石田ゆり子さんの思い出(3):杉作J太
狼XE「美しさ勉強講座」連載123
軟弱な男たちの姿に見かねて、あの先生が立ち上がった!
杉作J太狼XE先生の「男の魅力がぐんとアップする美しさ勉強講座」
123時限目・石田ゆり子さんの思い出(3) 石田ゆり子さんとの共演シーン。NHK、BSドラマ。その撮影は終わった。
21時ごろだったのではないか。
リハーサルやって、はい本番、というかんじ。そんなに重要なシーンではなかったかもしれない。
その小説家の役を当初の予定通りに筒井康隆さんが演じられていたならこれはたいせつなシーンだっただろう。だが俺である。俺は自己を客観視できる。俺は求められていない。求められる場所やシチュエーションもあるかもしれないがこのときはなかった。ま、しかたなく撮影している、とまで言うと逆にスタッフに失礼かもしれないが、遠くなかったはずだ。
ここで俳優を職業とする者だったら。
たとえば東映ピラニア軍団だったら。
東映ピラニア軍団の説明はここでは省略するが、彼らだったらここぞチャンスとばかりに大ハッスル、石田ゆり子さんに「先生、帰りましょう」と腕を引っ張られたら勢い余ってドブに転落は朝飯前。道路にまで転げ出て、走ってきたダンプカーに跳ね飛ばされるぐらいのことはやるかもしれない。
実は俺も、俳優ではないにしても、中学生の頃からピラニア軍団が大好きだった。ピラニア軍団ブレイクのリアルタイム世代である。
それまで画面の端にいた彼らがズンズンと前に出て、映画、テレビドラマの中だけでなく、歌番組やコマーシャルにグイグイ出張ったその様を目撃している。
当時、俺は学校を退学になったりして気分的にも状態的にもどん底にいた。
もう俺の人生、ここまでなのだろうか。みたいなことも考えた。そのとき、ピラニア軍団と出会ったのである。
それは画面の端から始まったまるで革命だった。
それを見ていた俺にもかすかながらピラニア軍団魂は宿っていたのかもしれない。
俺はその、なんでもないような場面に、しれっと演じて帰ればいいだけだったかもしれないのに、役者でもないのにやるだけのことはやっておきたかった。
俺は腹の底に力を入れて撮影に臨んだ。うまくやろうとか、評価されようとか、そんなんじゃない。初対面のスター、石田ゆり子さんの前でいいところを見せようというのでもない。気に入ってもらいたいわけでもない。俺のことなど石田ゆり子さんは気にも留めてないはずだ。俺は筒井康隆さんの代役でやってきた誰でもいい男なのだ。
このときに限らないが、俺は決してがっつかない。
がっつきかたにもいろいろあって、しゃにむにがっつくやつもいれば上品にがっついてないふりしてがっつくのもいる。だが俺は決してがっつかない。そこが弱点かもしれないが、俺には考えがある。要はやるしかないだけだ。仕事をやるだけやるしかない。がっつくのではなく、ベストを尽くすのである。それしかない。
俺は与えられたセリフに全力を込めた。酒に酔った売れっ子小説家の役なので大声を出した。演技はへただが大声なら出る。それが俺にできる惟一のベストを尽くすことだった。
そして撮影は終わった。
いきなり見たこともないやつが代役で来て、大声出して撮影すぐ終了。
なんだこいつは、図々しい。そう思われたかもしれないが、それでいい。撮影はまだ続きそうだったが俺の出番はそのワンシーンだけだ。衣装のジャケットを脱ぎ、衣装さんに返した。ただ淡々と俺だけが現場をあとにする。そう思ったときだった。
俺を見ていた。
石田ゆり子さんが俺をじっと見ていた。まっすぐに俺を見ていた。その表情がかすかに動いた。(つづく。2週間後、またお会いしましょう)
<隔週金曜日掲載>
写真/2016年2月25日・『僕だけがいない街』完成披露試写会
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【杉作J太狼XE:プロフィール】
すぎさく・じぇいたろうXE
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める男の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
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おすすめ本:Jさん&豪さんの世相を斬る!(残侠風雲編)@ロフトプラスワン(ロフトブックス)
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