ウォルピスカーター

ウォルピスカーター

【ウォルピスカーター
インタビュー】
“また新しいことがしたい!”
と挑んだ作品

より多くの人たちに聴いてもらいたくて
親しみやすく聴きやすい作品を目指した

なるほど。では、ここからはニューアルバム『40果実の木』の話に移ります。先ほどまでのハイトーンの話とは対照的に、今作はハイトーンもですが、それを支えるハーモニー的なロートーンの歌声も印象的でした。それによってより聴きやすくなったり、ハイトーンがしっかりと浮かび上がっていたのも特徴的で。

ありがとうございます。まさしくその辺りが狙いでもありました。というのも、これまでの作品の延長戦ではなく、今回は間口が広がっていくタイミングでもあったので、より多くの人たちに聴いてもらいたくて。そのためにも親しみやすく聴きやすい作品を目指しました。やはりハイトーンばかりで攻めても聴いてくださる方も疲れるでしょうし、トゥーマッチに感じるでしょうから。過去によく言われたんですよ、“聴いてて疲れる”って(笑)。

あと、今作の特筆すべきところのひとつは、ほとんどの曲の作詞を自身で担当していること。過去作品では1~2曲ぐらいしかありませんでしたよね。

そうですね。今作には自分の中で“好きな作家さんたちにテーマなど関係なく楽曲をお願いする”というコンセプトみたいなものもあって。そんな中、歌詞は自分で書いてみようと。僕の場合、楽曲制作をしていない関係上、かなり楽をしたり、ズルをしてきた後ろめたさがあったんです(笑)。それもあって。

とは言いつつも、ここまで大量の作詞は大変だったのでは?

もともと文章を読んだり書いたりするのは好きだったんですよ。なので、当初は特に重荷もなく。でも、書き始めるとかなり大変でした(笑)。その分、今回は“自分で作ったアルバムです!”と堂々と言いたいです。

今まで軽いジョギング程度だったのが、いきなりフルマラソンに挑戦したようなものでしょうからね(笑)。

今回の楽曲提供のクリエーター陣はウォルピスカーターの作品を支えてくれてきた方々なんですが、これまでは作詞込みの依頼だったんです。ところが、今回は作曲だけの依頼ということもあり、みなさん驚かれてました。“えっ、作曲だけでいいの!? どうしたの?”って(笑)。

やはり自分で歌詞を書いたものと提供曲とでは感情移入や歌への思い入れも違いますか?

ところが自分の場合、変わりなかったんです。僕のヴォーカルスタイル自体、曲に合わせて自分の歌声をコロコロと変えていくタイプだったもので。良い意味でその各曲に飲み込まれていくみたいな。

クリエーターの個性に自身を投影していくタイプだったと。

そうですね。曲のほうに歌声を寄せていくタイプなんです。なので、提供曲もカバーもオリジナルも自分の中ではそう変わらなくて。内容的にも多岐に渡っていたし、自分の好きな曲をジャンルを問わず、その曲ごとに合っていると思しき歌い方で臨んだだけでした。

ところで、今作はどこかこれまでの作品の延長戦ではなく、また新たなスタート感もありました。

それはありました。これまでインディーズで3枚のアルバムを出してきて、自分の中でひとつ区切りが付けれたんです。そこから“また新しいことがしたい!”と挑んだ作品でもあったので。それもあり、ジャケットもタイトルもあえて従来の作品を踏襲せずにまったく新しいものにしたんです。歌も意外性も含め、これまでなかった幅広いタイプの曲を入れてみたし。なので、自分では非常に満足するものになりました。

「ありきたりなさよなら」「徒花の涙」などのミディアムテンポの楽曲やバラード曲も印象的でした。どちらも非常にダイナミズムがあって。

実はバラードが大の苦手で…。ミディアムやバラードって勢いや気合いだけじゃ敵わない表現力が求められるじゃないですか。これまで高い声に注力していたため、表現力をあまり気にしたことがなく、おざなりにしてきちゃってたんです。“高い声さえ出したら勝ち!”みたいな。だから、今回このようなタイプの楽曲を入れたのも、ある種のチャレンジや今後に向けてという意識もありました。

実際にこれらを歌ってみていかがでしたか?

オリジナルなので正解がなく、自分の中での正解だと思う歌い方を何パターンか用意して、それをもとに試行錯誤しながら完成させていきました。途中、“何が正解なんだ?”と試しすぎて分からなくなり、それこそゲシュタルト崩壊の寸前まで行っちゃって(笑)。でも、それらを経たからこそのやり切った感もあるし自信の持てるものになりました。その辺りも新しい自分の世界観として味わってほしいです。

最終的には活動の目指しているところや着地点はどこだったりするんですか?

ぶっちゃけ“これから自分は何をやっていくか”や“何をやっていきたいか”ってあんまりないんです。強いて言うなら“マルチにやっていきたい”ぐらいですね。歌だけでは勝負できない実力だと自分では評価していますから。なので、歌以外の部分でもいろいろな基盤が作れたらなと思ってます。歌もですが、トークなど…ラジオをやっているのもそれもあってのことだし。基本的にしゃべるのは好きなので、声を使った職業をしていきたい。とはいえ、もちろん今は歌がメインです。最終的にはウィキペディアの職業欄に“マルチタレント”と載るのが夢なんです(笑)。

取材:池田スカオ和宏

アルバム『40果実の木』2020年3月25日発売 日本コロムビア
    • 【初回限定盤(歌ってみたCD付)】
    • COCP-41112〜3
    • ¥2,700(税抜)
    • 【通常盤】
    • COCP-41114
    • ¥2,300(税抜)

ライヴ情報

『真・株主総会』
9/27(日) 東京・Zepp Haneda

『ハイトーン刑務所〜LIVEでキーを下げただけなのに〜』
11/01(日) 大阪・Zepp Namba

ウォルピスカーター プロフィール

ウォルピスカーター:男性歌い手。“高音出したい系男子”の異名を持ち、トレードマークのハイトーンヴォイスを武器にリスナーを魅了し続けている。実直な“高音”へのこだわりを掲げる“ウォルピス社”社長でもある。2015年に投稿した「アスノヨゾラ哨戒班」(作詞/作曲:Orangestar)の歌唱動画は再生数1,600万回超え、18年に投稿した「泥中に咲く」のMVは6,000万回再生を超え、大きな話題に。23年2月に初の全曲ボカロ曲のカバーアルバム『ひとのうた』を発売。ウォルピスカーター オフィシャルHP

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