THE BAWDIES、これまでと変わらずに
ロックンロールを鳴らした配信ライブ

LIVE BROADCAST「DON'T STOP ROLLIN’!!」

2020.7.11 新宿 red cloth
《ライブ前のわくわくは同じだ!》《わくわく》《どきどき》《全員最前列だね!》《わっしょーい!!》
オーディエンスによるチャットの書き込みがどんどん増える中、新宿駅から今回の会場であるライブハウス、新宿レッドクロスまでまっしぐらに進んでいく主観カメラの映像に導かれるようにライブは「DON'T SAY NO」で始まった。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
「それでは始めていきましょうか!」というROY(Vo/Ba)の掛け声を合図に演奏は、あっという間にヒートアップ! メンバーそれぞれのアップを捉える4台を含む複数のカメラがTHE BAWDIES流のブリティッシュ・ビート・ナンバーを演奏するメンバーたちに肉薄する。最前列どころか4人と一緒にステージに立っているんじゃないかと思わず錯覚を起させるほどの臨場感に書き込みが止まらない。そう。チャット上なら、どれだけ大声を出したってかまわない! 5か月ぶりとなるライブは、THE BAWDIES初の電子チケット制による生配信ライブとなったが、誰もがこの日を待っていたことは、終演まで止まることがなかった書き込みからも窺えた。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
生き生きと楽器を鳴らすメンバーたちも楽しそうだ。センターに立つROYは歌いながら満面の笑みを湛えている。
そんなふうにスタートダッシュをキメた4人はそこから約90分間。昨年11月にリリースした目下の最新アルバム『Section #11』の収録曲を中心に新旧の代表曲も織り交ぜながら、全18曲を披露。それに対して、オーディエンスが 絵文字や《8888》と拍手を贈ったり、「カモン!」とシンガロングを求めるROYに応え、《ぱっぱっぱっ》とチャット上で歌ったりしながら、そこには確かに同じ興奮を共有する一体感が生まれていた。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
「無観客とは言え、やっぱ楽しいね!」とJIM(Gt/Cho)は快哉を叫んだ。
「インディーズで始めたとき、無観客(のライブ)よくあった」(ROY)
「それこそレッドクロスで(お客さんが)2、3人ってこともあった」(TAXMAN Gt/Vo)
そんな懐かしい思い出話を交えながら、何度か挟んだMCでは、4人が互いに突っ込みあいながら、「DON'T STOP ROLLIN’!!」というこの日のライブのタイトルに込めた「たとえこれまで通りのライブができない状況でも止まらず転がり続ける」という決意を真摯に語ったかと思えば、そんなタイトルからの連想で、開演時間を19時56分にしたかったが、「新ジューク(新宿)でゴロゴロ」と転がり続けるというウィットがスタッフに伝わらず、「20時でお願いします」とあっさりと却下されたという裏話でも楽しませた。そんなところもやはりTHE BAWDIESだ。
観客の反応がないせいか、トークにリズムが出ないことにROYは若干、困惑していたようだが、「ふだんはお客さんにだいぶ救われている。おまえのトークは、こんなもんだよ」と笑ったTAXMANをはじめ、メンバーたちが突っ込むことで、高校時代から育んできた、この4人ならではのグルーヴが生まれ、オーディエンスを楽しませた。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
それにしても、なぜ新宿レッドクロスだったのか。この日、ROYが語ったところによると、「4人で集まってロックンロールを演奏する、この歓びをシンプルに見てもらって、最高の瞬間を伝えたかった。それにはどこから配信するのがいいのか?」と考えた結果、インディーズでデビューする前から出演させてもらって、ロックンロールを叩きこまれた新宿レッドクロスしかないだろうということになったんだとか。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
「実家なんです。毛皮のマリーズOKAMOTO’Sが巣立っていたロックンロールの聖地だと思っています。そこに戻って、ロックンロールを発信したら一番伝わるんじゃないですか。いかがですか? 参加してもらえますか?」(ROY)と演奏したのが、07年3月にリリースしたTHE BAWDIES初のシングル「I BEG YOU」なんだから心憎い。因みに「I BEG YOU」をリリースした後の初ワンマンは、ここ新宿レッドクロスだったそうだ。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
その後、ライブ前にMARCY(Dr/Cho)の掛け声で必ずやっている円陣の始まりが09年6月12日にthe NEATBEATS、andymoriと共演した神戸VARIT.公演だったという懐かしい話も飛び出したが、実家に帰ってきたからって、この日のライブが懐古調に終始したわけではない。
新型コロナウイルスの影響で『Section #11』のツアーは中断してしまったが、ROY曰く「その勢いで、かっこいいロックンロールが作れるんじゃないかとステイホーム期間中、ガンガン作っていた」という新曲の中から早速1曲披露。
「新曲「提灯」です!(笑)」とROYが紹介したその新曲はリフで聴かせるクールなロックンロール。♪Yeah yeah yeahというシンガロングに加え、TAXMANが12弦のストラトキャスターで奏でたサイケと言うか、ラーガなフレーズも聴きどころだ。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
そこから「ホットドッグ召し上がれ!」と彼らのライブには欠かせない「HOT DOG」に繋げ、後半戦に向けて演奏はさらにヒートアップ!
「史上最高のニューアルバム。それを全国のみなさんに伝えたかったという気持ちが強くあります。それがまだ終わっていない。ポジティブに考えると、まだみなさんに伝えていいってことじゃないですか? まだまだついてきてください。しっかり声を出してください。イエー!」
ROYのシャウトからファンキーなジャムセッションになだれ込む。ぐっと上がる演奏の熱に、おぉっと思わず身を乗りだすと、ROYが♪Oh sing it through the nightと歌いだし、♪La, la, la, la, la, laと3人が声を重ねる。「SKIPPIN' STONES」だ。サビを頭に持ってきたライブアレンジが心憎い。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
そして、THE BAWDIES一流のポップセンスを改めてアピールしたその「SKIPPIN' STONES」から「まだまだ行けますか? ついてこられますか?」(ROY)と繋げたのが、「SKIPPIN' STONES」とは対照的にガレージバンドらしいタフな魅力を押し出した「BLUES GOD」。エグいほどにひずませたJIMのギターが悲鳴を上げる。
そして、「自宅でもいいんですよ。ロックンロールが日本で鳴り響いていることを祝おうじゃないですか。でっかい花火で祝おうじゃないですか。参加してもらえますか? 行くぞ! 踊れ!」とラストスパートをかけた4人が用意していたのが、まるでジェットコースターのようなエンディングだった。そんなドラマチックな流れを作れるようになったのは、『Section #11』で悲しみを美しさに昇華させる「STARS」というバラードに挑んだからだ。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
「5か月ぶりにお会いできたんだからまだ放しませんよ」と言いながら、ROYがピアノの弾き語りで披露したその「STARS」がオーディンスのメランコリーを揺さぶったことは、チャットに溢れた《泣いた》という書き込みからも明らかだったし、ライブのハイライトの一つなったことは間違いないが、THE BAWDIESがパーティーと呼ぶライブの最後に涙は似合わない。
間髪入れずにMARCYがドラムを叩き、「もう1曲やらせてください!」(ROY)と演奏したのが、タイトルが改めての決意にも聞こえる「KEEP ON ROCKIN'」。駆け抜けるように演奏すれば、あっという間に終わってしまうこのロックンロールを、「大声で叫んでください! もっと聞かせてください!」と今日イチ、シンガロングを求め……るだけでは足りずに途中、演奏を止め、「足りない! 足りない! 言わなかったあなた! 見えてましたよ。心のお目めで。みんなで叫んで終わるんです。それがTHE BAWDIES、ロックンロールバンドの決まりです。みんなで最高の瞬間を共有して、最高のグルーヴを作るんです!」とダメ押しで訴えかけたのは、ひょっとしたらこのままライブが終わってしまうのが名残惜しかったからなんじゃないか。
「思いっきり叫んで、空にしてください。全部空にするから、明日、最高の瞬間を迎えられるんです。今日までのモヤモヤを吐き出して、空にしてください!」
ROYの言葉は、5か月間、ライブができなかったTHE BAWDIESの心の叫びにも思えた。そんな思いを、熱気に満ちた演奏とともに爆発させると(JIMはステージを降りて、バーカウンターの上で弾いた!)、最後はTAXMANの音頭で恒例の「わっしょい!」を5か月ぶりにキメたのだった。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
転がることをやめないかぎり、ロックンロールは鳴りやまない!
無観客という特殊な状況の中でも、これまでと変わらずにロックンロールを鳴らしたこの配信ライブを見た誰もがTHE BAWDIESからの力強いメッセージを受け取ったと信じている。
取材・文=山口智男
撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)
※本公演のアーカイブ配信は7月14日(火)23:59まで視聴可能。
THE BAWDIES 撮影=橋本 塁(SOUND SHOOTER)

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