中川晃教「自作のオリジナルミュージ
カルを作りたい!」 ミュージカル『
チェーザレ 破壊の創造者』インタビ
ュー

2020年4月13日(月)~5月11日(月)明治座にてミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』が上演される。さる1月に行われた本作の製作発表の後、主演を務める中川晃教に話を聴くことができた。「今までにないくらい、たくさんの報道の方が集まってくださって。まだ稽古も始まっていないのに」と照れ笑いを浮かべる中、インタビューが始まった。
ーーまずは『チェーザレ』という作品に出演するにあたっての意気込みを聴かせてください。
2020年、新しい年を迎え、この作品をやらせていただくにあたり、今まで経験してきたことをこの節目の年にどのような形でお客様にお届けできるのか、その時自分がどう携わって自分の役割を全うできるのか、まずそこを考えながら膨大な歴史の中に自分の身を投じています。頭の中が『チェーザレ』の世界でいっぱいになって夜もなかなか寝付けない状態です。でもそんな時間が楽しいですね。
中川晃教
ーー稽古はまだ先の話ですが、今の段階でチェーザレと言う人物をどうとらえていらっしゃいますか?
(しばらく考えた上で)脚本を読んだ限りですが、今回、原作の1巻から10巻までをまとめているのがミュージカル版なんです。チェーザレは31歳くらいであっけなく命を落としてしまうんですが、そんなチェーザレをインターネットなどで調べようとしてもそう簡単に情報が出てこなかったんです。だから『チェーザレって何者なの?』という疑問が最初頭の中にありました。
これについては原作者の惣領冬実先生も漫画を描くにあたり相当研究されたそうで、何かの記事で『チェーザレはローマで活躍し有名になるんですが、彼の出身はイタリアではなくスペインであり、彼が所属するボルジア家は教皇の椅子を狙っており、そのためにいろいろな手段を講じて画策しながらうごめいている……そういったことから、彼のことを悪い人物だと思って書かれた文献もあれば、とても聡明で高い評価をされている文献もある。その両方を知れば知るほど、どうやってチェーザレを描けばいいのか』と惣領先生も悩まれたそうで、結果『チェーザレという人物の謎めいたところを自身で考えた背景や裏付けを持って漫画を描き始めた』と。その言葉に自分も感じ入ることが出来たんです。
中川晃教
ーー今回のミュージカルでは原作のどこまでが描かれるのでしょうか?
そんな謎めいたチェーザレとなる“手前”のところまで。大学での生活から始まり、メディチ家のジョヴァンニがやがて枢機卿になっていくところまでが描かれる予定です。学生間のやり取りでは純粋なチェーザレの姿を観ることができるでしょうし、一方大人たちの中で自分の父親が教皇の座を得るためにどのような動きをしていたのか、16歳ながらもしっかり見据えているチェーザレの姿が描かれることになると思います。
今日の製作発表の場で披露した歌に「欺瞞と堕落にまみれた」と言う歌詞があるくらい、「神と教会という世界を僕は本当は信じたい。でもその内情はどうだ? 政治に明け暮れている教会は果たして真の意味での教会なのか?」と疑問を抱くチェーザレがいるんです。そんな一人の青年像を描いていくことになると思います。​
一方、メディチ家のジョヴァンニですが、チェーザレはジョヴァンニに知恵をたくさん授けて枢機卿に押し上げるんです。何故なら自分は表舞台に立てないから。彼は私生児であることに負い目を感じているのだと思うんですが、ジョヴァンニは違う。だから彼の背中を押すんです。この壮大な策略に友情さえも利用するチェーザレの姿に、思いたくはないですが、彼はやがてはそういう人間になっていくんじゃないかなと。そんな未来予想図にワクワクしてしまいますね。​
中川晃教
ーーところで、来年(2021年)はデビュー20周年のメモリアルイヤーとなりますが、デビュー当時と今と比較して変わりましたか?
変わってないって言われます(笑)。好奇心とか自分が何かに興味を抱いて「これはいい意味で影響を与えてくれるな」と思ったことには純粋に向き合う点が昔と変わってないねってつい最近言われました。変わったことは……ゆとりが出来たことかな? 若い時はいろんなことに葛藤しぶつかることで起爆剤にしてきた感がありましたが、今はそういうことをしなくても前に進めるようになりました。自分というものの存在や役割が変わったのかな?
ーー20周年企画の中で、中川さんがチャレンジしてみたいことは?
オリジナルミュージカルを作りたいですね。企画、構成、脚本、演出、音楽などなど全部自分の手で作ってみたいです。ミュージカルが浸透していけばいくほど、ミュージカル自体を考える機会が増えているんです。流行りや時代の流れだけじゃなく、確かなものを作りたいと思うんです。
また、昨年はコンサートツアーをやらせていただき、15か所17公演を回ったんです。ミュージカルをやるようになってから思うようになったんですが、自分にはもう一つ「歌手」と言う名刺があって、僕のことを知らない場所にもその名刺を持って足を運び、歌を届けていきたいと思うんです。ミュージカルは一人ではできないけど、音楽は一人。原点に戻ってちゃんと歌ひとつでお客さんが歌の世界に入ってもらえるように、自分の足で待っている人のところに会いに行くことをやりたいですね。目標はできれば47都道府県全部回りたいです。
中川晃教
最後の最後で「あと、料理を頑張りたいです(笑)。料理を作るのが好きなので! そして結婚もしたいなあ……」と小声でつぶやく中川。音楽やミュージカルのことになるとがぜん熱く語る中川だが、プライベートの話になると途端に恥ずかしそうになる姿が印象的だった。
スタイリスト:KAZU
ヘアメイク:松本ミキ
取材・文=こむらさき 撮影=iwa

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