Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
コロナに立ち向かう
東西ライヴハウスの想い

ライヴハウスならではの
本質は絶対に見失いたくない

岩田
そんな中、両店舗はクラウドファンディングを実施されていて、OKMusicでもライヴハウスの活動を紹介するページを掲載させてもらっていますが、そもそもクラウドファンディングを始めようと思ったのは代表のおふたりからだったのですか?
森本
MOSAiCはアルバイトスタッフからの発信でした。私はクラウドファンディングにあまりいい印象を持っていなかったし、よく分かってなかったので全部スタッフに任せて。ただ、悲痛なムードは嫌なので“前向きな感じだったらいいよ”とだけは言ってました。
岩田
クラウドファンディングで商品の販売などもされていますが、その企画自体もスタッフの方が考えて?
森本
はい。スタッフ同時で案を出し合ってネーミングから全部決めてもらいました。
石田
その前向きなところから『リメンバー・コロナフェス』につながっていくんですか?
森本
そうですね。無料のフェスやサーキットなども当店主催でやったりすることがあったので、その延長線上のものをコロナが終息してるしてないにかかわらず、とにかく前向きに取り組んでいることを伝えたいという話になったんです。
広瀬
当店の場合はクラウドファンディングを同じ京都のCLUB METROというクラブが先に始めたんですけど、私は全然始めようと考えていなかったんですよ。でも、3月もライヴができないし、どうしようかなと考えていた時に、友人ミュージシャンから“広瀬さん、都雅都雅のためにクラウドファンディングを立ち上げていいだろうか?”と言われたんです。“都雅都雅がなくなると困るし、なくなってほしくないから、こちらの名義でやったらどうかと思って”とね。でも、“いや、それは待ってくれ”って。“アーティストが店舗のために動くんだったら、都雅都雅主導で動くんで”って。そのことがあって立ち上げたという流れです。ミュージシャンがライヴハウスのために立ち上げて、店舗へ寄付するというのは本末転倒な気がしたし、店舗を応援してくれるファンの人たちに感謝をしたいという気持ちもありましたから。実際、レコ発のタイミングだったミュージシャンたちが出来上がったCDの売れた分を寄付してくれたり、“Tシャツを作ったから送ります! 売って足しにしてください!”って送ってきてくれたりとか、クラウドファンディング以外のところで支援してもらっていますね。
岩田
クラウドファンディングのページでは、アーティストの声も掲載されていますが、企画をスタートしてから感じたアーティストとのつながりで嬉しかったことはありますか?
森本
思っていたより応援してくれるんだなということは強く感じました。今でも目標額を達成するのはそんな甘くないと思ってるんですけど、応援してくれてるコメントを見るとそれだけでも十分に嬉しいですね。
広瀬
京都のホームだという認識を持ってツアーで回って来てくれるミュージシャンが何組かいるんですが、そういう人たちが“コメント書くよ”とか“Twitterで拡散したら足しになるんじゃない?”とか言いながらも、“クラウドファンディングのサイトを通すと手数料がかかるからな”って直接口座に援助金を振り込んでくれたりしてくれましたね。だから、電話がかかってくるたびに泣いていましたよ。
石田
そこは28年の歴史ですね。
広瀬
いやいや、たかが28年ですよ。でも、日頃はライヴハウスの親父なんでミュージシャンには偉そうに話してますけど、今回ばかりはみんなに助けられて頭があがらないと思っています。本当にありがいたいですよね。
岩田
ライヴハウスの方にアンケートをお願いしていると、これからクラウドファンディングを始めようとしている店舗も多いので、おふたりの話は貴重なご意見になると思いますね。
広瀬
6月に入ってから今日(6月4日)まで2本のライヴをやったんですけど、合計3組のミュージシャンがライヴをして、全員がライヴ終わりに店で号泣するんですよね。“人前で歌える楽しさってここにあったよね”と話しながら。ライヴハウスならではの本質というのは絶対に見失いたくないなと思っているので、2021年になったら両手を振って営業できたらいいなと思います。
森本
そうですよね。何とか秋くらいから平常運転に本当はできたらいいんですけど、2020年は難しいかもしれませんね…。
千々和
クラウドファンディングのコメントを見ていても前向きなものがほとんどだと思うのですが、少し心配になる部分もあって。ライヴができないという状況が影響して音楽活動に対してマイナスに考えてしまう人もいるんじゃないかと。アーティストから相談を受けたりすることはありましたか?
森本
私に関しては、そこまでマイナスな相談は今のところないですね。
広瀬
当店に出てるミュージシャンはほとんどが音楽で飯を食べている人ばっかりなので、“半年仕事ないんだけど、どうしたらいいかな?”みたいな話はありますね。でも、音楽を続けるかどうかという悩みは聞いてないかな。
岩田
配信などの話もありましたが、それぞれの店舗でこれから挑戦したいことや考えている新たな施策はありますか?
森本
いろいろ考えてはいますが、どれもお金にならなそうなんですよね(笑)。音楽番組をライヴハウスから発信していくようなこととか考えてみたんですけど、なかなか…。
岩田
都雅都雅はライヴが始まったと言えども、何かありますか?
広瀬
今日まさしくそんなことをあるミュージシャンと電話で話していました。ライヴをキャンセルするのも申し訳ないから何かおみやげになるものはないかと言われて。“なら、MVみたいな映像を作って送ってください! 3曲分でいいので送ってくれたら有料で流すから、それで稼がせてくださいよ”と(笑)。快く引き受けていただきました!
森本
それはありですよね!
広瀬
普段は観れないようなメンバーとセッションしてもらったりね。今はスタジオで集まって撮影とかできないと思うので、オンラインミーティング用のソフトか何かで顔だけ映した映像に音楽を入れてもらったら売り物になるんじゃないかと思ってるんですよ。
烏丸
まさにアーティストとライヴハウスとの信頼関係/絆があってこその取り組みですね。そんな映像、お金で入手できる類のものではないですから。
広瀬
そうそう。本当にその通りです。
烏丸
今回のコロナ騒動を通し、逆に得たもの、気付いたこと、確信したことなどはありますか?
森本
うーん…お金は残しておいたほうが良かったとすごく思いました(笑)。雇用に関しても労働基準法に従って見直す点もいろいろ見つかりましたし。あと、助成金を申請するためにも。アルバイトを減らすことなくずっと休業手当も出しているんですけど、その点も取り組んでおいて良かったとも思ってますね。コロナがきっかけで見直すことがいっぱいありました(笑)。
広瀬
当店は一年に一回程度しか使ってもらえないミュージシャンがほとんどなんですけど、そんな人たちがとても大切な人たちなんだと改めて思えました。それだけでなく、そういうミュージシャンを観るために都雅都雅に来てくれるお客さんたちが思いのほか店のことを考えてくれてるというのは、とても感慨深いものがありましたね。ドリンクを渡す時に愛想なく渡したことがありましたけど、今度からはちゃんとニコッと笑って渡さなあかんなと思いましたよ(笑)。
全員
(笑)。
広瀬
人間、こうなったら助け合いが全てということを強く思いますね。最近は感謝ばっかりしてます。

OKMusic編集部

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