【FM802×SPICE ヘビロな人のヘビロ
曲~あの人のルーツはこの10曲~】3
月度ヘビーローテーションアーティス
ト・Rude-α編

2019年、大阪のラジオ局、FM802は開局30周年の節目を迎え、2020年新たな節目に向けて進み出す。そんなFM802が自信を持って1ヵ月間毎日、特定の楽曲をOAするヘビーローテーション。そのヘビロアーティストに、自身のルーツとなる楽曲のアンケートを取り、その話を交えながらFM802DJがインタビューする企画【FM802✕SPICE ヘビロな人のヘビロ曲~あの人のルーツはこの10曲~】。第3回目となる今回は、2020年3月のヘビーローテーションアーティスト・Rude-α。3月4日(水)に発売された1stアルバム『23』のリードトラック「アイスクリーム」が今回のヘビ―ローテーションに選ばれた。今回の対談はFM802で『ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-』(毎週月~木曜日21:00~放送中)と『Chillin’ Sunday』(毎週日曜日15:00~放送中)を担当しているDJの落合健太郎が、ヘビロ曲についてはもちろん、衝撃的なラップとの出会いに始まり、駆け上ってきたデビューまでの今に至る道のり、さらにはRude-αの人間性が見えるルーツ曲に関するエピソードなどを、包み隠さず話してくれた。
落合健太郎 × Rude-α
●知らない人に「お前才能あるからラッパーになれ」と言われたのがラップとの出会い●
落合:FM802、3月度のヘビーローテーションに選ばれたということで、ここでは改めてRude-αとはどんな人なのかを聞いていこうと思います。
Rude-α:宜しくお願いします。
落合:Rude君は現在23歳で、沖縄出身。ラップに出会ったのが16歳の頃だっけ?
Rude-α:そうですね、16歳からやってます。
落合:ラップに出会うまではどんな高校生だったの?
Rude-α:ラップに出会うまではずっとダンスをやっていました。マインド的にはちょっと捻くれていましたね。日陰を歩いてる高校生みたいな。周りの皆はビリヤードとかそういうゲームで遊んで「ワーッ!」と騒いでたんですけど、そういうのを結構冷めた目で見て、他とは違うオーラを出しながら「冷めてる俺カッコイイ」と思ってるうざい高校生でした。
落合:分かるわー、そういう高校生いるよね(笑)。でも、そんな時期でもダンスは真剣にやってたんだよね。
Rude-α:そうですね、ダンスは夢中でやっていました。
落合:ダンスを夢中でやっていた当時は、将来的なビジョンとかあった?
Rude-α:いや、明確にダンスで何かをしたいというわけではなく、ただ楽しいから夢中でやっていたという感じですね。仕事にしたいとかは思ってませんでした。
Rude-α
落合:そうなんだ。そこから16歳でラップと出会う。1stアルバム『23』のタイトルトラックにもなってる「23」の中でも歌われてるけど、ラップとの出会いはなかなか衝撃的だったんでしょ?
Rude-α:そうなんですよ。バイト帰りに友人と公園にいたら、知らない人に話しかけられて、いきなり目の前でラップかまされて(笑)。で、ラップで返したら「お前才能あるからラッパーになれ」と言われたのが出会いでした。
落合:それ、すごいキッカケだよね。そもそもその相手の人は何をやってる人だったの?
Rude-α:そいつは本当にラップしかやってなかったですね。一応高校にも行ってたんですけど、母親から貰った弁当代500円を使わずに貯金して、ラップするための機材を買うみたいなやつでした。
落合:そうなんだ。でも、500円をコツコツ貯金するくらいなら、バイトしてもいいじゃんと思うけどね。
Rude-α:そいつ「バイトするならラップするわ」と言って絶対バイトしなかったんですよ。お金なんて全く無いのにずっとラップだけやってました。
●自分の役目って、音楽を聴いてくれる人達のヒーローになる事なんだなと●
落合健太郎
落合:そんなラップとの衝撃的な出会いがあって、Rude君は『第6回高校生RAP選手権』で準優勝。そこまでの道のりって結構あっという間の話だよね?
Rude-α:そうですね、ラップ始めて1年くらいですね。
落合:それもまたすごいペースで来たね。
Rude-α:これもホントたまたまなんです。当時僕は東京でどうしても遊びたくて。でもお金がないし、親に「遊びたいからお金貸して」と言っても、貸してくれないじゃないですか。だから親に「東京でラップの予選オーディションがあるから行きたい」とウソをついてお金を借りました(笑)。東京行って知り合いと遊んでたんですけど、一応親にオーディション受けると言った手前、参加しとかないとダメだよなと思って受けに行って。オーディション会場で他の参加者のラップ聴くじゃないですか。そしたら「あれ? いけるかもしれない」という自信が湧いてきて。その気持ちのままオーディションに挑んだら受かったんです。
落合:そのまま本選に進んで準優勝をすると。ここまで話を聞いてて、出場するまではそこまでラップに対して熱がなかったように思えるんだけど、準優勝という思わぬ結果を手に入れてから、情熱というか、これからのビジョンが見えてきたの?
Rude-α:すぐに「これで飯を食いたい」とは思わなかったんですけど、もっとライブとか曲作りをしっかりやりたいなと思うようになりましたね。
落合:そもそもダンス以外で音楽に触れたりしてた? バンドで楽器やったりとか。
Rude-α:いえ、ダンスだけですね。ダンスをやってたからリズム感もそうですし、ブラックミュージックに触れる機会が多かったという影響はあると思います。
落合:なるほど。そのあと東京でアーティストデビューを果たすわけで、周りから見れば順調にキャリアを重ねてるなという印象だけど、Rude君自身、23歳になった今の状況に対してどういう思いがありますか?
Rude-α:周りの友人も社会人1年目だったり、結婚して子ども生まれた人とかもいて。そんな状況に直面してまず感じたのは「俺はいまだに夢の中で生きてるな、これでいいのかな」という不安感でした。でも地元に帰るたびに友達が「テレビに出てるの観たよ、すごいな」と言ってくれたり、従兄弟がめっちゃ俺の音楽を聴いてくれてるとか、そういう嬉しい話が聞こえてくるんです。それを聞いたら自分の役目って、今自分がいる夢の中で出来ることをやって、自分の周りの人たちや、音楽を聴いてくれる人達のヒーローになる事なんだなと。23歳になってこれからも夢を見せられるアーティストになれればいいなと思います。
●「アイスクリーム」は自分の中でも過去最高の自信作だと思ってるんです●
落合健太郎 × Rude-α
落合:そんな夢が詰まったアルバム『23』の一曲目「アイスクリーム」がFM802の3月度ヘビーローテーションに決定してます!
Rude-α:本当にありがとうございます。めちゃくちゃうれしいです。
落合:「アイスクリーム」はフックのある曲だなと紹介していて思うし、歌をよく聴くと、あの食べる「アイスクリーム」だけの意味じゃないんだなと思える曲で。この曲はどういうふうに出来上がっていったの?
Rude-α:曲を作るとき、最初に適当な宇宙語でメロディーから作るんです。宇宙語で歌ってるの聞いたら、ここ「君のせいで」に聞こえるな、この歌詞が出てくるんならラブソングだなとか、そういうふうに作っていきました。……この曲、自分の中でも過去最高の自信作だと思ってるんですよ!
落合:おぉ! それはどういう理由で?
Rude-α:いくつか理由があって、一つは僕、普段からチャンス・ザ・ラッパーを尊敬していて、音の意識もしてるんですけど、この曲で彼のリズムの取り方だったりとか、彼からインプットしたものをちゃんとRude-αの音楽として出せたという感覚があるということ。二つ目は、子どもにも覚えてもらえるような曲が書きたいと思ってたなかで、分かりやすいキャッチ―なサビができたこと。三つ目は僕、あいみょんの「君はロックを聴かない」がすごい好きで、いつかあんな思春期をテーマにした曲が作りたいと思ってた時に、絶妙な歌詞を当てられたこと。今まで自分が意識して作りたい、出したいと思ってた部分が全部繋がった一曲なんです。
落合:なるほど。確かにサウンドもノリが良くて、すごくカッコイイ。サビのリフレインも知らないうちに聞いてる人の中にすんなり入ってくるグッドミュージックだなと思います。
Rude-α:自分で聴いてもかっこいい曲だなと思ってます(笑)。
●いつか出会う自分の子どもに胸を張れるカッコいい男でいたいなと思うんです●
落合健太郎 × Rude-α
落合:今回は、そんなRude君が影響を受けた音楽のお話もしていきたいなと思います。10曲上げてもらっていますが、一覧を見ると結構バラエティに富んでるよね。この中で一曲あげるとしたら、どの曲ですか?
Rude-α:ORANGE RANGEの「Walk on」もめちゃくちゃ聴いてましたけど、BEGINの「未来の君へ」ですかね。この曲には自分が音楽をやる上で、大切にしてる部分がすごく入ってて。将来いつか出会う自分の子どもに向けた曲なんですけど、この曲を聴くと、いつか自分の子どもと出会った時「お父さんこんな音楽やってたんだよ」とか「夢は自分次第でなんとかなるんだよ」と胸を張って言えるようなカッコいい男でいたいなと思うんです。「お父さん今は太ってるけど、昔はかっこよかったんだね!」みたいな会話ができたらいいですよね。
落合:同じ沖縄出身だからこそ刺さる部分もあるんですかね。
Rude-α:そうですね(笑)。沖縄出身同士で通じる何かはあるかもしれないです。以前BEGINの比嘉さんと、年末に沖縄で開催されたカウントダウンライブで、お話させて頂くタイミングがあって。めちゃくちゃ尊敬してるので「ご一緒できて嬉しいです」とご挨拶に行ったのですが、その時にちょうど比嘉さんの息子さんが来てて。まさに曲に出てくる「未来の君」ですよ。16歳の少年だったんですけど、話を聞いてると「Rude-αさん見てラップ始めたんです、最近はバンドをやっているんですけど、音楽の始まりはRude-αさんなんです!」 と言われて。「俺は君のお父さんに影響受けてるんだよ!」というめっちゃ嬉しい会話で盛り上がって、その子に「ぜひCD聴いてください!」と渡されたCDの裏を見たら、一曲目「ラブソングはつまらない」で。その瞬間「俺めっちゃラブソング作ってるし……」となって(笑)。まさかあの「未来の君」にカウンターパンチくらう日が来るとは思いませんでしたね(笑)。
落合健太郎 × Rude-α
落合:ハハハ(笑)。死角から良いパンチが飛んできたね。他にもルーツとなった曲をあげているのを見ると、意外にHIPHOPというよりは、UAとか、アース・ウィンド・アンド・ファイアーとか、年代もジャンルもバラバラですよね。なかでも気になるのが中村あゆみさんですが、これはどういう経緯で?
Rude-α:これは小学5、6年生の時に、サンタさんからiPodをもらったんです。でも、もらったのはいいんですが、家にパソコンがなくて曲が入れられなくて。当時、叔父がパソコンを持ってたので、「これに何か曲入れて」と渡したんです。何日か経ってiPod返してもらったんですけど、その中に中村あゆみさんの「翼の折れたエンジェル」と八代亜紀さんの「舟唄」の2曲だけ入った状態で帰ってきたんです。
落合:ハハハ(笑)。なんでその2曲なんだろう。
Rude-α:いや本当に訳わかんないでしょ。でも入ってるのその2曲しかないから、1年くらいそればっかり聴いてたんですけど、やっぱりめちゃくちゃ良い曲なので聴いてるうちに好きになって。あと、少し経ってから、ふと中村あゆみさんってどんな人なんだろうと思ってYouTubeでMVを観たら、その当時の中村あゆみさんがとても可愛くて。いまだにどんな人がタイプですかと聞かれた時に、「翼の折れたエンジェル」当時の中村あゆみさんですと答えてます。めっちゃ童顔なのにハスキーボイスで。……ちょっとMVの一番好きな瞬間、見てもらっていいですか?(おもむろにスマホを取り出す)
落合:おぉ、めちゃくちゃ熱入ってるね。音楽の趣味だけじゃなくて女性の好みまで形成してくれた叔父さん、すごいわ。
Rude-α:これ! この冒頭のシーン。曲に入る前。満面の笑みでの「センキュー!」 と言うシーン。これがもう一番好きで。見て!(周りのスタッフにも見せる)。
落合:あー、わかるわかる!
Rude-α:このことをツイッターで呟いたら、中村さんに引用ツイートされて、「ありがとう」とメッセージ貰ったんですよ。すごく嬉しかったから「ありがとうございます。好きです」と返したら、中村さんファンの方が横から「今のあゆみちゃんも俺は好きだけどね」というリプライが来てて。俺を踏み台にして株を上げてきやがった! と。踏み台にされたこと、いまだに許してないですから!(笑)。
●音楽になれば、自分が知らない海の向こうの人に会えるんだなと思うと嬉しいんです●
落合健太郎 × Rude-α
落合:中村あゆみ熱がすごいな(笑)。他にも何かあります? この中だとディアンジェロは今の音楽に共通することもあるよね。
Rude-α:ディアンジェロもエピソードありますよ。というか全部にありますけど。
落合:え、じゃあディアンジェロに関わるエピソード聞かせてよ。
Rude-α:これは高校の頃、一個上に音楽の話もできて勉強も教えてくれる仲の良い女の先輩がいて、その先輩の家に遊びに行った時に「この音楽カッコ良いよ」と出してもらったのがディアンジェロの『ブラウン・シュガー』で。僕も結構音楽聴いてて詳しい方だと思ってたので、負けじと「これもかっこいいよ、聴いてみて」と当時好きだったタワー・オブ・パワーのCDを渡したら、「あ、タワー・オブ・パワー? 知ってるよ」と俺の知らないタワー・オブ・パワーのCDを3枚出してきて。……それで惚れて付き合いましたね(笑)。ディアンジェロとタワー・オブ・パワーはその子からの影響が大きいですね。
落合:その当時好きだった子が教えてくれた音楽って、結構思い出に残るよね。ラジオとかで思い出の曲が流れてきたときにフラッシュバックするというか。でも今だとRude-αの音楽が同じようなキッカケを生んで、知らないところで何かが起こっているかも知れないと考えると、なんか良いよね。
Rude-α:それ素晴らしいですね。最近だとアニメ『Dr.STONE』とタイアップさせてもらってから、海外の人のからもメッセージ頂いたりして。直接会えるわけではないけど音楽になれば、自分が知らない海の向こうの人に会えるんだなと思うと嬉しいんです。例えば全人口75億人全員に直接会えるかといったら1秒ずつ会ったとしても絶対に無理ですけど、音楽になればどこにでも行けるし誰にでも会える。今後も音楽としていろんな人に出会えたらいいなと思ってます。
落合:いいですね。今後ミュージシャンとしてチャレンジしてみたいこととかあります?
Rude-α:ずっと武道館でワンマンライブがやりたいというのは掲げてて。大阪だと大阪城ホールでもワンマンやりたいですね。あとミュージシャンとしてやってみたいことは……FM802さんで番組持たせて頂けないでしょうか? どうか、どこか空いてる隙間の時間とかでいいので……週一でも全然通うので……なんでもやりますのでお願いします(笑)。
落合:ハハハ(笑)。でもせっかくこのヘビーローテーションの機会もありますし、一緒に番組もやれたらいいですね。
Rude-α:FM802さん、どうか宜しくお願い致します!(笑)
落合健太郎 × Rude-α
文=城本悠太 撮影=日吉“JP”純平

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