L→R 白山治輝(Ba&Cho)、小川真司(Gu&Cho)、田中駿汰(Dr&Cho)、森 良太(Vo&Gu)

L→R 白山治輝(Ba&Cho)、小川真司(Gu&Cho)、田中駿汰(Dr&Cho)、森 良太(Vo&Gu)

【Brian the Sun インタビュー】
心のパーセンテージを
多く占めるのは、やっぱり音楽

“俺らパンチ力やないんやな”って、
この期に及んで思った

対象が音楽なのか、女性なのか、受け取り方は聴き手しだいだと思うのですが、4曲目の「星に願いを」と5曲目の「スローダンサー」の…。

対極さは(笑)。

そう! 差がすごい。「星に願いを」で恋が始まったと思ったら、「スローダンサー」で別れ話になっているみたいな展開じゃないですか。これは音楽に対して、常にそれくらいの感情の揺れがあるということなのですか?

軸はもちろん音楽に対してなんですけど、例えばそこに至るまでの道筋で浮気をしていたら、どちらかと別れることになるじゃないですか。そういうことを思いながら聴いていただけると(笑)。「星に願いを」は単純に恋の始まりととらえていいのか。浮気の始まりともとらえられるじゃないですか。

あ! なるほど。

みたいなことですよね。で、誰と別れようとしているのか。世の中にはいろいろな種類の音楽がありますよね…とだけ付け加えておきます(笑)。

いろいろ種明かしさせてしまってすみません(笑)。“orbit”というタイトルもいろいろな意味が込められているようですね。

最初は意味から入ったんじゃなくて、“orbit”っていう言葉の響きに惹かれて、カッコ良いなって。確か“軌道”とか“公転周期”とかって意味だったっけ? “おっ、いいやん!”と思いました(笑)。自分にもモードというか、生活していく上でのバイオリズムがあって、アッパーな時もあるし、ダウナーな時もあるし。そういう上下の波線グラフで表せることって円でもあると思うんです。引き合ったり、近付いたり離れたりっていう頭の中にあった視覚的なことを言葉にしたので、どういう理由で“orbit”付けたのかと言われると難しいですけど、そういうニュアンスをタイトルにしたかったんです。

今回の5曲に相応しいのがその言葉だったと?

そうですね。ポップなこともロックっぽいことも、すごく深いこともやってしまうので、その5曲が円になって公転周期を描くように回っているっていう想いですね。“俺ってこうだな”“俺たちってこうだな”っていう。

Brian the Sunという太陽を中心にして、その周りにファンやリスナーがいるというふうにも取れるし、「星に願いを」の《困らせてくれるから君はいつだって僕の真ん中》という歌詞からの連想で、音楽の周りをバンドが回っているというふうにも取れるし、バンドの活動って直線の上を進んでいるようで、実は軌道を描いているんじゃないかとも取れるし、聴きながらいろいろ想像が膨らみました。

ありがとうございます。そこまで聴いていただけると、いろいろ分かってもらえるかもしれないです(笑)。表面だけを掬うと分かりにくい作品かもしれないし、パンチ力があるわけでもないし。“俺らパンチ力やないんやな”って、この期に及んで思ったというか。インパクトとか一瞬の爆発とかではないって常々思っているんですけど、世の中に“バズる”という言葉があるように、一瞬の爆発力に向かって人が集まって散っていくみたいな様子を見ていると、つくづく僕らは向いていないと思うんですよ(笑)。そういう今の風潮に。まず、そこに興味がないし。でも、僕みたいな人っていっぱいおるはずなんです。その中で、僕らみたいなバンドが実直にやっていると自負しているのは大事なことだと思うし、どんどん正直にやっていくべきだとも思う。この間、ライヴでも言っちゃったんですけど、アメリカとメキシコに行って、ヘッドライナーとしてライヴしたことを、みんなが“すごいね!”と言ってくれるんです。確かに、それは嘘ではないけど、日本で『僕のヒーローアカデミア』というアニメのエンディングテーマ(「HEROES」)を奇跡的にやらせてもらって、それが偶然海外でも人気が出たから行けただけなので、自分たちの実力だとはこれっぽっちも思っていない。もちろん海外でできることはありがたいことじゃないですか。演奏させてもらって、歌わせてもらったことに意味があるんであって、海外に行ったとか、ヘッドライナーだったとかはわざわざ言いたくない。でも、それをプロモーション材料に使わない手はない。それが嫌で(笑)。すなわち向いていないんですよ。“何のために行ったの? バンドに箔を付けるためでしょ?”って思ってる人も絶対いるし、確かに箔は付くかもしれないけど、足元の大事なところを見落としてしまうと勘違いしていくと思うんです。それで万が一、バズったみたいなことだけ評価されたら、誰も楽器なんて練習しないと思うんですよ。でも、“いいギターを弾きたい”と思ったり、“いい曲を書こう”と思ったりっていう地味な1個1個を積み重ねていくことも時には大事だし、その先に明るい未来がないとキツいと思いますしね。だから、せめて自分たちはそういうふうに真面目にやりたいと思っていたいんです。“ラッキーに上手くいったらいいな”とは思ってないですね。

もちろんバズることも大事なのかもしれないけど、そればかりを追い求めてしまうと、音楽そのものの中身がなくなって、どんどん薄っぺらくなってしまう気がしますね。

その薄っぺらいものが平然と世の中に受け入れられていると、果たして薄っぺらいとか密度があるとかないとかってどこの話なんだろうって思えてきたりするんですよね、曲を作っていると。でも、なぜ音楽やっているのか、なぜ音楽を聴いているのかって、ほんとはめっちゃシンプルじゃないですか。演奏しているのが気持ち良いからだし、歌の内容が良くて、演奏している姿がカッコ良くて、それに感動した人が“これいいぜ。聴いてくれよ”っていうのが始まりじゃないですか。それはいったいどこに行ったんだろうって。もちろん、そんな空虚なことばかりじゃないですけどね。そういうことを思うことが多いので、なるべく近寄りたくないと思ってしまうんですけど、音楽自体には燃え尽きることがない情熱はあるし、めちゃくちゃ希望を持っています。そこに対して、自分が心の底から満足いくような環境を作る道のりは結構長いと思うので、それを目標にやっていきたいですね。自分が納得したものとか、ほんとに嘘偽りなく等身大でやっていることとかに必ず人は感動してくれると思うから、そこはしっかりとやりたい。

さっきパンチ力がないとおっしゃったのですが、Brian the Sunはそういうところがすごくいいと思うんですよね。パンチ力はないけど、じわじわ染みるみたいなところが。

もしかしたらフォークなのかもしれないですね、マインドは。もっともっと人として、人間として、何も飾らずに…というところに行きたがっているのかもしれない。フォークってそういうイメージが僕にはあるんですよ。怒りとか悲しみとかを飾らずに、時にパンクで、時にめっちゃやさしく表現している…みたいな。『orbit』もフォーマットはロックですけど、そういう作品になっていると思います。

取材:山口智男

ミニアルバム『orbit』2020年2月26日発売 EPIC Records Japan
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • ESCL-5350~1
    • ¥2,500 (税抜)
    • 【通常盤】
    • ESCL-5352 
    • ¥1,900(税抜)

『orbit tour 2020』

4/03(金) 愛知・名古屋 ell.FITS ALL
4/05(日) 大阪・心斎橋JANUS
4/12(日) 東京・下北沢 CLUB251

『Brian the Sun Presents「SUN! SUN! SUN!」』

6/07(日) 大阪・Pangea
8/02(日) 大阪・Pangea
12/06(日) 大阪・Pangea

Brian the Sun プロフィール

ブライアン・ザ・サン:2007年、大阪で結成。『閃光ライオット2008』で準グランプリを獲得。メンバーチェンジを経て11年4月より現在の編成となる。コンスタントな制作、ライヴ活動で全国に名を広め、16年6月にテレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』のエンディングテーマとなったシングル「HEROES」でメジャーデビュー。19年3月にはメジャー3作目となるアルバム『MEME』をリリースし、同年6月にはアメリカの3大アニメ・コンベンションのひとつである『A-kon2019』へ出演、ヘッドライナーとして約3000人を動員して初のアメリカ公演を成功させた。Brian the Sun オフィシャルHP

OKMusic編集部

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