【かねやん的アニラジの作り方】第1
3回 「ONE TO ONE」にかける思い―
本気出せ!

 2020年2月にベルガモの新しい番組が2つスタートします。「本気出せ!大空直美」と「國府田マリ子の青春の雑音リスナー」です。大空直美さんと國府田マリ子さんが隔週交互にラジオで生放送(ニコニコチャンネル、YouTubeで音声のみ配信)する番組で、パーソナリティが1人でしゃべる、いわゆる「1人しゃべり」の番組です。リスナーと1対1で対話するというラジオの持つ根源的な役割をコンセプトにしています。この2つの番組は「ONE TO ONE」と名付けたニコニコチャンネルに包含されます。
 僕はこの「ONE TO ONE」というチャンネル、ブランドを大きくしていきたいと考えています。ほかにも1人で自由にしゃべりたいという声優さんにもどんどん参加してほしいと考えています。やっぱり1人が自由にリスナーコミュニケーションとする行為っておもしろいと思います。幸い、大空直美さんも國府田マリ子さんもその趣旨に賛同し張り切ってくれています。
 昨年、伊福部崇さんが文化放送でやっている「ラジオのラジオ」という番組にゲスト出演させてもらったとき、「ベルガモの目指しているものはなんですか」と聞かれ、とっさに「気いよう番組をやってたら生きていけるということを証明したい」と答えました。とっさのわりには我ながらうまいこと言ったなと思いました。僕の社会人人生は何かといわれれば「ラジオ番組とお金」についての研究? といえるでしょう。放送局はそもそも広告媒体としてスタートしたので、スポンサー、リスナーの間に番組が存在しスポンサーの広告メッセージを受け取ってリスナーは番組を無料で聴くことができるというビジネスモデルで成り立っています。この三位一体の仕組みは広告スポンサーの動向に番組の改廃がかかわるという危うい構造になっています。ベルガモが目指すのは広告スポンサーに依存せず、番組を愛するリスナーが番組の経費を負担し利益を得るという、出版社やレコードメーカー、映画会社のようなビジネスモデルです。まさに「送り手が気いよく作った番組」をリスナーの理解の上に成り立たせることです。この仕組みはこれからいう難しさがあります。
國府田マリ子さん 1つ目は課金してもらう仕組みです。地上波ラジオではこれが大変難しかったのですが、ニコニコなどの発達でかなりクリアされてきました。2つ目は安定して課金してもらう仕組み作りです。本や映画はストック型コンテンツで1つの作品が大ヒットするのを目指す形ですが、我々はフロー型コンテンツ。もちろん番組のヒットを目指すのは当然ですが、大ヒットの基準が違います。長く安定して収益を上げ続けることが真のヒットです。ここがプロデューサーである最大の腕の見せ所です。3つめはスポンサーが介在せずリスナーと番組がダイレクトに「お金」でつなぎあうこの仕組みでは番組の人気が収益にダイレクトに反映されるため、ダメならダメの理由が極めて明確「人気がない」という言い訳の効かない仕組みだということです。
 最初に紹介した「ONE TO ONE」は「1人しゃべり」がコンセプト。ダメだと1人のパーソナリティにその原因が帰結されます。だから、「本気出せ! 兼田健一郎」なのです。「ラジオ番組とお金」の研究者として、この番組に参加されるパーソナリティのために成功させなきゃならないし、このコンテンツに合わせた安定したお金の稼ぎ方を作らなければならない。一時に多く売り上げるのではなく長く売り上げる。そしてできればリスナー、パーソナリティ、スタッフ全員が納得して番組を閉じる。
 この番組を始めるのにマリ姉と「終わらないラジオを作ろう」と話しました。僕が今51歳、彼女は僕より1つ下。おそらく彼女と番組をスタートさせるのは人生最後でしょう。長い旅路に皆さんお付き合いください。

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