坂本真綾

坂本真綾

【坂本真綾 インタビュー】
未知との出会いを
楽しみながら冒険もできた8年

程良く相手に染まるけど
程良く染まらない部分もある

方Disc2には坂本さんが他のアーティストの楽曲にヴォーカルとして参加した曲やカバー曲、さらにNegiccoに歌詞提供した「私へ」のセルフカバーも収録されていて。「私へ」は今作で唯一の新録曲ですね。

おまけ的に新録を入れられるものがあればと思って。この8年間でいろいろチャレンジしたことのひとつが他のアーティストさんに歌詞を書かせていただいたことだったので、そのうちの一曲をセルフカバーするのはどうだろうかと。「私へ」はNegiccoさんのために書いた歌詞ではあるけど、現在の自分が未来の自分に手紙を書くという内容だから、Negiccoさんが歌うと現在から未来への手紙でも、私が歌うと今の私に届いた過去の自分からの手紙と解釈できるので、一番不自然ではなく歌える曲かなと思って歌ってみました。

歌詞からは“自分らしくいればいいんだよ”といったメッセージが届いてきました。

Negiccoさんから作詞の依頼をいただいた時、アイドルとして活動している彼女たちから…それは曲もそうだし、写真を見ても弾けるような明るさと水滴のような瑞々しさを感じたんですね。でも、何となくそこに実在する女の子としての存在感もあると思って。なので、決してフワフワ漂っているわけじゃなく、地面に足を着けて歩いている女性としての姿を歌ったら、より彼女たちの存在を身近に感じられるかなと思ったんです。明るくて人に元気を与える人たちだけど、きっと誰にも見えないところで悩む瞬間があるんじゃないかなって感じられることで、その明るさが際立ったらいいなと。また、私からの想いとしては、ちょっと不安になる時もあるけど、時間が経ってみれば全部意味があったと思えるっていうことを、年下の彼女たちへのメッセージとして受け取ってほしかったというのもありますね。具体的に彼女たちの姿を思い浮かべながら書いた歌詞ですが、自分で歌ってみると案外自分にもフィットして、そして過去から届いた手紙だと思うとすごくやさしい気持ちになって歌えるという発見もあり、セルフカバーして本当に良かったと思ってます。

いつ聴いてもその時の自分の背中を押してくれるような曲だと思いました。昨年はNao☆さんが、今年6月にはMeguさんが結婚されましたが、もしかするとこの曲が背中を押したかも!

あははは。そんな重要な立ち位置だったらどうしましょう!(笑) でも、年齢的にも10代から活動してきて今30代に入ったところで、生身の女性としての姿も見え隠れしているところもNegiccoさんの魅力になっていますよね。結婚のニュースを聞いた時は、自分の生活も大事にしながらアイドルも続けるという選択に、よりいっそう応援したい気持ちになりました。

坂本さんとしては25周年を迎えた今、自分らしさみたいなものはどんなふうに考えますか?

自分らしさは周りの人が思うことで、そもそも自分自身では分からないものだと思っています。私は若い時から人前で何か表現することを仕事にしてきて、まだ何も固まっていないフニャフニャの状態でも何かを絞り出さなきゃいけなかったので、すごく悩んだし、手探りで年を重ねてきました。そう考えると“私はこうだから、こういうのは似合わない”とか決めないことが、むしろ自分らしさを作っていくのかなと思います。昔は“あなたの個性は何ですか?”と訊かれると、いつも黙ってしまってたし、“私に個性なんてあるのかな?”と不安になっていたものです。でも、今は出そうと思って出すのが個性ではなく、勝手に出てしまうものだと思っています。この『アチコチ』を聴くと、これだけいろいろな方とコラボしていても、程良く相手に染まるけど、程良く染まらない部分もあって、それが私らしい部分なのかなと思いますね。

また、こういう25周年というタイミングだと“長年やってこられた秘訣は何ですか?”とか問われますよね?

訊かれます! 秘訣なんて分からないんですけどね(笑)。でも、すごく運が良かったと思います。好きなことをやって、そのための努力をしたり頑張ったりもしましたけど、“これは運だったな”と思うことはいっぱいあったので。自分を救ってくれた運に感謝しています。

“運も実力のうち”と言いますよ。

大谷翔平選手は“運を作れる”とおっしゃってますよね。ゴミが落ちていたら運だと思って拾っているそうで。私は人のゴミまでは拾ってこなかったけど(笑)、ズルもせず、嘘もつかず、それなりに真面目にやってきたからこそ、時々襲ってくるピンチから救われるだけの運に恵まれたのでしょうね。日々真面目に生きていればいいこともあるというか、全てにおいてないがしろにしてこなかったことは、秘訣と言えば秘訣なのかもしれません。

真面目にコツコツと積み重ねてきた25年ですね。

お客さんの前に立つ時も、お客さんから見えていない時も、恥ずかしくないようにしていたいですね。歌詞でみんなに“頑張れ!”とかすごく偉そうなことを書いているのに、書いている自分がサボっているわけにはいかない。もちろん“もう嫌だ!”と投げ出したくなったこともありましたけど、自分の歌っている歌詞や楽曲を裏切らない自分でいたかった。だからこそ、そういう時でも逃げずにやってこられました。

取材:榑林史章

アルバム『シングルコレクション + アチコチ』2020年7月15日発売 FlyingDog
    • 【初回限定盤】(2CD+Blu-ray)
    • VTZL-176
    • ¥6,300(税抜)
    • 【通常盤】(2CD)
    • VTCL-60532~3
    • ¥4,000(税抜)
坂本真綾 プロフィール

サカモトマアヤ:東京都出身。8歳より子役として活躍。1996年にシングル「約束はいらない」でCDデビューし、2010年には自身初の日本武道館ライヴを開催、11年発表のアルバム『You can't catch me』がオリコン1位を獲得する。13年には初めて全作詞作曲を手がけたアルバム『シンガーソングライター』を発表。日本初上演されたミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』ジルーシャ役が好評を博し、第38回菊田一夫演劇賞を受賞。2015年、さいたまスーパーアリーナで20周年記念ライヴを開催。声優、エッセイ執筆、ラジオパーソナリティなど、多方面で活動。日本国内のみならず世界各国のファンから支持を集めている。坂本真綾 オフィシャルHP「I.D.」

OKMusic編集部

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