生駒里奈が主演舞台『-4D-imetor』の
意気込みを語る「絶対とは言い切れな
いのがこの世界」と改めて実感

アイドルグループ・乃木坂46を2018年5月に卒業し、役者として新しい一歩を踏み出した生駒里奈。グループ卒業後は、テレビドラマ、映画などにも出演しているが、中でも彼女にとって大きな軸となっているのが舞台。「モマの火星探検記」「舞台版 暁のヨナ」「トゥーランドット〜廃墟に眠る少年の夢〜」「PHANTOM WORDS」など出演作が続いている。そんな生駒が、気鋭の演出家・池田純矢と組む出演舞台が「-4D-imetor」だ。生駒は、超能力研究所にテレポーテーションのように現れる記憶をなくした少女・ノアを演じる。彼女の運命が、謎のテロ組織、政府の闇など様々な出来事に巻きついていく。謎解き、イリュージョンマジックなどワクワクするような要素が盛りだくさん。今回は、そんな同作について生駒に話を訊いた。
生駒里奈
――今回は量子力学がテーマになっています。「難しそう」というイメージを持たれそうな気もしますが、その点はいかがでしょう。
化学式なんかに話が及ぶと確かに難しいですが、量子力学自体は小説にも出てくるようなお話ですし、すごく入りやすくて楽しい内容です。私自身が演じるノアも、当たり前のように四次元を行き来していて、自然にそういった現象の中で生きています。ご覧になるみなさんにも見たり、聞いたりして感じて欲しいです。
――生駒さんが思い描くノアの人物像はどのようなものですか。
とても優しくて、誰かのために動ける人なのだと思います。多分、心が強いわけではないんだけど、誰かのために立ち向かう勇気を持った子だと考えています。
――今回はオカルト=不可思議がテーマとなっています。このインタビューの前日におこなわれた記者会見で「超能力はあるんじゃないか」とコメントしていらっしゃいましたが。
「そんなことあるわけないじゃん」ということが、絶対とは言い切れないのがこの世界。『モマの火星探検記』も経験して、「ノーがないのが世の中だな」と改めて実感したんです。「信じる、信じないかはあなた次第です」という言葉はまさにその通りだと思っています。
――ちなみにその会見で、生駒さんご自身は「乃木坂46に所属していたとき、自分が真ん中(センター)に立ったら、周りのメンバーが引き立つ能力があった」とおっしゃっていましたが。
私が持っている能力といえばそれくらいなんです。だからデビューのセンターに選ばれたと思っています。私は特別な能力がない。一番、センターじゃなさそうだけど真ん中に立てばみんなが引き立つから、センターに選ばれたのかなと。そうであってほしいです。
生駒里奈
――特別な能力は自分では持っていないと感じていらっしゃるんですか。
そうですね。芸能界にもすごい特技を持っている人ってたくさんいますが、私は運動も勉強も苦手。その中で真ん中に立てたのかいうと、良いバランスがあったからかなと。
――自分には何もない、というのは昔から感じていたんですか。
乃木坂46に入ったらみんな可愛いし、歌が上手くてダンスもできて、そんな中でよく合格できたなというのは度々思っていました。
――そこをコンプレックスに思ったりしましたか。
それは誰だってあると思います。モデルをやっている子を見れば羨ましくなったし、「なんで私はこんな感じなんだろうな」となったり。コンプレックスというか、「私はなんで芸能界に入ることができたんだろう」と。
――それでも芸能界はもう8年目になりますよね。
その大半は乃木坂46で過ごしてきたから、私だけで生きてきたのはまだ1、2年。常に上に向かっていきたいんです。とにかく今はお芝居がやりたいし、舞台に立ちたい気持ちがつよいですね。未来につなげるために、仕事を常にやり続けたいです。
生駒里奈
――本作中、ノアに対して「必ず帰ってこいよ」というメッセージが出てきます。これがどういう意図なのかは作品を見るまでわかりませんが、おそらくノアが帰るべき場所のことを指し示しているのかなと。生駒さんご自身は、自分の帰る場所や気持ちの拠りどころになるような人はいますか。
それこそ乃木坂46は自分の原点だし、お芝居で出会った先輩や劇団員さん、親友は拠りどころです。今までそういう存在は家族だけたったんですけど、東京に出てきて、はじめて他人に安心感を得られるようになりました。芸能界に入ってそういう気持ちになってきたんです。全然知らない人間ばかりの環境の中で、そう思えるようになってきたのは、人生において「良かった」と感じられることのひとつです。
――それまでは心を開くことがなかなかできなかったということですね。
そうでしたね。自分にとって合わない環境ももちろんあったし、初めて会うような人に心なんか見せられないという気持ちも正直なところあります。でもそういう気持ちを打ち明けられる人ができたのはお芝居のおかげです。
――お芝居がコミュニケーションの場を生んでくれたということですか?
むしろコミュニケーションはいらなくて良いのかもしれません。芝居だけでコミュニケーションがとれたらいいのかなと。役のときだけコミュニケーションして、役以外のときはとらなくても、うまくやれちゃう人はいて、私にもそういう場合があります。一方で、自分にとって、ちゃんと泣きつける人も今はいるので。
――それはどなたですか。
エイベックス・マネジメントに所属している女優、山谷花純ちゃんです。彼女にはなんでも喋れます。先輩だし、共演はしたことがないけど、彼女は芝居を見て好きになった人。お芝居には人間性が現れると思っているんです。「あの人はきっと良い人だ」とか「あの人は苦手だろうな」とか。
――それは何があって「苦手だ」となるんですか。
いや、もう嫌いなものは嫌いというか……(笑)。だけど、「この作品で出会ったあなたは嫌いだけど、別の作品で魅力を出しているときは、印象が変わるかも」ということはあります。私は0か100なので。
――ハハハ(笑)。最後に、この「-4D-imetor」の見どころを改めて教えてください。
難しいテーマのように思われますが、日常生活に必ずあることを描いています。アトラクションのように、みなさんを富士急のジェットコースターに乗せたような感じで……いや、FUJIYAMAは怖すぎるかもしれないな(笑)。スプラッシュ・マウンテンに乗ったような気持ちで楽しんで欲しいです。

エン*ゲキ#05『- 4D -imetor』

取材・文=田辺ユウキ 撮影=福家信哉

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