Editor's Talk Session

Editor's Talk Session

【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
コロナに立ち向かう
東西ライヴハウスの想い

生活を懸けてるバンドと
そうでないバンドとの差が見えた

岩田
都道府県ごとにライヴハウスの営業に対する基準が違うと思いますが、全国のライヴハウス同士で情報交換など交流を取られたりしていますか? 他の店舗と相談をしたりとか。
広瀬
地方のライヴハウスの人が遊びに来てくれたり、逆に他所に遊びに行ったついでに何軒かのライヴハウスに挨拶をしに行ったりとかの交流はありますが、この状況下で“こんなことをやってるからそっちでもどう?”みたいな連絡は直接していないですね。でも、都雅都雅のFaceBookを観てくれて“それどうなんですか?”というようなやり取りはありますよ。再開してから受付をする際にサーモグラフィーでお客さんの体温を測ってるんですけど、結構な値段がするわりには精度がいまいちなんですよ。そういう話とか(笑)。
森本
下北沢は『下北沢にて』というライヴイベントチームがクラウドファンディングを立ち上げました。この話も下北のライヴハウスがもう少し感染対策に対して共通の対策方法を打ち出していけば、同時に営業も再開して全国に安心感を与えられるんじゃないという想いから始まってるんで、下北はライヴハウス同士のミーティングを結構やってるほうではないですかね。サーキット形式のイベントも多いし、制限を設けていつから再開していこうかという話には前々からなっていました。
千々和
私が知っている中だと、街全体で動いているという話を東京で聞いたのは下北沢が初めてだったんですね。そういう街の特徴などもニュースやライヴハウスから直接連絡をもらって知って。コロナのおかげとは思いたくないですけど、ひとつのきっかけとして街やバンドなどの特色が見えてきているというのはありますよね。
森本
そうですね。下北は本当にライヴハウス同士の距離も近いので、そういうのがやりやすいんでしょうね。
烏丸
先ほど、広瀬さんから“ライヴハウスを知らない人に、ライブハウスの実情を伝えたい”とありましたが、ライブハウスという存在が“バンドシーンや日本の音楽シーンを育む極めて重要な文化資産である”ことも、一般の人に伝えていきたいですよね。音楽業界に従事する者は音楽エンターテイメントにとって大切な場所を失いそうだという危機感を募らせているのに、その現実が一般の方に伝わっていないことにもどかしさを感じませんか?
広瀬
まぁ、誰も死にたくはないですからね(苦笑)。たまたま大阪のライヴハウスでクラスターが出たことで、ライヴハウスという名前がすごく表に出ちゃいましたけど、ひとつ間違えれば全然違うところから始まったかもしれないのに、ライヴハウスが目の敵に挙げられて、音楽の文化というものが深刻な状態になった時に二の次にされてしまう日本の社会風情というのを感じて寂しい想いをしました。
烏丸
一方で、アーティスト自身が“ライヴハウスを救おう”という動きをし始めたことに関しては、どのような思いを抱かれましたか?
森本
自分は率直に“何が救うやねん”と思ってしまいましたけどね(笑)。チャリティーのTシャツなど協力してくれたバンドがいて嬉しかったですけど…。MOSAiCは都雅都雅さんと比べるとまだまだ若いバンドが多く出てくれてるんですよ。コロナの問題がいろいろと起き始めた頃、生活が懸かってないバンドほどライヴハウスに出たがらないことが多かった…お客さんの安全を考えてとかいろいろ言ってるバンドもありましたけど、本当は自分たちが叩かれるのが嫌なだけなんかなと思ったり。だから、逆に変に思いました。インディーズでも音楽でしっかりと生活しているような人たちほど、こんな時だからこそより一生懸命に歌う姿勢が感じられたりしたので、その動きの差に違和感を覚えましたね。その結果、ライヴハウスを救うというのは嬉しいんですけど、やっぱり一番は演奏してくれることが嬉しかったりするので…とても複雑な気持ちでした。
千々和
生活を懸けてやっているバンドとそうでないバンド然り、他にもさまざまなかたちで音楽活動をしているバンドがいて、それぞれで動きが全然違うのは感じました。配信でも何でもいいから曲を作って届けようと毎日SNSにアップしているバンドがいれば、逆に寄付やマスクなど音楽に関係ない方向で動いているバンドもいて。リスナーが喜ぶことは音楽を発信することだとは思うのですが、バンドよってここまで活動内容が違うとは今まで感じたことがなかったので驚きました。

OKMusic編集部

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