『怪物さん feat. あいみょん』平井
堅の魅力を拡げるコラボの軌跡を辿
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コンテンポラリーなR&B、オーセンティックなソウルやファンクといったブラックミュージックを基調にしたサウンドと、日本語だからこその趣深い風情やメロディラインが融合したスタイルに始まり、その解釈を広げながら、お茶の間に愛されるアーティストとして長きに渡る活動を続けてきた彼の音楽性は、メジャーデビューから25年になるキャリアのどこを切り取って振り返っても、エヴァーグリーン且つオリジナルな輝きに満ちている。
例えば、その名が全国に知れ渡ることとなった、メロウなR&Bの極みと言える「楽園」、R&Bたらしめるビートを極限にまで削ぎ、より歌にスポットを当て豊かな声の揺らぎとグルーヴ響かせた「even if」、UKのクラブシーン発、90年代後半~00年代前半にブレイクした2ステップのビートを採り入れたダンサブルな「KISS OF LIFE」、スタンダードのレパートリーを代表する「大きな古時計」、彼の代名詞的な曲である稀代の劇場型バラード「瞳をとじて」、アップテンポで刻みの細かいビートと伸びやかな歌声のマッチングが刺激的な「POP STAR」。どの曲も当時がフラッシュバックする、時を経てノスタルジックな魅力が深まるポップスとしての強度とともに、現在のハイファッションなR&Bやクロスオーヴァーミュージックの礎や、さまざまなジャンルがアップデートされ、リヴァイヴァルしている状況の一翼を担っていることもよくわかる。
アーティストの進化は、持ち前のスキルが上がることで変わらぬ魅力が補強されるパターンもあれば、ただ時を重ねるたことで結果的に得られることも、意識的に新たなインプットとアウトプットを求める姿勢によって生まれることもあり、おそらく彼も例外ではない。それは、ここまでで述べたようなヒット曲の軌跡を追うことでも浮かび上がってくるが、とりわけチャレンジングな姿勢にフォーカスしたときに、特筆すべきはさまざまなスタイルのアーティストとのコラボレーション曲だ。自分以外の誰かとともにフロントに立ち曲を仕上げるにあたって、互いのセンスの化学反応を大切にすることはもちろん、転ぶつもりは毛頭なくそこに確信めいたなにかがあったにせよ、“ただでは転ばない”気概を感じるほどに、自らのイメージを塗り替え新たな境地に向かったサプライズな曲もある。それらは、振り返ると彼の表現力を拡張する鍵になっていたり、未来を示す伏線のようであったりと、実に興味深い。
「Cry & Smile」(2008年)
「Gift」(2017年)
そして2020年3月。シンガーソングライターとしての円熟味を増しながら持ち前の魅力を磨くとともに新たな地を模索し続ける、平井のアティチュードを象徴するシングル「怪物さん feat. あいみょん」がリリースされた。
こうして振り返ってみると、老若男女の胸を打つ決定的なヒットソングを多く持つアーティストは、ポピュラーソングの長い歴史レベルでみると数多く存在するが、ここまでパフォーマンスに幅のあるアーティストはなかなかいないだろう。進化し続けるシンガーソングライター・平井堅の次なる一手は、王道のギフトかはたまたびっくり箱か。新たなディケイドにメジャーデビュー25周年を迎えるこの先に注目したい。
<リリース情報>
「怪物さん feat.あいみょん」
2020.3.27 release
ダウンロード/ストリーミングはコチラ
https://aoj.lnk.to/8qB9E
オフィシャルHP
https://kenhirai.jp/
『怪物さん feat. あいみょん』平井 堅の魅力を拡げるコラボの軌跡を辿るはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
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