「True Colors Festival」がオンライ
ンで再始動~新型コロナウイルスに負
けない!障害のあるアーティストが歌
う「Stand By Me」で未来を照らす

 「True Colors Festival超ダイバーシティ芸術祭~世界はいろいろだから面白い~」は、パフォーミングアーツを通じて、障害・性・世代・言語・国籍など、個性豊かな人たちと一緒に楽しむことを目指し、およそ1年にわたってさまざまなパフォーマンス公演を予定していた。2019年9月に幕を開け、ストリートダンス、ジャズコンサート、ミュージカルなどが上演されたものの、3月以降は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、残念ながら多くの企画を残したまま中止になった。しかし、この6月に再開第1弾として、オンラインでミュージックビデオを公開することになった。
■世界14カ国46名の障害あるアーティストが歌い、踊る
 「True Colors Festival」を主催する日本財団は、「コロナ禍において不安を感じている人たちに寄り添う気持ちを発信したい」と、急きょ世界14カ国46名の障害があるアーティストたちの協力を得て、オンラインで共演するミュージックビデオ「Stand By Me」を製作した。
【動画】True Colors Festival ミュージックビデオ「Stand By Me」
 「Stand By Me」はベン・E・キングが歌った名曲で、日本でもおなじみの同名ミュージカルのテーマ曲としても知られている。
 「この曲は、“地上が暗闇に包まれて月だけが唯一の明かりになっても”という歌詞から始まります。同じパートは2番では世界が崩れ落ちるような描写になります。世界中がパンデミックの猛威にさらされて、一寸先すら見えないような状況、これまでの秩序や生活のあり方が崩れ落ちてしまうような感覚そのものだと思います。 “怖くない、泣かない。なぜなら君がそばにいてくれるから”というのが歌詞の大枠ですが、もっとも苦しいとき、怖いときに大切な人が寄り添ってくれることの尊さを歌った曲だと思います。今だからこそ不安を感じている人や困難に直面している人へ心を寄せることの大切さを、この曲を通して発信すべきと考えました。今回参加したアーティストは楽曲のメッセージに共感し、それぞれが自分らしい表現を追求してくださいました。全員が“だれかに勇気や希望を持ってもらいたい”という強い気持ちでパフォーマンスをしてくれています。実は、彼ら自身がコロナ禍の以前から、またコロナ禍にあってもさまざまな困難に直面している障害者たちです。参加してくれたラッパー二人が、“(どんな大変なときでも)自分はあなたに寄り添う”という意思表示の言葉を追加で書いてくれました。自分自身の身の安全や近い将来の不安などがどうしても真っ先に頭に浮かんでしまうような今の情勢だからこそ、障害のあるアーティストたちが以上のようなメッセージを発する意味は大きいと思います」(「True Colors Festival」プロデューサー 、日本財団・青木透さん)
 参加アーティストは、2018年のシンガポールでの芸術祭(「True Colours Festival」は2006年からアジア各国で日本財団が開催してきた国際障害者芸術祭にルーツを持った取り組み)でステージに立ったメンバーと、2020年夏に開催予定だったコンサートに出演予定だったメンバー。全員が自宅から参加し、仮想ステージに見立てたスクリーンでパフォーマンスを披露する。アメリカでもっとも有名な手話通訳者アンバー・ギャロウェイが手話通訳を務め、日本からは、“和製スティービー・ワンダー”と称されるピアニスト&シンガーの木下航志、全盲のヴァイオリン奏者・穴澤雄介、義足のダンサー&女優・森田かずよ、2020年2月にミュージカル『ホンク!〜みにくいアヒルの子〜』に出演したダンサー・東野寛子、鹿子澤拳、障害のある 7 名のダンサーによるチーム「BOTAN」が出演している。
木下航志
穴澤雄介
森田かずよ
BOTAN
■オンラインは、リアルな場以上に、多用の参加者がつながれる可能性がある
 なお、「True Colors Festival」の今後の展開についてもコメントをいただいた。
 「国内外の状況を見ながらにはなりますが、感染リスクに配慮して、オンラインでイベントを展開していくことを考えています。オンラインには利点もあり、障害やそのほかの要因で移動が難しくても参加ができますし、多言語に配慮すれば国境を超えてさまざまな方に参加いただくことが可能です。一方で、オンラインで聞こえない人や目の見えない人にどう楽しんでいただくか、というアクセシビリティの部分はまだノウハウの蓄積が十分ではなく、今後チャレンジしなければならない領域だと考えています。ただ、工夫をすればリアルな場以上に障害、国籍、言語などを問わずに多様な背景のある人たちがまじわる場をつくることができる可能性があります。今後しばらくはオンラインで、多様な参加者とともに、個々人の違いを超えてつながれることの楽しさや素晴らしさを感じることができるような企画を実施していきます」(青木さん)
 今後、どんな企画が登場するか、楽しみに待ちたい。
取材・文:いまいこういち

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