小倉 唯

小倉 唯

【小倉 唯 インタビュー】
今だからこそ伝わる
メッセージを秘めている

ステージに立つ上での
ファンの方に向けたメッセージ

カップリングの「Look@Me♡」は小倉さんご自身のことを歌っている楽曲なのでしょうか?

自分自身のこともですが、今回『シャドウバース』で演じている黒羽アリスというキャラクターがアイドルの女の子なんです。それを重ね合わせて、ステージに立つ上でのファンの方に向けたメッセージというものをリンクさせて楽曲を作ってみました。

作詞を担当された大森祥子さんと小倉さんは長いお付き合いですよね。

はい。今回こういうアイドルソングというか、ステージに立っている心情を描く歌を作ると決めた時、“これは絶対に大森さんに書いてもらいたい!”と思ってお願いしました。実は今回、大枠のコンセプト以外、入れたい言葉だったりトピックス的なことは、事前にお伝えしていなかったんです。でも、大森さんはほぼこの完成した歌詞の状態で仕上げてくださったので“さすが!”のひと言でした。私の心の中が見抜かれている(笑)。

それはすごい!

大森さんの歌詞があがってくる時、いつも自分でもハッとさせられるんです。私自身はこういう言葉を使ったことがなかったけど、確かにこういう気持ちも持ってるかもしれないな、という表現がたくさんあるので。私より私を分かっているんじゃないかと思ってしまうくらい、本当にいつも素敵な歌詞を書いてくださっています。

特に今回はどんなところにハッとされましたか?

いっぱいあるんですけど…2番に《“悲しい”“悔しい” ちゃんと受け止めて 乗り越えてきた誇り 光にして、今》といった少しネガティブなニュアンスが入るところ。普通、アイドルソングやキラキラした歌を歌う時って、あまりこういう表現を入れないことが多いと思うんですよ。でも、大森さんは私が悲しさを乗り越えた先の輝きをちゃんと表現できると思ってくださっているからこそ、こういう歌詞を書いてくれたんだと感じて、すごく嬉しかったです。あと、後半の《離れて過ごす日 届くMention(エール)》というフレーズもすごく好きで。これは現代に通じる意味合いもあるというか。今だから歌えるようなパワーワードも入っていて感動しました。

「Look@Me♡」は途中で掛け合いが入りますね。

これは実は私のアイデアなんです。楽曲のメロディーが決まった時には入っていなかったんですが、サビの中で4つ打ちの部分があったので、そこにお客さんが何か音頭を4つ入れてくれたら盛り上がるんじゃないかと思って提案させていただきました。でも、入れる言葉は大森さんにお任せしました。そうしたら《Y・U・I・Charm》《We・All・Sing・Song》といった詞を入れてくださったんです。自分が作詞するとしたら《Y・U・I・Charm》という歌詞は絶対に入れられないので、大森さんならではの遊び要素だなって。すごく面白かったです。

ここの部分が入っているおかげで、ライヴ会場にいるような感覚になります。

今までの経験から、この曲はかなり人気曲に成長してくんじゃないかと思ってます。今後ライブで歌えるようになったら、本当に会場の空気をガラッと変えるほどパワーを持つ、盛り上がりソングになることを期待してます。

3曲目は黒羽アリスのキャラクターソング「瞳の国のアリス」をカバーされていますが、小倉さんは黒羽アリスをどんな女の子と受け止めて演じていますか?

彼女は『シャドウバース』の世界ではかなり人気を博している、誰もが知ってるようなアイドルの女の子なんです。でも、普段アイドルとして活動する中で自分のことを思うように表現できているわけではなく、大人に作り上げられたアリスとしてステージやテレビで演じなくてはいけない。それで自分が演じているアリスと本当の自分との間で葛藤しているんです。アリスは骸骨とか怖いものが好きな女の子なので、そういうものを出したいのに出せない。ただお仕事自体はすごく好きだから、“自分が好きなことを出していいのかな? 出したら嫌われちゃうんじゃないかな?”といったような悩みを抱えている。特別という存在に少しコンプレックスを持っているんです。

アリスは小倉さんご自身とも共通点がありますよね。

同じようにステージに立つ身としては、本当の自分が分からなくなるというのはすごく共感できます。自分なんだけれど、人前に立つと少し意識が変わったりとか。誰でも多少そうなると思うんですが、アリスの場合は全て大人に決められた世界の中で生きているので、それはそれで大変だろうなと。私は全て決められた中でやっているわけではないので、“あぁ、アリスみたいなことにならなくて良かった”とは思います(笑)。

小倉さんはセルフプロデュースにも積極的に取り組まれているから、アリスにもそういう未来が訪れるといいですね。

そうですね。本当に来てほしいです。

アリスの成長を見守っている感じでしょうか?

役を演じている時は、そんな感じです。アリスも時間をかけていろいろなキャラクターたちとコミュニケーションをとっていく中で、自分の考え方が少しずつ変わっていく瞬間もできてくるだろうし。そこはキャラクターとしても作品としても、観どころではないかと思っています。

「瞳の国のアリス」はキラキラしたサウンドですが、自分らしさを認めてほしいというアリスの切ない想いも入っていて。そんな楽曲を表現することに関てはいかがでしたか?

実は先にキャラクターソングのほうを収録していたので、どうしてもキャラクターのイメージが抜けなくて。だから、レコーディングはかなり苦戦しました。キャラクターのために作った曲なので、少しアレンジを変えたとはいえ、自分として歌うということがなかなか難しくて。アリスの言葉や気持ちが入っていると思うので、それを自分の言葉や気持ちに落とし込まなくてはいけないというところが大変でした。

結果的にご自身の歌にできたポイントは?

最終的にはサウンドに沿って、自分がとにかく楽しく歌うという結構シンプルなところに落ち着きました。歌詞の中には絶妙なニュアンスがいろいろ入っているので、全て自分の気持ちに落とし込めようとするとすごく難しいんです。だから、どちらかと言うと、こういった世界観の楽曲や歌詞を楽しんで歌うというか。自分の中の世界とはまた少し違うのですが、“こういう世界もあるんだな”という気持ちで歌わせてもらいました。

今回のシングルは黒羽アリスとのコラボレーションとも言えますね。

はい。すごくその要素は大きいと思います。

OKMusic編集部

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