
安全なものばかり
食べていてもつまらない

ニューアルバム『人生美味礼讃』は“食”をテーマに、食べ物にまつわる過去曲と5曲の新曲、さらに通常盤には「ストロベリーパイをお食べ」の新録も収録。初回限定盤には幻のライヴ音源をパッケージするなど、ALI PROJECTの世界観がさらに広がる一作になった。そんな今作について作詞&ヴォーカルの宝野アリカを直撃!!

しばらくダークな曲がなかったので、
黒アリの解釈で作ろうと思った

“食”をテーマに作るというアイディアは以前から?

こういうアルバムは前から考えてました。ただ毎年オリジナルアルバムを作るたびに十数曲の新曲を作るので、歌詞を書くのもだんだんヘヴィになってきて、“また作るの?”みたいな(笑)。なので、今回は少し楽させてもらおうじゃないけど、過去の曲から集めて…とはいえ、新曲をなるべく多くするかたちで作りましょうと。

表題曲でもある「人生美味礼讃」は、約15年前のアルバム『Dilettante』に収録されていて、そのアルバムは“好事家”を意味するタイトルの通り、小説やクラシックをモチーフにしたり、中国語を取り入れた曲があった作品でしたよね。

そう。私の好きなものをテーマにしたアルバムで、そのひとつとして美食みたいなものがあって、それで作ったのが「人生美味礼讃」でした。

“食”がテーマとはいえ、アリプロらしい毒っ気もあるという。

子供の頃に父がよく言ってたんですよ、“肉は腐りかけが一番うまい”って(笑)。ALI PROJECTが歌う美食は、腐りかけのものが美味しいとか、安全なものばかり食べていてもつまらないとか、そういう感覚が根底にあるんです。

フグもお好きですか?

私の夢は100歳くらいまで生きて、フグの毒で死ぬことなんです。“最期まで食い意地がはっていた”と言われるおばあさんになりたい(笑)。

フグの毒に当たったら砂に埋めると毒が抜けるという言い伝えがありますね。

祖父母の地元で大昔、実際に穴を掘って入ったらしいですよ。それでも死んじゃったそうだから、やはり迷信なんでしょうね(笑)。

アリカさんの食に対して好奇心が強いのは血筋なんですかね?

そうだと思います。夕飯に白飯とかお味噌汁が出てこない家だったんですよ。両親がすごい酒飲みだったから酒の肴しか出てこなくて、それを食べて育ったので。それに私の離乳食はバターだったそうで。他のものは口にせずにバターばかり食べていたら、お腹を壊して病院に行ったという1歳半くらいの記憶が、今もうっすら残っています。あと、鰺の開きは目玉から最初に食べます。鰺の目玉、美味しいんですよ!

そんなアリカさんの食への貪欲さが表れたアルバムですね。新曲が5曲収録されていて、「毒味役」はいかにもアリプロっぽい曲だし。

最初はアルバムタイトル自体を“毒味役”にするという案もあったんです。本当は“毒見”と書くんですけど、ピーター•エルブリングの『毒味役』という本があって。16世紀のイタリアを舞台に、宮中の毒味役がのし上がっていく面白いお話なんですよ。それが家の本棚の目につく場所に常にあったんです。ここ10数年、“毒味役”という曲が作れたらいいなと思っていたし、しばらく“黒アリ”と呼ばれるダークな一面の曲がなかったので、黒アリの解釈で作ろうと思いました。

「恋する和牛」はユーモアあふれる歌詞と現代的なヒップホップ/R&Bのビートで、アリプロの新たな一面を見せてくれていますね。

サポートバンドのバイオリンの杉野 裕くんが兵庫の芦屋のお坊ちゃんで、庭で神戸牛のバーベキューパーティーをしていた話をいつも聞いてたから、“そんなに言うなら神戸牛の歌でも作る?”という冗談から生まれた曲です。

今までのアリプロにはなかった曲調ですよね。

コンポーザーの片倉三起也さんは毎年何かしら新しいものを取り入れていますけど、特に去年あたりから新しい感じが多いですね。肉の曲にしようということで片倉さんと話をして作ってくれたのですが、メロディーがエスニックな感じで、これは言葉がなく歌っているメロディーをもらって…たまにそういう時があるんですけど、それにイントネーションを合わせて歌った感じです。

ライヴでやったら楽しそうです。

みんなで《GYU! GYU!》と歌ってもらえればと思って。アリプロにはかけ声をかける曲があまりないですから。

肉と言えば、ジャケット写真では肉ドレスを着てられますね。肉ドレスを考えたのは、レディー・ガガより先だったそうですが。

そうなんです! “やろうやろう”と言っていたら、先にやられてしまって(笑)。あちらは生肉で、私は肉の写真をプリントしたものですけど、今作を出すことが決まった時に“今回は絶対やろうね”ってことで実現しました。本当は中国に行って、いろんな肉がぶら下がっているような通りの前で写真を撮ろうと思っていたんですけど、さすがに今は行けなくて。

ヴィレッジヴァンガードでも肉の写真がプリントされたタオルとか売っていますよね。

ありますね。ポーチとかいろいろ種類があって、私も持ってますよ。この衣装は実際に肉の写真を撮って、それを衣装の方に渡してプリントしてもらったんです。肉のかたちにもすごくこだわりました。シャトーブリアンなどの脂が少ない肉はプリントすると肉っぽさが出ないんですよ。脂がガツンとあるもののほうが写真映えするということで、和牛とかラムチョップとかいろいろ買ったんですけど、やっぱり『肉のハナマサ』さんが良かったです。

有名なお肉屋さんですね。

そう。撮影で使った肉は、あとでスタッフと美味しくいただきました(笑)。あと、今まで使ってない言葉が出てくるのもポイントです。例えば“尿酸値”は各地の酒蔵を巡る番組を観ていたら、尿酸値がどうのこうのと歌っている曲が流れていたのを聴いて、“私も尿酸値の歌を歌いたい!”と思って入れました(笑)。
ALI PROJECT
アルバム『人生美味礼讃』【初回限定盤】(2CD)
アルバム『人生美味礼讃』【通常盤】

OKMusic編集部

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