三浦透子の楽曲に込められた物語、映
像、サウンドを豊かに描き出す新作『
ASTERISK』【SPICE×SONAR TRAX コラ
ム vol.2】
RADWIMPSが音楽監督をつとめた映画『天気の子』の主題歌「祝祭」「グランドエスケープ」にボーカリストとして参加し、一躍注目を集めた女優・三浦透子が、ミニアルバム「ASTERISK」をリリースした。本作に楽曲を提供したのは、森山直太朗、津野米咲(赤い公園)、澤部渡(スカート)、サンタラ、曽我部恵一、TENDRE。際立った個性と技術を併せ持ったアーティストとの出会いによって彼女は、その天性のボーカル表現を発揮している。
1996年生まれ、北海道出身の彼女は2002年、5才のときにサントリー「なっちゃん」のCMに出演。その後、女優として活動をスタートさせ、映画『陽だまりの彼女』『私たちのハァハァ』、ドラマ『鈴木先生』『時をかける少女』などに出演し、注目度を高めた(個人的には映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』で主人公・末井昭(柄本佑)の愛人役を演じた際の、繊細な狂気を感じる芝居が印象に残っている)。
続く「愛にできることはまだあるかい」は、映画『天気の子』のボーカル・オーディションで最初に歌った曲。今回のバージョンは、エレクトロニカ的な音響とピアノ、チェロ、フリューゲルホルン、サックスを交えたクラシカルなアンサンブルにより、彼女のピュアで素朴なボーカルを際立たせている。
彼女が以前から敬愛しているサンタラ(田村キョウコ、砂田和俊)が手がけた「蜜蜂」は、ブルースの香りがたっぷり漂うアコースティックギター、スモーキーな手触りの歌が交じり合う。“秘密の恋人”をテーマにした歌詞は、バーボンやタバコが似合うような大人びた雰囲気だ。
シティポップの進化型と称すべき「おちつけ」は、TENDRE(河原太朗のソロプロジェクト)がプロデュース。軽快なファンクネスをたたえたトラック、華やかなメロディと“リア充たちのパーティをちょっと冷めた目で見ている彼女”をモチーフにした歌詞のバランスが楽しい。
現代のポップマエストロ、澤部渡による「波がたった」は、J-POPと海外のパワーポップが絶妙に絡み合うポップチューン。シンプルでありながら随所にヒネリを効かせたバンドサウンド、真っ直ぐで切ない青春の風景を映し出す歌に心を揺さぶられる。
曽我部恵一のペンによる「ブルーハワイ」は、免許取り立ての“僕”が大好きな“君”を夏のドライブに誘う、というシチューエーションを描いたナンバー。ゆったりと響くディストーションギター、儚げな三浦のボーカルからは気だるい夏の空気が漂ってくるよう。
本作の最後を飾る津野米咲(赤い公園)が手がけた「FISHANDCHIPS」はエキゾチックなムードとトラックの中で、和の情緒性をたたえたメロディとラップ、“話をしよう、すぐそばで”と率直なコミュニケーションを求める歌詞が一つになったダンスチューン。自由に舞い踊る三浦のボーカルが鮮烈だ。
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