渋谷La.mama再始動秘話【Vol.2 MIN
AMIS】ーーコロナ禍、ライブハウスを
陰で支えたバンドの想い

コロナ禍、ライブハウスが苦境に立たされていることは誰もが知るところだ。そんな中、ライブハウスを支援するため多くのアーティストがとった行動から、両者の強い繋がりに気づき、心打たれた人は少なくなかっただろう。渋谷の老舗ライブハウス・La.mamaも例外ではない。親交の深いバンドに助けられ、数々の配信テストを重ね、ついに6月26日を皮切りに、無観客ライブの開催を発表するに至った。この連載では、ライブハウスを支えたバンドの視点から、このような状況でも前向きに動き続けたLa.mamaの物語を三篇にわたり綴る。第二弾は6月30日に無観客ライブ『FIRE STARTER』を開催するMINAMIS(ミナミズ)・南雲健太(Vo)に話を訊いた。
――はじめに「晴れ晴れするほどまっすぐなロックバンド」MINAMISについて教えてください。
MINAMISは2016年から現体制で活動しています。メンバーは南雲健太(Vo)、高坂研多(Gt)、はむざ(Ba)、篠原佑太(Dr)の4人で、パンクロック、パワーポップを中心に常に自分に正直で素直な気持ちを歌い続けるロックバンドです。聴いた人達の心の中に陽が昇るような音楽をやっていきたいと思っています。
MINAMIS-SUNRISE【Official Music Video】
――まさに「SUNRISE」(初の全国流通盤のタイトル)ですね。昨年はe.p 『GO AROUND』を発売しています。
去年はそれに加えて、初の全国ツアーも全国8都市10公演まわりました。今年は更に多くライブしたいと考えていたこともあって、3月以降出演予定だったイベントがたくさん決まっていたんです。4月からも新音源のレコーディングやそれに伴うツアーの予定はほぼ決まっていましたね。それもライブと並行して準備を進めていました。
――3月の時点ではライブへ出演することについてどう考えていましたか。
3月14日、La.mamaに出演しましたが、その前の週あたりから、各地でコロナの影響で出演を辞退するアーティストや中止になった企画ライブなどが出始めていたと思います。僕たちはお客さんのことを考えたらライブハウスに来てもらうのは難しいんじゃないか?という考えでしたね。
Studio MINAMIS #003『How are you?』南雲はライブが開催されなくなった心中について「自分の中に穴が空いた気がした」と語っている。
――そんな中、なぜ出演を決めたんですか?
ブッキングマネージャーの河野さんから「急遽だけど、ライブに出てくれないか?」とオファーを頂いたんです。その時、僕たちの「この日の主催の意図は何なのか?」という率直な問いに対して、「このままイベントがなくなっていくとLa.mamaが運営できなくなるかもしれない。力を貸して欲しい。」という正直な気持ちをもらったんです。だから、この日はまず、La.mamaのために出ようと決めました。
――お客さんを入れつつも生配信をするという形で開催されていました。今でこそこの形でイベントが開催されるようになっていますが、当時はまだ珍しかったと思います。
行きたい気持ちはあるけど、今はリスクを冒してまでライブハウスには行けないという人の気持ちも大事にしたいと思っていたので、急遽ですが配信も行いました。もちろん、来てくれる人たちが安全にライブを楽しんでもらえるように来場の際に検温、消毒、ライブハウスの換気、マスクの着用などやれることは徹底してやりました。まだ世界中がコロナに対しての知識や見解が不透明で、1日ごとに考えが変わってしまう時期だったこともあってかなり難しい判断ではありましたが、3月14日に僕たちができることは全てやったと思っています。
――その日の様子が、La.mamaのYouTubeチャンネルに第一弾映像として上がっていますね。
最初は配信のみで動画として残すかはまだ決めていなかったのですが、「3月14日のライブは時間が経っても観てくれた人に『伝わる』ライブだからLa.mamaのチャンネルにアップさせてほしい」と河野さんが言ってくれたので、ぜひ使ってくださいと伝えました。La.mamaのチャンネルは、ライブハウスでの活動が完全に自粛になったタイミングで、ライブ以外で収益化を目指すということでLa.mamaが立ち上げていたので、僕らも力になりたいと思っていたんです。
MINAMIS - Live at La.mama 2020.3.14
――後にゆかりのあるアーティストの過去のライブ映像がたくさん上がりましたが、第一弾がMINAMISだったことは印象に残っています。それだけの関係性があるからこそだと思いますが、La.mamaにはいつから出演しているのでしょうか。
僕がソロのシンガーソングライター時代、まだ人前で演奏をしたことが殆どない頃に「渋谷 ライブハウス 新人」で検索をかけたらLa.mamaが出てきたので、ここだ!と思って連絡をしたのが出会いのきっかけで、それからはほぼ毎月La.mamaに出続けていましたね。今思えば一年間La.mamaしか出演しなかった年もありました。
MINAMIS-アイ(Live) 2017.10.5 @渋谷La.mama
――MINAMIS結成前からの付き合いなんですね。
そうですね。現メンバーのはむざ(Ba)と篠原(Dr)が僕のソロ時代にサポートミュージシャンとして参加した初ライブもLa.mamaでした。初ライブの時に河野さんから言われた言葉は今でも忘れられません。「そんなんでステージに立つんだったら今すぐやめて」「もうね、他所でやったら?」もっとすごいのあるんですがこれぐらいにしておきます(笑)。
――もっとすごいもの……気になります(笑)。
それ以来の付き合いで、今回の無観客ライブも河野さんからオファーを頂いたことが始まりですね。
――無観客でのライブに抵抗はありませんでしたか?
正直なところ未だに複雑な感情はあります。もちろんずっとライブをやりたかったので出演には前向きでしたが、アーティストとしては無観客や配信ライブのシステムに慣れてしまったりそれに安住することは絶対したくないなという気持ちもあるので……(笑)。でも、現状のライブハウスに少しでも収益が入って欲しいという絶対的な想いがあったので、チケット制で配信ライブが可能ならやりたいと伝えました。
――その想い、La.mamaにTシャツの売り上げを寄付されていたことからも覗えます。
La.mamaとMINAMISのコラボTシャツですね。ライブハウスの営業が自粛になったタイミングで販売して売り上げをLa.mamaに寄付するという活動をしていました。
La.mama×MINAMIS Tシャツ 篠原(Dr)がデザイン・手刷り
――相当の注文があったとか……。
これには想像を超える数の方々が協力してくださったんです。だから、次はMINAMISが一番得意な音楽で返す番だと思っています。6月30日の配信では、コロナ禍でしばらく離れざるをえなかったお客さんと僕達の距離をまた少しずつ縮めていきたいなという想いもあります。
――12月には初のワンマンライブも控えていますね。
去年のLa.mamaでのツアーファイナルが12月11日だったので、そこから一年後に楽しみがあるのって面白そうじゃん!っていう理由で日にちを設定したと思います(笑)。今の状況だと、12月に何の心配もなくライブハウスでライブができる状態になっているかはまだ予測がつきませんが、笑顔で汗水飛ばして熱気で溢れたワンマンになっていればいいなと願っています。
MINAMIS
――では最後に、La.mamaにメッセージをどうぞ!
La.mamaはいつでも僕達をちゃんとアーティストとして見てくれていて、厳しい言葉もその証なんだと思っています。今、こんな状況でも前を向いて進もうとしている姿勢に僕は勇気をもらっていて、そんな人たちと同じ方向を向いて活動できることが本当に光栄です。MINAMISの歴史にLa.mamaは欠かすことのできない存在ですが、この先にある未来でもそういう存在でいて欲しいので、もっと知恵を絞ってできることは全力で取り組みたいです。La.mamaには潰れてもらっちゃ困るので (笑)、今できることを共にやっていきましょう! まずは6月30日、僕達が再び走り出すところを見せてやりましょう!
MINAMIS-Naked【Official Music Video】

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