SPICEアニメ・ゲーム班オススメ!今
だからこそ観たい!家で楽しめるアニ
メ三選 Vol.12

4月7日に発令された「緊急事態宣言」に伴い外出の自粛、自宅待機が続いていますが、そんな時こそお家で楽しめるアニメ作品を見るチャンスに変えていこう!ということで、SPICEアニメ・ゲームジャンルのライター・編集陣が総力を決して「今お家で楽しめるアニメ三選」をお届けします!(配信状況は執筆時のものです)

Vol.12選者:石井 誠
アニメ&映画&ホビーライター。メカ物やミリタリー、アメコミ映画、アクション、特撮など、男子の大好物をメインカテゴリーに執筆中。アニメのBlu-ray&DVDパッケージ制作や映画パンフレットの執筆・編集なども手掛ける。主な執筆媒体は、シネコン・ウォーカー、Movie Walker、映画秘宝、ホビージャパンなど。
オススメ作品(1)
『ゆるキャン△』(ドラマ版)
(AmazonPrime video)
【公式】木ドラ25「ゆるキャン△」 新番組告知
本作は、芳文社の漫画配信サイト『COMIC FUZ』にて連載中のあfろ原作による人気コミックスを、実力派女優に成長した福原遥を主演に迎えてテレビドラマ化。2018年にテレビアニメとして放送され、高い人気を誇っていた作品のドラマ化ということもあって話題と注目を集めた作品です。
オフシーズンの一人キャンプ=ソロキャンを楽しむ高校生の島リン(福原遥)は、いつも通り一人で出かけていった諏訪湖のキャンプ場近くで各務原なでしこ(大原優乃)と出会う。同じ高校へ転校してきたなでしことの交流をきっかけに、なでしこが所属することになる「野外活動サークル」のメンバーたちとも交流。ソロキャンだけでなく、少しずつグループキャンプの魅力にも触れて行くという、日常系の物語。
筆者は、美少女アニメが苦手ということもあって、アニメ版の『ゆるキャン△』は敬遠しており、原作も未読でした。それがなぜドラマ版を評価するに至ったのかと言えば、自分が10年以上にわたって、毎年必ず行っているキャンプ場がドラマ版オープニングで撮影に使われたという話を聞き、興味本位で観てみようと思ったのがきっかけとなったからです。
そうした事情もあり、よくある「原作やアニメと実写ドラマを比較してしまう」というバイアスがかからないまま、素直に作品に触れることができました。
「ドラマ版『ゆるキャン△』の魅力は何か?」と言えば、実写だからこそ表現可能な、キャンプの空気感の表現にあると思います。暗さが増してゆくキャンプ場の情景、その先に広がるキャンプ場にいないと見ることができない富士山を中心とした実景。
キャンプを実際に体験したことがある身からすると、オープンエアで食事をする開放感、揺らめくたき火を眺めながら同行者と語り合う雰囲気は、個人的にはアニメの絵で観るよりも断然臨場感があり、「キャンプ行きたい熱」が高まります。画面を観ているだけで、まるでたき火の熱や炭の匂い、虫の声が混じる静かな状況などが頭をよぎり、キャンプを疑似体験しているような雰囲気にさえさせてくれます。
また、最小限の荷物でキャンプをするリンが使うキャンプギアも、コンパクトさや使い勝手を重視したチョイスとなっており、実物を見せられると実際に使用しているということもあって、触ってみたい度、使ってみたい度の度合いがグンと引き上がります。
あくまで個人的な意見ですが、『ゆるキャン△』という作品を楽しみたいと思っているならば、実際にキャンプに行っている人は実写ドラマから、キャンプに行ったことが無い人はアニメから入るのがいいのかもしれません。
また、自粛状態の中で、少しでも開放感のあるアウトドアな雰囲気を楽しみたいというなら、ぜひ観てみることをオススメしたいです。
オススメ作品(2)
『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』
(ディズニー・シアター)
「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ<ファイナル・シーズン/ザ・ロスト・ミッション>」予告編
『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(以下、『クローン・ウォーズ』)は、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(以下、EP3)と『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(以下、EP3)の間に起こった、銀河系全域の惑星を巻き込んだ大規模戦争〈クローン戦争〉を舞台とした物語です。
平和の守護者であるジェダイ騎士団が所属する民主主義国家である〈銀河共和国〉と、その体制に逆らい独立を図ろうとするドゥークー伯爵の率いる分離主義同盟による銀河を巻き込んだ戦いが勃発。分離主義同盟が大量のドロイドを生産し戦線に投入したのに対し、銀河共和国は優秀な戦士の遺伝子から生まれたクローン兵を投入して対抗します。その結果、この戦いは〈クローン戦争〉と呼ばれるようになります。
『クローン・ウォーズ』は、この〈クローン戦争〉を、劇場用映画1作+テレビシリーズ6シーズン=121話をかけて描く超大作です。それでもまだ作品は終わっておらず、現在ファイナルシーズンとなる第7シーズンが制作され、アメリカ本国では配信されています。
筆者は長年のスター・ウォーズファンですが、実はEP2とEP3はあまり好きではありませんでした。特にEP3に関しては、アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに墜ち、師匠であるオビ=ワン・ケノービと対立するという物語がどのように描かれるのかに期待して観たのですが、深い信頼関係にあった師匠と弟子が仲違いするに至る葛藤があまり描かれず、わりとあっさりとアナキンがダース・ベイダーになってしまう流れには、大きな不満を持っていました。
しかし、『クローン・ウォーズ』を観ると、映画版では物足りなかったアナキンとオビ=ワンの関係性が深く描かれており、EP3でアナキンを斬ったオビ=ワンが言う「弟だと思っていたのに」というセリフの重みが大きく変わっていきました。
その他にも、その後のスター・ウォーズのサイドストーリーでも活躍することになる、アナキンの弟子であるアソーカ・タノの成長譚が盛り込まれ、そこに絡むアナキンのジェダイとしての成長、そして戦争の中で触れるダークサイドとの関わりなどが描かれ、EP3で足りなかった要素を大きく補強してくれます。その一方で、さまざまな戦場に送りこまれ、作戦に疑問を持ちながらも忠実に任務に向かうクローン兵士からは、アメリカ軍兵士の戦場に挑む使命感のようなものも滲ませるほどです。
また、長いシーズン展開だからこそ描くことが可能な、映画などのエピソードにちょっとだけ登場するさまざまなキャラクターやエイリアン種族の特徴などにもより深く触れられており、長年スター・ウォーズファンを続けていた者ならばこその、トリビア的な展開が多数用意されているところも楽しめるポイントとなっています。
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から始まった新たな三部作では製作から離れてしまったジョージ・ルーカスが、最後に手掛けたスター・ウォーズとなるのが『クローン・ウォーズ』です。銀河共和国が銀河帝国へと変わっていく中で重要な転換点となる戦争を、長尺をかけて描くことでルーカスとしてはスター・ウォーズのさまざまな取りこぼし解消しようとしたのかもしれません。
長期的な自粛のお供とするならば、まさに持って来いの大長編を観れば、新たなスター・ウォーズの魅力に触れられること、間違いなしです!
オススメ作品(3)
『ヴイナス戦記』
(バンダイチャンネル)
映画『ヴイナス戦記』冒頭10分映像
最後にオススメしたいのは、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(以下、『THE ORIGIN』)の原作でお馴染みの漫画家の安彦良和が30年前に手掛けたアニメーション監督作品『ヴイナス戦記』です。
この作品を最後に、安彦良和はアニメ業界からの引退。その後30年に渡って安彦良和自らが封印し、再上映やソフト化などが行われず、2019年にようやく封印が解かれた幻の作品でもあります。
惑星衝突によって人類が住むことができるようになった金星に、人類が移住するようになってから72年が経った、西暦2083年。金星を治める肥沃な大地を持つアフロディアと工業国家であるイシュタルという2大自治州が資源問題によって戦争を開始します。イシュタル軍の強襲によって、アフロディアの首都イオが陥落。イオに住む、危険なモータースポーツ〈ローリングゲーム〉に打ち込むヒロと仲間たちはイシュタル軍の侵攻を目の当たりにし、日常的に使用していた試合会場であるスタジアムも占拠されてしまうのでした。ヒロは仲間たちと共にスタジアムを取り戻すべく、イシュタル軍の多砲塔戦車に立ち向かったことをきっかけに、自治州同士の戦争に巻き込まれていきます。
この作品は、監督の安彦良和が、昭和の終わりの時期に新たな才能が多く現れたアニメ業界に自分の居場所が無くなったと感じ、その閉塞感をストレートに推しだした作風となっています。主人公のヒロは、バイクの運転技術の高さを持つものの、世界を変えるような能力などは無く、自分が住むヴイナスという星が抱える閉塞感に対しての怒りや反抗心をローリングゲームや後に所属するバイクでの戦闘部隊〈ハウンド〉での戦いにぶつけるようになっていきます。
閉塞する世界を舞台に、とにかく反攻的に挑んでいくヒロの行動は、ただガムシャラにぶつかっていくだけで、正解のビジョンが打ち出されるわけではありません。しかし、その最後まで自分のやり方であがき続ける姿は、SFを舞台とした戦争アクション的な展開の中にあって、作者の思いが投影された文学的な印象さえ与えてくれます。
そして、もうひとつの注目ポイントは作画のクオリティ。安彦良和が構築した世界とキャラクターを、有能な作画陣が描写。川元利浩、沖浦啓之、河口俊夫、植田均、井上俊之など、後に作画描写で高い評価を受けることになる多くのアニメーターが集結して描くことで、80年代末期の緻密化が進むアニメ作品の質の高さを体現し、驚くべきクオリティを実現しています。
世の中が昭和から平成に向けて大きく変わる中、アニメーションも大きな変化の時代に突入し、多くの作品が生み出される中で、当時はあまり高く評価を受けることがなく終わってしまった『ヴイナス戦記』は、ある意味不遇な作品です。しかし、30年の封印が明けた現在、観る価値は高い1本であることは間違いありません。劇中設定と同じく、自粛が続き、閉塞感を感じる時代だからこそ作品から何かを読み取ることができるかもしれません。

やはり、数多ある動画配信メディアが抱える作品の中から自分のオススメを選ぶのはなかなか難しかったです。そこで、今回は「自粛中」という状況をキーワードから連想できるテーマを持つ作品を選びました。疑似的にある体験が味わえるもの、深い内容を長く楽しめるシリーズもの、そして閉塞する世相と雰囲気が似ているものと連想して出て来た作品をセレクトしています。
また、バラエティの豊かさも意識してみたので、興味が出た作品があればぜ観てもらえればと思います。
文:石井 誠

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