根本 要(Vo&Gu)

根本 要(Vo&Gu)

【スターダスト☆レビュー
インタビュー】
根本 要が語る
“幸せなライヴバンド”の最新進化形

一番伝えていくべき相手は
誰なんだろう?
と思った時に見えてくる顔がある

“還暦少年”というタイトル曲はライヴの中でも一番盛り上がる、ハイライトのひとつになってます。僕、スタレビのお客さんでもっとも多い年代だと思うんですね。頑張れ50代!という(笑)。シンプルに、楽しいですね。要さんのトークも含め、ライヴでありつつショーの感覚もあるし。

音楽家を表現する時の微妙な表現で、“MCがうまい”というのがあるんだけど(笑)。申し訳ないけど、さだまさしさんにせよ、松山千春さんにせよ、素晴らしいミュージシャンですけど、どっちかと言うとキャラクターとしての評価がクローズアップされてしまうわけで。僕もそうかもしれないですけど、こればっかりはね。そりゃぁね、多くを語らず、カリスマ然としたカッコ良さにも憧れるけど、どう考えたって僕は違うし、“音楽は聴けば分かるよ”という人もいれば、僕みたいに説明しないと気が済まない人間もいるわけで。実際、説明することによって、お客さんの納得度が変わっていく。だから、僕はその方法を取るようになりましたね。

そのあたりの話は本編のMCと、あとは副音声にたっぷり入ってますから。“MCは曲の一部です”という名言も飛び出します(笑)。

時に、5分の曲を20分かけて説明するという、本末転倒なことも起きますけどね(笑)。

でも、アンコールのラストの「路傍の歌」とか。丁寧に解説してくれることで、胸にすとんと落ちるところがあって。

この年齢になってくると、みんないろいろ抱えてるものがあるでしょ。僕には何も解決できないけど、僕らの音楽が何かの役に立ってるんだとしたら嬉しいことですよ。“みんな同じように悩んでいるんだ”という歌があったらいいなと思ったし、まだまだ一流とは言えない自分たちだからこそ“こんなふうに考えてるよ”というものが、頑張ってる50代、60代にはちょうどいいスタンスで届くのかもしれないですね。それを(笑福亭)鶴瓶さんがほめてくれて、すごく嬉しかったな。

とはいえ、20代、30代にも広めたいですよね。

もちろん。年代を区切ってプロモーションしてるわけじゃないから、届く時は届くはずだと思うんですね。今、テレビ東京の『コタキ兄弟と四苦八苦』のエンディングテーマ(「ちょうどいい幸せ」)をやらせてもらってるんですけど、若い人も結構観てるから、そこで知ってくれた人もいるみたいで。

ですよね。去年は『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディング曲「うしみつジャンボリー」もやりましたし。

そうそう。だから、僕らとしては全方位型でやってるんですけど、響く/響かないはしょうがないことだと思います。他の人のライヴを観に行くと分かるんだけど、例えば達郎さん、竹内まりやさん、小田さんにしても、大ヒットがある人は知れ渡る範囲が広いから、20代、30代の方もいっぱいいる。やっぱり知名度って大きいですよ。それでも総数では全然勝てないけど、パーセンテージ的には同じぐらいだと思うんですよ。とは言いつつも、僕らがデビューした20代の頃は、20代のお客さんが多かったし、30代になれば30代が多いし、同年齢が一番シンパシーを感じてくれるんですよね。それは当然だと思うし、その中で数パーセントが若い世代に届いてくれれば、それでいいと思ってます。

あと、ライヴ映像を見てあらためてびっくりするのは、要さんがばりばりリードギターを弾くことと、それがめちゃくちゃカッコ良いこと。リードヴォーカルであんなにギター弾く人、あんまりいないですよ。

もうね、佐橋と一緒にいるメリットはそれですよ。あいつがある程度のことをやってくれるから、僕はそこに乗っかって、できそうなことだけやればいい。あいつはプロデュースと同時にバッキングのギターも作ってくれる。リードを弾くのは歌と同じですから、僕はリードヴォーカルと同じ気持ちで弾けばいいけど、でもバッキングは本当にセンスですね。佐橋のギターを弾いてると、なるほどなっていつも思う。でも、ライヴでは僕が弾かなきゃいけないから、スタジオで佐橋の弾く姿をiPhoneで手元まで撮っておいて、それを観ながら練習する(笑)。未だに、60すぎてもやることはいっぱいあるし、面白いし、成長できてる気がするんですよね。そこも自分では納得できるところです。とにかく一番はね、“昔のほうが良かったな”がないということですよ。実際にそんな輝かしい過去があったら、60になれば絶対に衰えてると思うし、それがないから“今が一番いいな”と言っていられる。“スターダスト☆レビューの一番の存在理由は、ヒット曲がないことだ”ってずっと言ってるけど、僕らはこの40年間、これ以上売れないようにしてきたということなんですよ(笑)。

そう言い切ると、語弊がありそうですけど(笑)。でも、分かります。

“世の中に知れ渡りすぎると危ないぞ”と(笑)。そうなると、音楽以外のことが評価されるようになっていくわけです。今は音楽ぐらいで済んでいる、それはまだ地味なものだから。これが世の中に取りざたされるようになると、ルックスだ、私生活だ…ということになっていくわけで。だから、僕らの40年間は、たいしたヒット曲もなければ、事件を起こした奴もいないという(笑)。そんな幸せな40年を過ごさせてもらって、さらに嬉しいことには今年の末から新しいアルバムを持って、40周年ツアーに出ようと思ってます。

おおー。楽しみです。

来年いっぱいかけて回るので、前回よりも長いツアーになると思います。だいたい周年ツアーは100公演ぐらい回るんですけど、それぐらいを目指してやりたいと思ってます。3年前に行った利尻島にもまた行きたいし、3月の佐渡での初公演が中止になってしまったので、改めてそこにも行きたいし。まだ行ったことのない街もあるし、楽しみがいっぱいあるのが嬉しいですね。メンバーも、10年前よりもうまくなってるという自信を持ってます。誰でも毎日やってるとうまくなるんですね。特にヴォーカリストはデリケートだから、休むとどんどん声が出なくなっちゃう。出しながら調整するのが一番いいんです。だから、60になった今も声が保ててるんだと思います。もちろん衰えた部分もあるけど、それを補うテクニックがついてくる、体が自然と覚えてくれる、それをメンバーも実感してるので、歳を食うのは悪いことばかりじゃないということが、実感として得られるんですね。お客さんもそれを観て、“私もまだまだ大丈夫”と思ってくれるだろうし。

そうなんです。そこが大事。

僕らのライヴは一方的に聴いてもらうんじゃなくて、お客さんと一緒に楽しむためにやるものなので。それがスタレビ・マナーなのかなと思います。

それはライヴ映像の中にもたっぷり入ってますので。今後のライヴの予習にもいいのではないかと。

そこに、お客さんがちゃんとついてきてくれるんですよね。嬉しいもんです。よくぞこういうお客さんが集まってくださいました、と思います。会場で配るアンケートに“ライヴは何回目ですか?”という質問があるんですけど、30年、35年とその街に行ってライヴやってるわけですから、多くの人が“15回以上”にマルをつけてくれてるんですよ。それがすごくありがたい。僕もライヴはたくさん行くほうだけど、果たして15回以上観てるアーティストっているかな?と思いますから。音楽を作る時に、自分たちが一番伝えていくべき相手は誰なんだろう?と思った時に、スターダスト☆レビューを楽しんでくれる人たちの顔が見えてくるんですね。それはテレビだけで歌ってたり、アルバムだけ作ってたら見えてこない顔ですよね。ライヴをやると、自分たちを聴いてくれるのはこの人たちだってはっきり分かる。だから、僕たちはライヴをやり続けるんだと思いますね。

取材:宮本英夫

LIVE DVD&Blu-ray『スターダスト☆レビュー ライブツアー「還暦少年」』2020年3月25日発売
    • 【Blu-ray】
    • COXA-1187 ¥7,000(税抜) 
    • 【DVD(2枚組)】
    • COBA-7417~8 ¥6,182(税抜)
    •  
    • ※メンバーによる副音声収録
    • ※副音声ゲスト:佐橋佳幸
    • ※いずれも初回生産限定盤、スペシャルパッケージ仕様
    • ※初回生産限定盤の出荷終了後、同収録内容・同価格の通常盤に切り替わります
LIVE CD『スターダスト☆レビュー ライブツアー「還暦少年」』2020年2月26日発売
    • COCP- 41062 ¥1,000(税抜)

ライヴ情報

『スターダスト☆レビュー ア・カペラ&アコースティック ライブ』
5/09(土) 福井・福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい
5/10(日) 長野・長野市芸術館メインホール

『スターダスト☆レビュー北海道スペシャル!ア・カペラ&アコースティックライブ 3度目ですが、「はじめまして(^o^)♪」Vol.3』
6/26(金) 北海道・北斗市総合文化センターかなで~る 大ホール

『スターダスト☆レビュー ア・カペラ&アコースティック ライブ 「はじめまして(^o^)♪」』
8/01(土) 新潟・ 新発田市民文化会館 ※振替公演

『楽園音楽祭 2020「スタ☆レビ ロックリンピック」』
5/23(土) 香川・さぬき市野外音楽広場テアトロン
5/31(日) 鳥取・とっとり花回廊 野外ステージ広場
6/21(日) 東京・日比谷野外大音楽堂
7/18(土) 山梨・河口湖ステラシアター 野外音楽堂
7/23(木) 富山・太閤山ランド野外劇場
7/24(金) 富山・太閤山ランド野外劇場
7/26(日) 富山・太閤山ランド野外劇場
9/26(土) 大阪・大阪城音楽堂
9/27(日) 大阪・大阪城音楽堂

スターダスト☆レビュー プロフィール

スターダスト☆レビュー:埼玉県出身の4人組ロックバンド。1981年にアルバム『STARDUST REVUE』でデビュー。39年目を迎えた現在も80公演を越える全国ツアーを展開し、総数は2400回を越える。エンターテイメントに徹したステージは観客を魅了し、文字通りのライヴバンドとして根強い人気を誇っている。01年8月にデビュー20周年を記念して静岡県つま恋で開催した『つま恋100曲ライヴ~日本全国味めぐり~お食事券付』において101曲演奏したことが“24時間でもっとも多く演奏したバンド”としてギネスワールドレコーズに認定されている。スターダスト☆レビュー オフィシャルHP

OKMusic編集部

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