イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出『ロー
マ悲劇』が衝撃の日本初上陸~飲食・
場内移動・撮影・SNS投稿…何でもご
ざれの破天荒な超大作

現代における世界最高峰の演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェの手掛ける破天荒な演劇作品『ローマ悲劇』(Roman Tragedies)が、2020年11月6日(金)から8日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスで上演される。上演カンパニーはホーヴェが芸術監督を務める、オランダのインターナショナル・シアター・アムステルダム(ITA)。上演時間が約5時間45分に及ぶ超大作だが、演劇の常識を超えた、あまりにも画期的な上演スタイル(詳細後述)によって、観客は驚くべき「体験」を味わえる。
『ローマ悲劇』 (c) Jan Versweyveld
■シェイクスピアのローマ悲劇三部作を一編の作品として一挙上演
洗練された美しさと挑発的な鋭さを併せ持つ舞台作りで、世界中の演劇ファンを熱狂させているオランダの演出家、イヴォ・ヴァン・ホーヴェ(出身はベルギー)。2014年パリ・オデオン座初演の『橋からの眺め』はロンドン上演ではオリヴィエ賞最優秀演出賞(2015年)、ブロードウェイ上演ではトニー賞最優秀再演演劇作品賞と最優秀演出賞を受賞した(2016年)。以降、デヴィッド・ボウイの遺作となった音楽劇『ラザルス』(2016年)の演出をボウイから指名されるなど、世界を股にかけた快進撃が続く。日本ではSPAC春の芸術祭での『じゃじゃ馬ならし』(2009年)、東京初上陸となった『オセロー』(2017年)が絶賛を浴び、2020年9月に新国立劇場で上演予定の、オデオン劇場制作『ガラスの動物園』(2020年3月パリ初演予定)も話題を呼んでいる。また英国発の「ナショナル・シアター・ライブ」における、『橋からの眺め』『ヘッダ・ガーブレル』『イヴの総て』といったホーヴェ演出作品も国内映画館で上映のたびに人気を博してきた。
『ローマ悲劇』 (c) Jan Versweyveld
そんなホーヴェの代表作のひとつで、破天荒な衝撃作『ローマ悲劇』(2007年世界初演)が、2020年11月、遂に日本初上陸を果たす。本作は、シェイクスピアのローマ悲劇三部作『コリオレイナス』『ジュリアス・シーザー』『アントニーとクレオパトラ』をもとに、一編の作品として一挙に上演するもの。したがって上演時間が約5時間45分にも及ぶのだが、この長尺にもかかわらず世界中で不動の高評価を誇っているのは、本編に仕掛けられた上演スタイルがあまりに画期的だからだ。
『ローマ悲劇』 (c) Jan Versweyveld
■飲食・場内移動・撮影・SNS投稿、何でもござれの太っ腹すぎる上演
上演中の飲食可。また、客席・ロビーはもとより、なんと舞台上までも移動自由。さらに上演中の写真・動画の撮影も許され、SNSへの投稿も全然OKという太っ腹ぶり。舞台上には巨大スクリーンのほか、至る所にあらゆる方向を向いたモニターが設置されており、客席はもちろん、広い舞台上のどこで観ても、ストーリーからおいていかれることはない。これは、観客が“体験”するための、「演劇のテーマパーク」というべき空間なのだ。なお、上演中、約30分間隔で5分程度の小休憩が程よく挟まれるのも嬉しい配慮だ。
『ローマ悲劇』 (c) Jan Versweyveld
ここにおいて、観客はもはや単なる[目撃者]ではなく、“目の前で、手を伸ばせば触れる場所で事件が起きる”ことで[参加者]=[歴史の証人]として、現代に蘇る古代ローマの悲劇を体験できる。この驚くべき仕掛けの渦に、どう巻き込まれるかは個々の観客次第。かくも衝撃的な本作品の日本上陸後には、日本人の演劇観・演劇意識がガラッと変換されることになるかも知れず、その意味でも2020年最も注目すべき演劇作品といえるだろう。

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