仲村宗悟

仲村宗悟

【仲村宗悟 インタビュー】
シングルに入れる3曲
全てのテーマを恋にした

「風花」の歌録りの時は、
すごく想いが乗った

続いて、2曲目の「imitation」にいきましょう。この曲は今の時点ではまだアコースティックギターの弾き語りというデモの状態ですが、すでに世界観が感じられるものになっていますね。

そう言ってもらえると嬉しいです。実は、2ndシングルは「imitation」を最初に作ったんですよ。1stシングルとまったく違うものを提示したくて、今回は陰りを帯びた曲を作りたいと思ったんです。そんなことを思いながらギターを弾いていたら、Aメロのメロディーが浮かんできて、そのままスルスルとかたちになりましたね。その段階でBメロは地声とオクターブ上の裏声でハモるというのも見えていたし。これは本当に“スルスル”でした(笑)。いい曲ができた手応えを感じて、これを表題曲にどうだろうとスタッフに聴かせたんですね。そしたら、あまりにも毒が効きすぎているから表題にはちょっと厳しいと言われまして(笑)。でも、すごくいい曲だからカップリングで使わせてほしいということになりました。それを踏まえて、明るい「カラフル」を書いたんです。だから、僕の中では「カラフル」と「imitation」は“表と裏”という感じがしますね。

毒が効いているといっても鬱々とした曲ではなくて、サンバやラテンに通じる華やかな哀愁を漂わせていることが印象的です。

そこをすごく大切にしました。リズムはアッパーだけど、寂しさを出したかったんです。だから、歌詞も“想っているけど届かない。それでも相手の気を惹いてつながれるものがあるなら嘘のかたちでもいい”ということを歌っています。それで、“嘘”とか“まがいもの”という意味の“imitation”をタイトルにしました。で、“これは変態なアレンジにしてください”と言って、デモをアレンジャーさんに渡したんです(笑)。だから、返ってくるのがすごく楽しみなんですよね。

「imitation」の完成したトラックを早く聴きたいです(笑)。そして、シングルを締め括るのは「風花」というエモーショナルなバラードで。

今回のシングルを作るにあたって、すごく音数が少なくて、しっとり歌えるバラードが欲しいという話をしていたんです。いろんな音を入れるのが贅沢じゃなくて、素材の良さを活かすことが本当の贅沢だと思うから、そういう素材を作りましょうよと。それで片山義美さんに曲を作っていただきました。「風花」は最初のアレンジではドラムやエレキギターなどのいろんな音が入っていたのですが、もっと生々しい曲にしたくて、音数をどんどん削っていったんです。いろんな音が入っていて緻密に作り込まれたものもいいけど、この曲はそうじゃないんじゃないかなと。歌録りのためにスタジオに行ったのに、最初の1時間くらいは歌わずに音を作っていました(笑)。

自作曲ではありませんが、仲村さんの意向が活かされているんですね。それに、歌唱力が必要な楽曲で聴き応えのある歌を歌われているのもさすがです。

歌録りの時はすごく想いが乗りました。この曲を録る際、レコーディングブースを暗くしてみたんですよ。そしたら、プロデューサーが僕の心を受け止めてくれて、コントロールルームの電気も暗くしてくれたんです。その結果、自分だけの世界が作りやすくて、楽曲に入り込んで歌うことができました。「風花」はすごく切ないし、音を詰めて歌う曲でもなくいから、ボソボソとした感じが合うんですよね。あと、空気感を大事にするために細かく分けて録っていくんじゃなくて、ライヴに近い感覚でなるべくつなげて録りました。最後の辺りとかはピッチ的なことで言うと、もっと正確に歌ったほうがいいかもしれないんですけど、このテイクに込められた、この気持ちが大切なんだと思って、ニュアンス重視で歌っています。

特にサビがそうですが、この曲の歌は深く心に染みてきます。

サビ、いいっすよね(笑)。この曲は僕の歌というよりも、メロディーと歌詞のパワーがすごく強いんですよ。それに助けられていると思います。

それだけでないと思いますが。でも、想いが乗ったということは、“こういう歌詞にしてください”とかを片山さんに伝えたのでしょうか?

していないです。完全にお任せでした。

そうすると、もらった歌詞を読んで、主人公が置かれた状況や心情などを汲み取って歌ったと?

そうです。もちろん、片山さんにいろいろ訊いたりしましたけどね。最後の《あなたと生きた明日はくる》というのは、どういう気持ちが込められているのかとか。その上で自分なりに表現した歌になっています。

役者の強みを活かしたアプローチとも言えますね。そんな今作はテイストが異なっていて、なおかつ良質な3曲が揃った一作になりましたね。

ありがとうございます。恋というテーマで染めたシングルだけど、一曲一曲カラーが違っていて、3曲とも気に入っているんですよ。だから、表題の「カラフル」だけじゃなくて、ひとつの作品として3曲全部を聴いてほしいですね。より多くの人に届いてほしいと思っています。

同感です。もうひとつ、ミュージシャン活動が軌道に乗っても声優とアーティストを並行してされていくと思っていいですね。

やっていきます! 両方を同時進行だとやらないといけないことが増えてスケジュールに追われることになるけど、楽しくやれているので。それに、僕は声優というベースがあるからこそ、それ以外のことが活きてくると思っているんです。声優業で得られたもので音楽業に反映させられることはいっぱいあって、それがなかったらいい曲が書けないんじゃないかという気がするし。と同時に、アーティストであることによって声優としても成長できることも感じているんです。だから、どっちもちゃんと大切にして、両方の仲村宗悟を伸ばしていきたいと思っています。

取材:村上孝之

シングル「カラフル」2020年3月11日発売 Lantis
    • 【初回限定盤(BD+フォトブック付)】
    • LACM-34977
    • ¥2,800(税抜)
    • 【通常盤】
    • LACM-14977
    • ¥1,300(税抜)
仲村宗悟 プロフィール

ナカムラシュウゴ:1988年7月28日生まれの沖縄県出身。中学生の頃にギターにのめり込み、音楽の楽しさを知る。高校卒業後、音楽の道を志し東京に上京。その後、友人の舞台を観劇したことがきっかけで 声優を目指すようになり、ゲーム『アイドルマスター SideM』の天道輝役に大抜擢される。その後も「TSUKIPRO THE ANIMATION」久我壱星役を担当するなど活躍中。19年3月に第13回声優アワード新人男優賞を受賞。同年10月にはシングル「Here comes The SUN」でアーティストデビューを果たした。仲村宗悟 オフィシャルHP

「カラフル」MV

OKMusic編集部

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