モト冬樹、タクフェス 春のコメディ
祭『仏の顔も笑うまで』に出演、エン
ターテイナーとして舞台に挑む熱き想
いを語る

劇作家で演出家、俳優でもある宅間孝行が主宰するタクフェス。春は「コメディ祭」と題し、抱腹絶倒の舞台を展開、2020年はある田舎の寺を舞台にした『仏の顔も笑うまで』を上演する。ある有名な落語家が「生前葬をやる」と言い出した。生前葬を翌日に控えた田舎の寺・光雲寺は、普段は訪れないような有名人や政治家がやってくるとあって準備に大わらわ。そこへ銀行強盗をした直後のビバさんとふくちゃんが逃げ込んで来る。その上、ふくちゃんは寺の一人娘のはなちゃんに一目惚れして……。勘違いが連続するこのノンストップ・コメディで、宅間孝行扮するふくちゃんの相方、ビバさん役を演じるのがモト冬樹。音楽、バラエティー、芝居と、何でもござれのエンターテイナーにタクフェスの魅力やコメディーの心を聞いた。
モト冬樹
――宅間さんの作品には2018年秋に上演された『あいあい傘』に出演されて、今回で2回目となります。改めて宅間さんの印象をお伺いできますか?
一緒に作品を作ったのは前回のタクフェスが初めてだったのですが、その前に、宅間くんが脚本を書いていた、劇団EXILEの『歌姫』に出演して、これはいい作品だなと思って。それから宅間孝行という人間はどういう男なんだろうと興味があったんです。だから縁があったら一緒にやってみたいなと思っていたところに、『あいあい傘』の出演の話が来たんです。それから「宅間くんと今度、一緒にやってみようと思うんだけど」といろんな人にリサーチしたら、「きついよー」とか「厳しいよー」と言われて(笑)。もう、ドキドキしながら稽古に行きました。
――実際、いかがでしたか?
みんなが厳しいと言っていた理由はわかるのですが、僕は今まで舞台に出演した時に、若手を見て、こうしたらいいのになとか、この子、セリフに縛られちゃってるなとか、何で客席の方を向いて芝居してんのかなとか、細かいことを思ってしまってたんです。でも、どんどん次のシーンをやらないといけないから、普通はスルーされる。そこを宅間くんは絶対、止めるんですよ。その時に、彼と俺の芝居の理想型が一緒なんだなと感じました。
――そうなんですね。その分、稽古は大変そうです。
確かに大変だなと思いましたが、一生懸命舞台を作っていく彼の姿勢は嫌いじゃなかったですね。脚本を書いた人が演出をすると、セリフをばっさり切ることができないことがよくあるのですが、彼はお芝居が良くなるためならすぐに変える。そこはすごく安心したので、そういう意味でも納得できる稽古でした。
――今回はコメディ祭ということですが、コメディだけの大変さは、どういうところで感じられますか?
テンポと、お客さんがこっちに入り込めるようなしっかりした芝居を両立しないといけないところですかね。あと僕はいつも舞台で、お客さんを味方につけることを大切にしていて。お客さんを味方につけると、どんな役でも、そのキャラクターが出てくるのが楽しみになる。そんな芝居をすべきだと思っています。「あいつが出てくると、くだらないことをやるぞ」という雰囲気があると、次に出てきた時の視線の集中度が違う。そこは今回も意識しています。
――コメディと言えば、モトさんはビジーフォーというコミックバンドも経験されてらっしゃいます。改めてこれまでの経歴を教えていただけますか。
ずっとグループサウンズのようなかっこいいバンドをやっていたのですが、海外のバンドを見ると踊りながら演奏していたりして、これがエンターテインメントだなと。エンターテイナー=お客さんを楽しませる人だから。その楽しませたいという気持ちの延長で、コミックバンドを始めました。でもやっていくうちに、ウケなかったら、お笑いよりも真剣に音楽をやるという逃げ道に走ってしまうこともあったので、改めてお笑いだけちゃんとやってみたいなと思い始めて。そこからものまねの番組に出たりしたことで一般の人に認知して頂けました。
モト冬樹
――モトさんのコメディアンとしての要素は、どういうところから生まれたのだと思いますか?
コミックバンドをやりだしてからお客さんを楽しませたり、笑わせたりすることが好きになったんです。演奏して、お客さんに笑ってもらうことが楽しくて。その経験をしてるので、僕はお客さんに喜んでもらいたいという気持ちが、他の人より強いと思います。そこは宅間くんもきっとそうだと思う。
――共通点のひとつであると。
お客さんに喜んでもらわなきゃ、やる意味がない。演じている自分に酔いすぎると「やった」感が出ちゃって面白くなくなっちゃう。それは違うと思っていて。舞台はお客さんのために演じないといけないんです。これは宅間くんがよく言うのですが、役者というのは、一生懸命やった演技を「笑われなきゃいけない」。笑わせにいくのではなくて、自分は一生懸命、真剣に変なキャラクターの役を演じて、それを見たお客さんが笑ってくれる。それが大成功につながると思っています。
――『仏の顔も笑うまで』には、ベテランから若手までいろんな世代の俳優さんが出演されていますが、モトさんのこれまでの様々なご経験を通して、若い世代の俳優に伝えたいことはありますか?
お芝居というのは「うまい」「へた」ではなくて「良い」「悪い」なんだということは伝えたいです。まず心があって、それから動きがあって、声がある。最初に心が来なきゃ、心によって動かされなきゃ意味がないという気持ちはすごく大切だと思っています。あとは若手が舞台に生かせるいい感覚を持っていたら、そこを伸ばせるようなアドバイスをベテランとしていけたらと思います。
――では最後に公演に向けて、一言メッセージをお願いします。
今回、間違いなく楽しい舞台になると思うので、ぜひ観に来てください。お客さんに楽しんでいただける自信があります。その言葉しかないです!
タクフェス 春のコメディ祭!『仏の顔も笑うまで』
取材・文=Iwamoto.K 撮影=田浦ボン

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