【亜無亜危異 インタビュー】
反体制じゃなかったら
ロックじゃねぇだろ
パンクもロックもここに集結してる
“そんなわけねえだろ〜!”
どうして“楽曲をみんなで共有したいという意識があるか”と訊いたかと言うと、『パンク修理』収録曲はライヴでともに歌えたり、シャウトできたり、あるいはコール&レスポンスできたり、全曲そういうタイプですよね? この辺はさっき言われたことに通じるのかと思いまして。
そういうことですか!?(笑)
藤沼
うん。60歳すぎてからそういうことをやるのも面白いかなと(笑)。
仲野
俺たちのスタイルって矢沢永吉や湘南乃風みたいにタオルを回したりすることはちょっとできねぇから、それとは違った一体感みたいなものを感じてくれたら、それはそれで嬉しい。あとは、昔やっていたようなアクションを今でもやりたいんだけど、なかなか俺ができないし。だから…まぁ、タオルを回してもいいか(苦笑)。
藤沼
今、“できねぇ”って言ったばかりじゃねぇか!(笑)
仲野
いや、回したタオルがギターのネックに引っかかったりしたら、余計にまぬけで面白いんじゃないかと(笑)。
(笑)。タオル回しはともかくとしても、『パンク修理』収録曲はどれもライヴで一体感を得やすいでしょうね。
藤沼
どっちかと言ったらフェスみたいなさ、いろんなバンドが出ているところで亜無亜危異のファンだけじゃなく、若いお客さんが観て“何だ、これ!?”っていうところに持っていきたいよね。俺は今、そっちのほうがやりたいな。
その光景は観てみたいですね。
藤沼
俺らの前にもあとにもバントがいて、そこに挟まれて亜無亜危異がいて、全体的に観てどんなふうに映るのかというのは楽しみですね。
楽しみにしています。『パンク修理』全11曲の中から一曲に絞るのは難しいかもしれませんが、私は本作での最重要曲を挙げるなら、「ノー天気の子」ではないかと。DIY精神があり、“自ら動かないと何も始まらないぞ”というメッセージを感じました。
藤沼
あれに関しては一番最初のヴォーカルとギターの部分で《雨にぬれても 俺は知ってる 止まない雨など 無いことを》って歌詞があるけど、俺、ああいう歌詞が大嫌いで(笑)。“そうじゃねぇぞ”ってことを言うためにこの曲を作ったようなもんで。《さあ!今!走り出そう!》もそうでさ、みんな何かあるとやたらめったら走るよね?(笑) だから、《やみくもに〜 やたらめったら走ったところで腹がへる》と書いて、“お前ら、とりあえず走るんじゃねぇ! 何か考えて行動しろよ! それが一番自分のためになるんじゃないの?”っていうことを俺は言いたくて。雨が止むのを待っていたりとかさ、ただやみくもに走ってみて“汗をかいてすっきりした”じゃねぇんだよって。そういうことを言いたくて、わざわざああいうイントロと、ああいう楽曲にして、イントロと同じフレーズをまた最後に持ってきたという。
円環構造と言いますか、イントロとアウトロはほぼ同じ歌詞なんですけど、意味が逆になるというところは素晴らしいと思いました。終わり方の切れ味もいいです。この終わり方が収録曲の中で一番カッコ良いんじゃないかと。
仲野
俺たちの良いところって、さっき伸一も言っていたように、あの台詞を言いたいために楽曲を作ってるところで、「ノー天気の子」でそのことが見えるのはさすがだよね。パンクも、ロックも、ここに集結してる。“そんなわけねえだろ〜!”…そこだよね、きっと。
分かりました。それでは、最後にもうひとつ。これは私の聴き間違いかもしれませんし、そうであったら謝りますが、4曲目「洗脳ごっこ」の歌詞カードはちょっと間違ってませんか?
《洗脳ごっこ》がリフレインされますけど、一番最後も《洗脳ごっこ》ですか?
あら、そうでしたか(苦笑)。
藤沼
そこは歌い方の違いじゃないでしょうかね?(笑)
個人的にはあそこの歌詞だけ聴くと、「洗脳ごっこ」は幻の名曲「東京イズバーニング」の続編じゃなかろうかと思ってしまい…これは私の勘違いですね(笑)。
仲野
そう聴こえるのはお年寄りですね。結構な年配の方です(笑)。
年配の人にはイントネーションが違って聴こえると?(笑)
仲野
そうそう(笑)。でも、「洗脳ごっこ」はいいですよ。イーデス・ハンソンです。
仲野
イーデス・ハンソンと「洗脳ごっこ」の歌詞が分かる人はかなりのお年寄りです(笑)。
取材:帆苅智之
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アルバム『パンク修理』2020年5月27日発売
CROWN STONES
- CRCP-40603
- ¥4,091(税抜)
- ※DVD付
1978 年、埼玉県にて同級生5人で結成。80年、シングル「ノット・サティスファイド」とアルバム『アナーキー』でデビュー。86年にバンド名を“THE ROCK BAND”に改名するが、2 枚のアルバムを残し活動休止。94 年に一夜限りの再結成ライヴを行ない、97年には仲野茂、藤沼伸一、寺岡信芳、そして元 WRENCH の名越藤丸をドラムに迎え4 人で再始動。デジロックの要素を取り入れたバンドに生まれ変わり活動を続けるが、01 年に活動休止。13 年、オリジナルメンバー5人でイベント出演し、17 年に再び5人でのイベント出演がアナウンスされるが、ライヴを前にマリ(逸見泰成)が急逝。4人での出演となった。そして、18年1月に新宿 LOFT にてオリジナルメンバー4人で不完全復活を果たし、同年9月にはミニアルバム『パンクロックの奴隷』をリリースした。亜無亜危異 オフィシャルHP
「洗脳ごっこ」リリックビデオ
「世界に羽ばたけロックスター」
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