indigo la End、ツアーファイナル「
朱」と「蒼」のコンセプトで2夜公演
ニューアルバムのリリースも発表

2020年1月30日(木)31日(金)、indigo la End(以下、インディゴ)が「ONEMAN HALL TOUR 2019-2020『心実』」のツアーファイナルを中野サンプラザで開催した。昨年10月にリリースされた最新作『濡れゆく私小説』に伴う今回のホールツアーは、10月26日の大阪公演を皮切りに、昨年8本を敢行。初の中国ツアーを挟み、少し間を空けての開催となったこの2日間は、バンド結成10周年イヤーの幕開けということもあり、それぞれコンセプトを設け、異なるセットリストでライブが行われた。
初日となる30日は、「朱に染まった激しさと愛おしさ」をコンセプトとした「朱の音」。真紅の垂れ幕が下がるステージにメンバーが登場し、インディーズ時代の作品である『渚にて』に収録の“レナは朝を奪ったみたいだ”が始まると、8本のトーチに炎が灯され、「朱」のイメージを印象付ける。その後は、サポートメンバーのえつこのオルガンソロをフィーチャーした“魅せ者”や、佐藤栄太郎が手数多く叩きまくる“悲しくなる前に”といったアグレッシヴな曲と、“小粋なバイバイ”や“砂に紛れて”といった新作からの曲を織り交ぜながら進行。ライブの定番曲“瞳に映らない”と“名もなきハッピーエンド”では特に大きな盛り上がりを見せる。
撮影:鳥居 洋介
ライブ後半では、バラードの名曲“通り恋”、巧みな転調や突然のジャズパートといった要素を盛り込みつつ、あくまでキャッチーに聴かせる“ラッパーの涙”など、再び新作からの曲を並べ、さらには先日YouTubeでの再生回数が1000万回を突破した人気曲“夏夜のマジック”を続けると、場内は大きな拍手と歓声に包まれた。
撮影:鳥居 洋介

撮影:鳥居 洋介

撮影:鳥居 洋介
撮影:鳥居 洋介
ここまでMCらしいMCはなく、ひたすら楽曲を演奏し続けたが、ここで川谷絵音がようやく口を開き、「今日のテーマは『朱』ということで、激しい曲を選んだんですけど……“レナは朝を奪ったみたいだ”っていつぶりにやったんだろう?自分でも歌詞の意味が全然わかんない」と笑う。そして、「インディゴは蒼のイメージだと思うけど、今日はやっぱりロックバンドっていいなと改めて思いました。最後に僕らの中で一番激しい曲をやります」と言って、ハードコア色の強い“実験前”を演奏。アウトロでは長田カーティスと川谷が順番にノイジーなギターソロをかき鳴らし、混沌としたラストを迎えた。
アンコールでは「もう一曲、ひさびさの曲を」と、デビュー作『さようなら、素晴らしい世界』に収録の“秘密の金魚”を披露。キーの高さが時間の経過を感じさせつつ、それでも確固たる世界観は当時から変わらない。最後に川谷がもう一度口を開き、「僕はいろんなことをやってますけど、インディゴは特別です。いいアルバムを作れてよかった、音楽をやっててよかった、こういう瞬間があるから、生きていけます」とオーディエンスに感謝を伝え、ラストに披露されたのは“Unpublished manuscript”。ギターの轟音と厚みのあるコーラスが、ストロボとともにサイケデリックな空間を作り出し、初日を締め括った。
2日目となる31日は「蒼き静けさと美しさ」をコンセプトとした「蒼の音」。“渚にて幻”でライブをスタートさせると、レーザーとスモークによって幻想的な空間が広がり、初日ではライブ後半のハイライトで演奏された“夏夜のマジック”が2曲目に披露されたりと、「蒼の音」ならではのオープニングが展開される。
撮影:鳥居 洋介
その後もテーマに合わせて、長田がアコギを弾く“Midnight indigo love story”や、後鳥亮介のスラップベースが引っ張る“心の実”といった新作からの曲と、“心ふたつ”や“アリスは突然に”といった過去曲の中でも特に美しいメロディーの際立つ楽曲が続く。ライブ後半で“結び様”、“蒼糸”、“通り恋”と、ミドル~スローなナンバーが立て続けに演奏されると、会場を埋めたオーディエンスがすっかり「蒼」の世界へと引き込まれていた。
撮影:鳥居 洋介
この日もラスト一曲を残して川谷が初めて口を開き、「今日のテーマは『蒼』ですけど、インディゴの曲は全部『蒼』とも言えるから、選択肢が広かったんです。でも、次の曲も含めた最後の4曲が僕の中のインディゴの『蒼』で、薄い蒼から段々と濃くなるセットリストにしました」と選曲の意図を明かす。さらに、「この10年の曲でセットリストを組んで、区切りではあるんですけど、2日間ライブをして、また新しい曲を作りたいと思いました。どうもありがとう」と感謝を伝え、バラードの“幸せが溢れたら”で本編を終えた。
撮影:鳥居 洋介
撮影:鳥居 洋介
撮影:鳥居 洋介
アンコールでは「『蒼』をテーマにするって決めて、最初に浮かんだのがこの曲でした」と話して、インディーズ時代の唯一のフルアルバム『夜に魔法をかけられて』から“抱きしめて”を披露。そして、「この10年はメンバーがなかなか定まらなかったり、悔しい思いもたくさんしたけど、バンドがつまらないと思ったことは一度もなくて、だから10年続けてこれたんだと思います。サポートの2人も含めて、この6人で5年やってきたけど、もっともっと行けそうです。次の10年もよろしくお願いします」と語り、ラストに演奏されたのは“Play Back End Roll”。照明の青い光と白い光が神々しく照らされ、これからの未来を映し出しているかのようなエンディングだった。
終演後には、涼しくなる頃にMajor 6th Full Album『夜行秘密』をリリースすることもアナウンスされた。TikTokで楽曲が人気となるなど、まもなく10周年をむかえる彼らから目が離せない。
文=金子厚武

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