真鍋大度(Rhizomatiks)と清水憲一
郎(Pele)がディレクションを手掛け
たMV「Terminal Slam」が『アルス・
エレクトロニカ賞 2020』コンピュー
ターアニメーション部門で 「栄誉賞
」を受賞

オーストリアのリンツで開催される芸術・先端技術・文化の世界的イベント『アルス・エレクトロニ カ(Ars Electronica)』が、今年メディアアートに革新をもたらした人物や作品・プロジェクトを表彰する『アルス・エレクトロニカ賞 2020(Prix Ars Electronica 2020)』を発表。
アーティストの真鍋大度(Rhizomatiks)と映像ディレクターの清水憲一郎(Pele)がディレクションを手掛けた、イギリスのアーティスト、スクエアプッシャー(Squarepusher)のミュージックビデオ「Terminal Slam」が、 コンピューターアニメーション部門の「栄誉賞(Honorary Mention)」を受賞した。
真鍋は、「アルス・エレクトロニカ賞 2011」で石橋素との共作「particles」が Award of Distinction (準グランプリ)を受賞、「アルス・エレクトロニカ賞 2013」で「Perfume Global Site Project」が Honorary Mention(栄誉賞)を受賞、「アルス・エレクトロニカ賞 2014」で「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」が Honorary Mention(栄誉賞)を受賞、「アルス・エレクトロニカ賞 2016」で ノサッジ・シング(Nosaj Thing)の MV「Cold Stares ft. Chance The Rapper + The O’ My’ s」が Award of Distinction(準グランプリ)を受賞して以来5度目の受賞、清水にとっては初めての受賞となる。
アルス・エレクトロニカでは、今作「Terminal Slam」について「このミュージックビデオは、実写映像とコンピューターで作られた画像やアニメーションが、視覚的にも音楽的にも息をのむほど美しく組み合わされている。さらに、現代社会が日々直面している、プライバシーの喪失や、データマイニングや広範囲にわたるマーケティング、監視社会など、現代社会が日々直面している問題にも触れている。 AI によって歩行者たちのグリッチが始まるとともに、広告スペースをハッキングしていくように映像が 変化する。音楽がクライマックスに近づくにつれて、広告看板やスクリーンから激しく脈動するCGも効果的に使われており、この作品は広告的エンターテインメント性、技術的な進歩や芸術的な探求、社会的認識を高める重要な文化的観点を含め、バランスがとれたよい例と言えるだろう」と評価した。
真鍋大度 & 清水憲一郎 受賞コメント
真鍋大度
機械学習、AI による自動化を用いた表現は現代では珍しいものではなくなってきました。本作品でも人のシルエットを取得する部分に関してはSemantic Segmentationの技術を用いて全て自動で行っています。しかし、本作品ではVFXのチームNomadが広告のエリアを手作業で取得したり、グリッチの表現を極限まで高めるためにスクエアプッシャーと共に一フレームずつコマ送りして、肉眼で確認作業を行い、何度もグリッチ生成のパラメーターを変える作業を行うなど、人間が時間をかけて行わないと実現できない作業があるということを再認識できる良い制作となりました。アルスのようにアウトプットだけでなくコンセプトも重要視される場所で本作品を評価してもらえたことをスタッフ一同喜んでおります。今後は本MVのアイディアを元にAR・MR 技術を開発する企業と協業し、新たなコンテンツをリリースすることを予定していますので、楽しみにしていてください。
清水憲一郎
まずはこのような名誉ある賞をいただき、大変光栄です。MVの制作に当たり、スクエアプッシャーと真鍋さんが考えたテーマや技術的アイディアを初めて聞いたときは、どのように映像化し、視覚的に表現していこうか、とても悩みました。「街頭広告が自在に変化する」というコンセンプトを軸に、渋谷や原宿、六本木など街を歩きながらリサーチし、撮影を重ねました。さらに、スクエアプッシャーのMVとして、ファンの皆様に楽しんでもらえるよう、楽曲の盛り上がりに合わせて、映像の配分や背景の使い方などにこだわり、躍動感を加えていきました。 広告の著作権や人々の肖像・プライバシーの問題を、あえて逆手にとって、エフェクトに変えていくという発想の転換で、撮影、プログラミング、CG、とそれぞれのプロフェッショナルがアイディアを出し合い、 数々の困難も解決しながら、素晴らしい作品を創り上げることができました。「街の広告」という日常にある光景が、社会的テーマを持った映像になっていく過程は、とても刺激的でした。このような機会を与えてくださったスクエアプッシャーや真鍋さん、そしてスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。

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