蒼井翔太

蒼井翔太

【蒼井翔太 インタビュー】
もっと高く飛ぶために、
僕は走り続けていく

歌手としてのみならず、声優として、俳優として、活躍の幅を広げる蒼井翔太の新作は、自身が出演するTVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』のエンディングテーマ「BAD END」。蒼井曰く“自分とは重ならない”というキャラの想いを迸らせつつ、一枚を通して発信されるメッセージからはアーティストとしての彼の飽くなき探求心がうかがえる。

目の前にチャンスがあるのに
可能性を閉じるのはもったいない

昨年からメディアへの露出が増えたり、ブロードウェイミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』の主演も演じられたりと、ここ最近グッと活躍の幅が広がっていますよね。そこで得られたものって何でしょうか?

まず、得たものは自信ですね。『ウエスト・サイド・ストーリー』は60年以上もさまざまな方々が演じ、人々に愛されてきた作品なので、“自分にトニーという大役が務まるのだろうか?”という不安も、やっぱり最初はあったんです。ただ、オーディションに合格させていただいたからには期待に応えたい。そんな想いも背負いながら稽古を続けて、通し稽古が終わった時に“翔太がトニーを演じていると、みんなが10代に見える”という言葉を演出のデイヴィッド・セイントからもらったんですね。それですごく肩の荷が下りたというか、自分が知らない自分の魅力に、またひとつ気付かされたんです。本番が始まってからも、観に来てくださった方たちから嬉しい言葉をたくさんいただけて、終わる頃にはすごく寂しい気持ちになっていて。そう思えるくらい良いものを何十公演も積み重ねることで、“みんなと一緒に作り上げることができたんだ!”っていう達成感が、きっと自信につながったんだと思います。ブロードウェイミュージカルという初めてのフィールドに足を踏み入れるのは、僕に限らず誰にとっても怖いことだけど、“目の前にチャンスがあるのに自分の可能性を試さずにシャットダウンしてしまうのは本当にもったいない”と改めて気づかされましたね。

では、今回の新曲「BAD END」でも何か新しいチャレンジが?

はい。「BAD END」はTVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』のEDテーマで、歌詞も僕が声を当てているジオルド王子の視点も取り入れて書かれているんですね。ただ、王子様という乙女ゲームの王道設定のくせに、ジオルドってガツガツいくキャラなんですよ! ロイヤルな雰囲気を纏いながらサラッと強引なこともしちゃう、いわゆる“腹黒王子”だから、歌詞にも《バッドエンドの運命でも 僕のモノになればいい》っていう強引なところがあったりして、蒼井翔太としては完全に共感できるところが少ないんです。ただ、《闇の中で輝けるのは 太陽のような 君の存在が そばにあるからさ》という歌詞は、蒼井翔太としても応援してくれる方々に対して絶えず思っていることなので強く共感できました。

それに“一緒に破滅したい”という想いは、ある意味非常にピュアで、むしろヒロイン的な感情でもありません?

そうなんです! 腹黒とか強引と言っても、全てはジェラシーから派生しているものなので、可愛いところもあるキャラなんですよ。

なるほど。自分とは遠いキャラの心情を歌うのは、なかなか難しいことですよね。

難しかったです。でも、曲調がロックで激しいので、そこに感情を乗せてなんとか歌うことができました。前作の「Harmony」(2019年10月発表のシングル)や「Tone」(2019年4月発表のシングル)みたいなさわやかなナンバーとは違う、久しぶりのロックな感じに、さらに今回はストリングスも目立つように入れたので、そこは聴いてほしいですね。あと、キーの高さもひとつの挑戦ではあります。今までにない音域に挑むっていうのは僕のポリシーでもあるので。

アグレッシブなロックサウンドに乗せた強気なラブソングに超絶ハイトーンヴォイスという取り合わせは、私も驚きました。低音を活かして男の色気を出す方向性でもいけるでしょうし。実際、艶やかな低音もお持ちじゃないですか。

ありがとうございます。でも、もともと声が高いから、あんまり低いと喉に負担がかかっちゃうんです。僕、自分の声で唯一困っているところが、高いにしても低いにしても、頑張って出してるのに苦しそうに聴こえないところなんですよ。“分かってよ! もう歌えないよ! 限界だよ!”ってなる時もあって、今回のレコーディングでも“歌えるかな?”っていう不安がありましたね。まぁ、歌っていくにつれて身体にも馴染んで、気づけば終わってましたけど(笑)。サビ最後の吐き捨てるような《決めなよ》も、今までやってないような歌い方にしたくてアイディアを詰め込みました。基本的に地声というよりもミックスヴォイスで歌っているので、この曲のおかげでミックスはすごく鍛えられましたね。昨年は『FNS歌謡祭』とかで水樹奈々さんとデュエットさせていただく機会も多かったりして、最近すごく鍛えられてます(笑)。

ちなみにMVはどんな作品になっているんでしょうか?

バッドエンドに向かっていく歌詞のストーリーに合わせて、光と闇をモチーフに作りました。光と闇って相反するものだけど、この世の中にはどちらも必要なものじゃないですか。なので、闇に連れ去られてしまった光が、最初は抗いながらも次第に闇に魅入られてしまう…という物語にして、それが本当にバッドなのかどうかは、観ていただくみなさんに委ねようかなと。

では、蒼井さんが光と闇のふた役を?

そうです。特に“光”は人間味のない神秘的な姿で観せたかったので、『WEST SIDE STORY』が終わってから約1カ月で4キロくらい痩せて臨みました! 蒼井翔太にしかできない振り切ったビジュアルで表現しているので自信を持ってお届けできますね。

楽しみです! ところで蒼井さんご自身は、この曲のようにバッドエンドと分かっていても飛び込むほうですか?

飛び込まないですね。バッドエンドが好きな人もいるけれど、それってゲームだからだと思うんですよ。現実世界で出会って、“この人と一緒になったらダメだ”ってなったら、きっとみんな踏み込まない。恋愛以外でも普通に慎重ですね。現実的に考えます。
蒼井翔太
蒼井翔太
シングル「BAD END」【初回限定盤】(CD+DVD)
シングル「BAD END」【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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