コラム【音は鼓膜を震わせ、音楽は心
を震わせる】#2 松田聖子『制服』が
いつまでも愛される理由

エンターテイナーを夢見るしがない50代のマンモス☆南が、レコード、カセットテープ、CD、MD、ネット配信と、音楽メディアは時代と共に変われど、歌が人の心を動かすことに変わりはない、という想いについて語ります。

松田聖子『制服』がいつまでも愛される
理由

「失うときはじめてまぶしかった時を知るの」

恐らく、人生の中で、失ってからその大切さに気づくことは少なくない。
若い頃に、年上の人から説教くさく言われたこともあるだろう。

当たり前のように存在しているものが、永遠にあり続けるとは誰も思っていないし、当たり前のように存在しているものを、大切に思っていないわけではない。ただ、失ってしまって平気なものなど、何ひとつないんだろうと思う。

松田聖子が、いわゆる「聖子ちゃんカット」をバッサリ切った頃、「赤いスイートピー」という、今の若い人たちにも知られている曲を歌っていた。そのB面(もはやこの言い方も死語か)だったのが今回の表題の「制服」。両曲とも作詞・松本隆、作曲・呉田軽穂ことユーミンのゴールデンコンビ。

当時から、B面なのに名曲だという呼び声が高く、きっとこの曲がフィーチャーされたせいで、「B面コレクション」なるアルバムがリリースされた気がする。そして、今でもこの曲が好きな人は多いと思う。

ちなみにこの曲、歌詞の中には「制服」という言葉が出てこない(「セーラー服」こそ出てくるが)。卒業して離れ離れになってしまう、憧れのクラスメイトを想う気持ちを綴ったので、もっと他のタイトルでもよかった気もするが、そこは天下の松本隆先生だから、ここで描かれる卒業式後の風景を、敢えて「制服」の2文字でイメージさせたかったのだろうか。

この曲を聴いた当時の中2の私には、そこまでのことは想像できなかった。

人と人が離れてしまったり、大切なものを失くしたり捨ててしまったり、別れというものが避けられないこともある。それでも、輝かしい思い出は、自らの心に残しておけば、いつでも反芻できる。何かを失いながらでも、昔手にした輝きを、色褪せないままに保っておける。

「制服」という曲を聴くと、そんな気持ちにさせてくれると共に、また新しい輝きを見つけられるようにと、背中を押されているような気分になる。
マンモス☆南
プロデューサー/フォトグラフィック・オーガナイザー
1967年9月12日 神奈川県出身
広告代理店、映画制作・宣伝などの業務を経験した後、イベント企画・運営会社「合同会社グラスタ」を設立。女性アイドルの撮影会やネット番組、フットサルチームのプロデュースなどを行う傍ら、カメラマンとして写真集やブロマイドの撮影にも取り組む。

好きなミュージシャンは、小田和正Mr.Children、大瀧詠一、杉真理織田哲郎など。
【グラ☆スタ!今月の推しメン】
藍澤慶子(あいざわけいこ)
1985年9月28日生まれ 東京都出身 血液型O型
舞台、映画、ドラマ、MV、ウエディングモデル、広告、ラジオCMと、多方面で活動している。映画監督・井坂聡による演出の舞台「最初の晩餐」でヒロインを務め、脚本家・作家の秦建日子がプロデュースする「秦組」公演など多数の舞台に出演する一方、即興劇団体「END es PRODUCE」を主宰している。フジテレビ系ドラマ「医龍4」では、オペ看護師金子役を演じた。また、AKB48「365日の紙飛行機」、Shiggy Jr.「Beautiful Life」、音速ライン「ウーロンハイ」など、多ジャンルのMVに出演。その他、Amazonでオリジナル写真集を2冊出版するなど、役者以外の活動も精力的に展開中。

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