吉本新喜劇・内場勝則がミュージカル
『ボディガード』に出演ーー「内場勝
則の新しい一面を見て欲しい」

1999年から20年にわたって吉本新喜劇の座長を務めてきた看板座員・内場勝則。新喜劇のみならず、俳優として他にも多数出演作があり、近年もNHK連続テレビ小説『わろてんか』(2017)、ドラマ『下町ロケット2』(2018)や『インハンド』(2019)など。そんな内場が「新しい自分を見せたい」と意気込むのが、ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版だ。原作は、1992年公開の同名映画。2012年にミュージカル化され、ロンドンで初演。2019年9月には英国版の来日公演がおこなわれた。ストーカーに命を狙われる人気歌手・レイチェルと、彼女のボディガードを務めるフランクの運命を描く本作。内場は、レイチェルのマネージャー、ビル・デヴァニーに扮する。今回はそんな内場に、新喜劇の話も絡めながらこのミュージカルにかける意気込みを語ってもらった。
内場勝則 撮影=田浦ボン
――今回は人気歌手のマネージャー役ということですが、内場さんもこれまで、ご自身、もしくは周りの芸人さんのマネージャーとたくさんお仕事をされていますよね。やはり個性的な方が多いですか。
吉本のマネージャーは個性しかないというか、変わっている人ばかり。芸人も勝てないようなマネージャーが多いですね。
――今まで印象的だったマネージャーはいましたか。
明石家さんまさんのマネージャーさんは特に面白かったです。事務所に電話がかかってきたとき、さんまさんが「今忙しくて出られへんから、(話を)延ばしといて」と言ったら、ガーッとコードを無理やり引っ張って、さんまさんのところに電話を持ってきはったんです。
――ハハハ(笑)。
あと、ヨイショがすごいマネージャーもいましたね。役職が上の人が目の前にふたりいて、どちらかが「◯◯ですよね」と言ったら「いやー、そうですよね!」と賛同して、もう一方が「いや、◯◯じゃないですか」と違う意見を言ったら「はい、自分もそう思います!」と。いやいや、この場でそれをやったらアカンやろうと。
――今回演じられるマネージャー、ビル・デヴァニーは頼りがいがありそうなイメージですね。
チームのまとめ役というか、懐の深いキャラクターだと思います。レイチェルに対しても、仕事仲間であり、父親のような存在でもあり。レイチェルのわがままに対して「ここはダメだよ」とちゃんと言ってあげるような、しっかりした人間です。
内場勝則 撮影=田浦ボン
――でも内場さんが出演されるということは、笑いの要素を期待してしまうのですがその点はいかがでしょう。
物語に影響のないところで何かできたら良いですが、今のところは分からないですね。「おもしろいことができたら良いな」という程度です。
――それこそ『わろてんか』の最終回で、持ちネタの「いぃぃーーぇっ」をやられたじゃないですか。あの場面はもともと台本にあったんですか。
あのときは「やってほしい」とすごく言われたんですよ。最近、あのギャグはやっていないし、全国ネットやから、さすがに「ほんまに大丈夫ですか!?」「誰も分かりませんよ」と。だから、関東の視聴者の方はポッカーンだったんじゃないですかね。今回も「内場は何かやるやろう」とは思われていそうですけど、そこはタイミングですよね。
――ミュージカルですからダンスシーンもあるかもしれませんよね。若手時代はダンスもやっていらっしゃいましたが。
ダウンタウンたちと一緒に2丁目劇場に出ていたときはダンスもやっていました。(妻の)未知やすえを持ち上げて踊っていたんですよ。新喜劇ブームで全国5大都市ツアーをまわっていたとき、演劇もあって、歌って踊ってやっていました。ダンスの先生もすごい方だったので、当時は踊りには自信がありました。
――奥様の未知やすえさんのお名前が出ましたが、未知さんに対する僕らの印象は「大阪の強い女性の代表」みたいなところがあります。でも内場さんから見て、それこそボディガードのように、やすえさんのここは守ってあげたいと思える点はありますか。
やすえは実は弱さをすごく持っているんですよ。というか一緒にいて、新喜劇の役みたいにずっと怒鳴っていたらさすがに別れています(笑)。普段は新喜劇と真逆です。人にきつく言わないですし、腹が立ったり不満があったりしても、自分で抱え込んじゃうときがあるんです。そういうときは、「まあ、そこまで悩まんでもええがな」と言ってあげます。
内場勝則 撮影=田浦ボン
――『ボディガード』ではフランクとレイチェルがデートをして仲を深めていきますね。内場さんと未知さんは思い出のデートはありましたか。
全然覚えてないです! 若い頃から仕事も私生活もずっと一緒ですもん。新喜劇でも恋人役が多かったですし。
――そういえばフランクとレイチェルも、仕事とプライベートの境目が少しずつ薄らいでしまいますよね。仕事として命を守る存在でありながら、恋愛感情を持ってしまうという。
その点ではうちも仕事と家庭の境目はないですね。家に帰って、やすえに「そういえば今日、こんなことあってね」と言うと「いや、知ってるから」と。
――そうなりますよね(笑)。
お互いに知っている話ばかりやから、盛り上がらないんですよ(苦笑)。で、芝居の話をしたら喧嘩になったりして。言うても、やすえの方が先輩ですし。芸人として一生先輩。だから、そこばっかりは頭が上がりませんね。
――新喜劇での経験は今回の舞台でも活かされそうですか。
もちろん、舞台をやるということにおいては、新喜劇の経験は大きなプラス。でも舞台の空気が違いますから。新喜劇では、ずっと一緒にやっている人ばかりなので(共演者に)何も言わなくてもお互いに理解し合っているところがありますが、今回は初めての方ばかりですし、台詞をちゃんと受けて相手に返すということを改めて意識してやりたいです。そして、内場勝則の新しい一面を見て欲しいです。
ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版
取材・文=田辺ユウキ 撮影=田浦ボン

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