工藤晴香

工藤晴香

【工藤晴香 インタビュー】
自分の意志を反映させないと、
自分の作品とは言えない

『バンドリ!』こと人気ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!』で氷川紗夜役を担っていることでも知られる声優の工藤晴香。モデルやイラストレーター、デザイナーなどマルチな才能を発揮している彼女が、ソロアーティストとしてデビューを果たす。処女作『KDHR』は、そんな彼女の個性や魅力が詰まった注目の一作と言える。

激しい音楽が好きなので、
激しい曲をやりたいと最初に言った

ソロアーティストとしてデビューされたわけですが、もともと音楽は好きだったとお聞きしました。まずは音楽やロックに目覚めた時期や、きっかけなどを教えてください。

音楽が好きになったのは中学生の時でした。ASIAN KUNG-FU GENERATIONさんとかBUMP OF CHICKENさんが流行っていて、そこで初めてギターロックと出会ったんです。それまでは普通にJ-POPとかを聴いていて、特に椎名林檎さんがすごく好きで、アルバムを購入したりしていたけど、熱心なミュージックリスナーという感じではなかったんですよ。でも、ギターロックと出会って“バンドっていいな”と思って、いろいろ聴くようになり、高校生になると洋楽をいっぱい聴くようになって…その頃からですね、本格的に音楽にはまったのは。Nirvanaとかを知って、めちゃめちゃカッコ良いと思ったんです。“私もそういうふうになりたい!”と思ってギターも始めました。

覚醒されましたね。バンドもやったり?

趣味として、ちょっとだけやっていました。ギター&ヴォーカルとベース&ヴォーカル、ドラムというトリオのバンドを組んで、Hi-STANDARDさんのカバーをしたんです。でも、ギターはめちゃめちゃ難しくて、挫折して、しばらくギターは部屋のインテリアになっていました(笑)。その後、『バンドリ!』に関わらせていただくことになって、そこで組んだRoseliaというバンドでギターを弾くようになったんです。だから、ちゃんとやるようになってからは、まだ3年くらいですね。

Roseliaは当て振りなどではなく、ちゃんと演奏するバンドですので、みなさんしっかり練習されていると聞きました。

大変ですけど、全力で頑張っているおかげでたくさんの方に聴いてもらえているというのもあので、練習は苦にならないです。

根っからの音楽好きなことが分かります。では、ソロ活動を始めるにあたって、ソロとしての音楽性はどんなふうに決めたのでしょう?

私は基本的に激しい音楽が好きなので、激しい曲をやりたいということを最初に言いました。ただ、声質の問題があるので、どう激しいサウンドに自分の声を乗せて歌うかというところで、いろいろ試行錯誤しましたね。その結果バチバチのギターロックというよりはちょっとシンセ感を強めて、なおかつ声もすごく力強く歌うというよりはリラックスして、抜けていくような…さわやかな感じでいこうということになったんです。まず、そこを固めましたね。

そういう方法論が功を奏して、独自の魅力を持ったハード&キャッチーな音楽になっていますよね。あと、自身で歌詞を書かれていることも見逃せません。

最初に“誰か書いてほしい人はいますか?”と訊かれたんですけど、“えっ、誰? 誰?”ってなって(笑)。作詞家の方はたくさんいらっしゃいますけど、あまり詳しくないんですよね。なので、“自分で書きます!”と言いました。自分のファンクラブのイベントのために曲を2曲作って、そこで歌詞を書いたことはあるんですけど、それは世には出ていないんですよ。だから、今回が世の中に出る第一弾になります。振り返ってみると…よく書いたなと思いますね、我ながら(笑)。今回挑戦して、歌詞を書くことの難しさを知りました。やっぱり自分が歌うわけだから自分で書いたほうが気持ちを込めやすいというのもあり、絶対に自分が書いたほうがいいと思ったんです。

いい選択をされましたね。では、デビューミニアルバムについてうかがっていきたいと思います。『KDHR』はパワフルかつスピーディに場面が変わっていく「MY VOICE」と「IRON SOUND」で幕を開けますね。

“激しい曲を作ろう!”ということになって一番最初にできたのが「MY VOICE」だったんです。曲を書いていただいた平地孝次さんに、なるべくギターが目立つような感じにしてほしいということと、落ちサビは転調してほしいということを伝えたら、この曲を作ってくれました。最初にデモを聴いた時は“求めていたものが来た!”と思いましたね。“これだぁーっ!”みたいな(笑)。ヘヴィなギターが活かされてるし、どんどん場面が変わっていくのも良くて、すごく嬉しかったです。

ただ、これだけ展開が多いと楽曲の構成やメロディーを覚えたり、歌詞を書いたりするのが大変な気もしますが。

こういうものを表現したい、歌いたいという気持ちが強かったので、“やってやる!”という気持ちでした。

さすがです。「MY VOICE」の歌詞は“自分の内なる声に従って生きたい、生きろ”ということを歌っていますね。

この曲はまずテーマを決めようとなった時、“強さ”だったり、“諦めない”や“強い意志で前に進んでいく”といったことを表現したいと思ったんです。そこから入って歌詞を書き始めたんですけど、自分の想いを一方的に訴えるよりは、この曲を聴いてくれた方に元気をあげたいし、背中を押してあげたいという気持ちがあったんですね。だから、リスナーの方のことも意識して書きました。一人称が“僕”になっているのも“私”だと限定されちゃうと思ったからなんです。

「MY VOICE」は最初にあがってきた曲だったわけですが、そういうことを感じさせない良質な歌詞になっています。2曲目の「IRON SOUND」の歌詞についても話していただけますか?

ずっとライヴのことを考えながら歌詞を書いていました。曲を聴いた時に“激しいのが来た!”と思ったし、構成もすごく面白くて、これはライヴでやったらめちゃくちゃ盛り上がると思ったんです。なので、ライヴをイメージした歌詞を書きました。

ライヴでは爆上げ状態になるでしょうね。今作の歌詞に関しては、言葉の意味よりも語感や響きを重視した感のある「Thunder Beats」も秀逸です。

私はヒップホップがすごく好きなので、ヒップホップっぽい曲…ラップはできないんですけど、韻を踏んでいたりとか、言葉遊びをしている曲も欲しいというのがあったんですよ。だから、そういうものを意識して書きました。良い意味で楽しみつつ書けました。

発声/滑舌ともにしっかりされていることが活きて、リズミカルなメロディーとキレのいい言葉の取り合わせはすごく心地良いです。それに、この辺りの楽曲の場面転換に合わせてさまざまな表情を見せるヴォーカルには本当に圧倒されました。

表現力に関しては声優のお仕事をしているので、表情付けはスルッといけましたね。それぞれのパートに合わせて、ここはフワフワした感じで、ここはカッコ良い感じで、ここは悪戯っぽい感じで…というふうにひとつひとつ考えて、決め込んでいったんです。「Thunder Beats」もそうで、歌い分けをしっかり考えました。
工藤晴香
ミニアルバム『KDHR』【TYPE-A(M-CARD付)】
ミニアルバム『KDHR』【TYPE-B(M-CARD付)】
ミニアルバム『KDHR』【TYPE-C】

OKMusic編集部

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