緑黄色社会 新作、日常、近況など、
乗ってるバンドの今のリアルをリモー
ト取材で聞いてみた

静かに過ごす家での時間、それはずっと気になっていたあのアーティストのアルバムを、ゆっくりチェックする絶好のチャンス。緑黄色社会のニューアルバム『SINGALONG』。4月22日に配信リリースされたアルバムは、各種チャートで1位を記録するなど、熱い支持を受けて幅広いリスナー層へと急速浸透中。「想い人」「sabotage」「Shout Baby」「Mela!」など注目のタイアップ・ヒットをずらりと並べ、長屋晴子(Vo,Gt)のパワフルな歌を中心にバラエティ豊かなサウンドを揃えた全13曲は、新しい生活様式に寄り添う新しいポップの形として、今あなたに聴かれるのを待っている。最近の日常について、アルバムについて、ライブについて、乗ってるバンドの今の思いを、4人の自宅を結んだリモート取材で聞いてみた。
■“STAY HOME”は何をして過ごしている?
――リモートでこんにちは。今、何をして過ごしています?
長屋晴子:音楽のこと以外で言うと、筋トレをしてます。普段はまったくしてなかったんですけど、こんなに時間があるし、YouTubeを見ながら。あと、お魚を取り寄せてさばくのを始めました。
――なんと。
長屋:ずっと興味があって、お魚をさばいてみたいなって。なんか、かっこいいじゃないですか(笑)。食べるのも好きだったんですけど、自分でやったほうが楽しいし、よりおいしくいただけると思ったので。楽しいです。
――楽しそう。小林さんは?
小林壱誓(Gt,Cho):僕は、亀を飼い始めました。
――さばくんじゃなくて?
小林:絶対さばかないです(笑)。こいつとこれから20年一緒に過ごそうと、決意を固めたところですね。
――亀は万年。いいかも。何亀ですか。名前は?
小林:マルギナータリクガメの、二世です。
――二世? 一世は?
小林:今ここにいます。
――いっせい……壱誓、あ、なるほど。今わかった(笑)。peppeさんは?
peppe(Key,Cho):もともと韓国ドラマが好きなんですけど、Netflixで、あるドラマにハマりまして。
小林:『愛の不時着』ね。
peppe:そうです(笑)。韓国語は母と一緒に少し触れたことがあったんですけど、文法を覚えたり、しゃべることをしてこなかったから、ちゃんと学ぼうと思って勉強し始めました。それとは別に英語もやってて、その二カ国語を日々勉強してます。幼い頃から世界と繋がりたいという気持ちがあるタイプだったので、今後ライブで、アジアとかに行けた時に役立つといいなという思いで、それをモチベーションにしてやってます。
――素晴らしい。穴見さんは?
穴見真吾(Ba,Cho):女子二人がやっている、魚をさばくのと、Netflixで韓ドラを見ることは僕もやってるんですけど、あとはレコードを聴いたり、コントラバスの練習をしたりしてます。それと最近、違うメディアの話で申し訳ないですけど、NewsPicksさんに登録して見てます。
――4人とも、それぞれの角度で意欲的。家いるとどうしても、ふさいだ気持ちになりがちだけど、この4人は大丈夫そう。
小林:そうですね。僕の場合は、人としゃべってないとダメな人間なんですけど、みんなでオンライン飲み会をしたりして。
長屋:そもそも男子二人が、ルームシェアしてるんですよ。
小林:(穴見は)隣の部屋にいますよ。
長屋:一人暮らしではないので、そこの寂しさはないかと思います。
小林:亀も飼ったしね。ずーっとしゃべってます、亀と。日本語教えてます。
長屋:いいなー。
――今思ったけど、このZoomの画面、「Mela!」の「おうちでSINGALONGバージョン」の画面にそっくり。
長屋:ああ、そうですね(笑)。参加していただいて。
――うれしい。メンバーになれたみたい。あれって、ステイホームが言われ始めてから作ったんでしょう?
長屋:そうです。自粛が始まってから、何かできないかな?というのを、私たちなりに考えて始めました。
――あの動画、長屋さんが画面のこっち側に飛び出してくるくらい、すごい勢いで歌ってる。
長屋:そうなんです(笑)。距離は離れているんですけど、すごく近くに感じてもらいたいなというのと、画面の向こうで一緒に歌ってもらえたらという思いがあるので、アクションしてますね。
――先に出ていた「Mela!」のミュージックビデオも、この時期に再生回数をぐっと伸ばしているみたいで。
小林:ありがたいですね。
――あれ、すごく面白い。オオカミが主人公で、中にいろんな童話のモチーフが散りばめられていたり。
長屋:クリエイターさんも一人じゃないので、いろんな絵柄があったり、何回も見たくなるような、一回見ただけじゃ伝えきれないような要素が、すごく詰まってるミュージックビデオだと思います。
小林:それこそパントビスコさんとか、長屋がずっと好きで。
長屋:そう。「どんな人とやってみたい?」という、企画の段階で提案をさせていただきました。
小林:初めてイラストを見せていただいた方もいるんですけど、すごくいい作品になったと思います。
長屋:「Mela!」のミュージックビデオもそうですけど、そもそも曲を作るうえでも、今回のアルバムを出すうえでも、自分たちだけではできなかった作品だなって、総括して思います。
■最新アルバム『SINGALONG』が緑黄色社会にもたらした変化とは?
――その、新しいアルバムの『SINGALONG』。4月22日に配信リリースされて、各チャートでも絶好調で、ここであらためて、4人の言葉を聞きたいと思っていて。どうですか、リリースされたあと、あらためてアルバムについて思うことは。
穴見:僕たちって、常にいろんなことをやりたいという欲がすごく溢れているバンドで。四人四様で曲も作るし、アレンジもみんなで考えることもあるし、そんな僕たちのやりたいこと、爆発力みたいなものが、ようやくちゃんと形にできた作品だなと思ってます。プラスしてタイアップの曲があったりとか、より遠くの人に届けたいという目標にも、一歩近づけたアルバムかなと思います。
――リリース後、誰かに何か言ってもらったとかは?
穴見:FM802の飯室大吾さんと、最近仲良くさせていただいているんですけど、「ロックバンドとしてほんまにかっこええわ」と言われたのがすごくうれしくて。そういう方から言われると、本当にうれしいです。
peppe:『SINGALONG』というタイトルがすごくマッチしたというか、これしかないじゃんって思えるような感じで。私たち4人だけでは作れなかった、たくさんの人たちを含めてSINGALONGみたいな、そういった意味合いがタイトルに含まれてるなと思います。そこからどんどん派生して、大きくなっていくのが表れてる感じがするんですよ。
――周りの反響は?
peppe:サブスクとか、いろいろなランキングを目にした時に、たくさんの方が聴いてくださってる証拠が目に見えるのはうれしいことですし、あとはYouTubeやインスタのコメントとか、生の声を受けることができるので、貴重ですし。私たちの音楽と出会って、はっとしてくれて、「Mela!」をCMで聴いてくれたりとか、こういう時期だからこそテレビとかで出会ってくれて、アルバムに繋がっていく流れをすごく感じたので、うれしいの一言です。
小林:『SINGALONG』はもともとどういう意味で付けたかというと、僕らはライブでみんなにも歌ってもらう曲が多いと思うんですけど、「一緒に歌って」と言わずとも、内側から衝動的にあふれ出て来るような、そういう歌が聴きたいという思いで付けたタイトルで、それが今peppeが言ったことにも繋がってくるんですけど。今こういう状況になって、家にいる時間が多い人だと、ふさぎこんでしまうこともあると思うんですよ。そんな時こそ外と繋がって、一緒により衝動的にやっていこうよというメッセージとして、このタイミングで届けられたのはうれしいなと思います。
長屋:すごく前向きです。
小林:『SINGALONG』というアルバムは特に、4人がそれぞれ曲を書いていて、長屋の歌が中心にあるという僕らのスタイルが、どんどん確立されていってる一つの証明になったというか。かつ、長屋の歌もどんどん変容していて、本人的にはどうかわからないですけど、声が太くなったというのが一つあって。そして、これは『溢れた水の行方』(2018年)ぐらいから思ってたんですけど、ビブラートの種類と使い分けが増えたのを、すごく思いますね。
――長屋さん、ほめられてる。
長屋:ふふふ。その変化というのは、自由に歌えるようになったからかな?と思います。ずっと歌うのが好きで、楽しいという気持ちだけで歌ってはきたんですけど、“楽しい”にまとわりついていた余計なものというのが、たぶん昔はもっとあって。もっと上手に歌いたいとか、ちゃんと歌わなきゃとか、ボーカルはこうでなくちゃいけないとか、というものが、だんだんと自然体に、自由にとらえられるようになってきて、今は本当に伸び伸びと歌っている感じですかね。余計なことは一切考えずに。そういうところが、声が太くなったとか、ビブラートとか、そういうところに出ているのかな?と思います。何かトレーニングしたとか、そういうことがあったわけではないので、何か変化があったとすれば、気持ちの変化なのかなと思います。
――思うのは、このアルバムって、昨日はこの曲が好きで、今日はこの曲が好きでとか、だんだん変わっていったりするので。
小林:ああー。
長屋:本当にそうで、作曲者がいっぱいいるからこそ、いろんなジャンルの曲があるじゃないですか。すごく間口が広いというか、何て言うんですかね、いっぱい釣り人がいるみたいな。
小林:釣りか?
長屋:違うかもしれないけど(笑)。一人では作ることができない幅があるから、いろんな層の人が気にかけてくださるし、「どの曲が好き?」と聞くと、本当にバラバラなんですよ。というのが、自分たちも面白くて、「この曲が好きだったけど、今はこの曲が好き」というのもすごく聞くし。それも私たちの強みというか、魅力の一つなのかなと思います。
――個人的には、「スカーレット」の、あのかっこいいオルガンをライブで聴きたいなあと。
peppe:かっこいいですよね。あれ、ローズです。どうしましょうね、ローズ持ってないので(笑)。
――ローズはツアーに持ってくのは無理でしょ。でかすぎる(笑)。
peppe:nord(※アナログモデリングシンセの代表機)でやります(笑)。
――あと、「inori」が好き。こういうダンスミュージックは、ライブで絶対映えそう。
小林:そうですね。ライブだったら、一気にがらっと変わるようなシチュエーションを作れる曲だなと思います。
――ライブを想像できる曲が多いんですよ。「愛のかたち」とか、ガヤが入ったり、ほっこり楽しい曲だから、これはライブ中盤のアコースティック・コーナーとかでやったらハマるだろうなとか、勝手に思ったりして。
長屋:「愛のかたち」は、真吾がベーシックをアレンジしてくれました。
穴見:ビートルズの「サージェント・ペパーズ」的な感じというか、いろんな環境音が入っている音楽を当時すごく聴いてて、何かできないかな?とずっと考えてる時に、この曲が来たので。ガヤを入れるとか、みんなどう思うんだろう?って思ったら、「いいんじゃない?」って。そこからさらにアイディアをたくさん出してくれて、みんなで作りました。
■いま、緑黄色社会が伝えたいこととは?
――長屋さん。まだ見ぬリスナーに、リョクシャカの世界へのお誘いのメッセージなどを。
長屋:まず個人的な話をすると、「あー音楽を続けられてよかったな」と思えたアルバムなんですよ。たとえば、目に見えてわかる結果ももちろんそうですけど、本当に小さな自分の空間だけで始まったものが、もっと広いところに出て行く感覚って、普通に生きていたらあまり味わえないようなことが日々味わえるのと、それがさらに広がりを見せてくれたことが、ちゃんと実感としてあるんですね。自分たちの“楽しい”が、みんなの楽しいになることって、すごく素敵なことだなと思うし。音楽を続けていてよかったなって、結果としてですけど、リリースしてから余計にそう思ったアルバムなので。それぐらい、楽しいを共有できるようなものになったと思うので。さっきも言ったんですけど、本当に間口が広いので、どの曲から入ってもいいんですよ。どの曲でもいいので、いろんな人に届けたいです。
――ライブはしばらくおあずけですが。今準備していることとかは?
穴見:いつできるかわからないですけど、ライブができたらこういうことをしたい、というものは各々の中にはあります。僕はコントラバスを最近練習しているし、今回のアルバムではシンセベースを取り入れているので、それをどう演奏しようかな?とか。楽曲の広がりに伴ってライブの広がりもあると思うし、この面白さを追求したいという願望はあります。それと、ちょっと話はふくらむんですけど、僕たちはミュージカル的な音楽が好きで、ミュージカルは目でも楽しめるし、音だけじゃなくていろんなエンタメとして、将来的には、ディズニーランドと戦えるぐらいのことをやりたいなと思いますね。
――おおー、言った。
長屋:あはは。
穴見:でもマジで、そこが最終の到達点というか。そのぐらいの気持ちで向かいたいとは思いますね。
――頼もしい。peppeさんは?
peppe:今回のアルバムで、アレンジャーさんが持って来てくださったシンセで音を作って、レコーディングした曲が何曲かあって。この期間に自分のシンセでどれぐらい表現できるかな?と思って音作りしてたんですけど、やっぱり難しいところがあって、新しいシンセを取り入れようかなって今考えてるところなんです。あと、さっきの真吾の話に繋げると、ダンスができるメンバーだったり、管楽器も少し吹けたりするので、自分たちでブラスを吹くパフォーマンスをしたいね、ということもずっと話しているので。私だったらピアノという固定パート以外のことも、やっていけたら面白いかなって。
穴見:やりたいよね。
小林:長屋がフラメンコを踊る。
長屋:あはは。でもたぶん、言われたらやると思います。
――それ見たい。今、ライブができることが当たり前ではないということをかみしめながら、いつか来るその時を待ちます。
穴見:ライブをやってないと、人間性まで変わりますね。冷静になりすぎちゃうというか、アホじゃなくなったというか(笑)。はじけるようなことをそろそろやらないと、ヤバいなと思ってます。
小林:部屋が隣なので、真吾の声が聞こえてくるんですけど、誰かと電話してる声が聞こえるんですよ。そしたら「全人類がみんな我に返る時がある」とかいう名言を言ってたりとか、真面目な発言ばっかりしてるんですよ。
穴見:真面目なのか? それは(笑)。
小林:聞こえてきちゃうんですよ、別に聞きたくなくても(笑)。そこで、延々と名言を語り続けるみたいな電話を最近してるから、そろそろライブやってもらいたいなと、彼には。
長屋:あはは。でも私も歌い足りないみたいで、昨日も深夜2時3時の時間でしたけど、めっちゃ音楽流しながら歌ってましたね。何も気にせず、大声で(苦笑)。すごく歌い足りないです。
――大声でSINGALONGしましょうね。時が来たら。
長屋:はい。その時はぜひよろしくお願いします。

取材・文=宮本英夫

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