永原真夏コラム、新年1発目!

こんにちわ!永原真夏です。
ミーティア読者のみなさま、新年明けましておめでとうございます。
1月末に新年のごあいさつです。
遅いですよね…。けれど、挨拶はロックンロールの基本だぜ!何事も遅いってことはないぜ〜!!
ということで、今回もまなっちゃんの華麗なる立ち話、いってみよう!ヒュイゴー!


目次


1.奇妙さん
2.オビみたんとごっちん
3.トップヲタのKちゃん

1.奇妙さん

みなさんご存知、日本が誇るソウルシンガー奇妙礼太郎さんのお話です。十代の頃から彼をリスペクトする私は、SEBASTIAN Xではトラベルスイング楽団と、スパグでは天才バンドと、そしてこの度はソロでと、数々のステージに奇妙さんを呼び、共演してきました。
フロアで聴いていてもそのハウリン・ウルフもマディ・ウォーターズもびっくりな声量は鼓膜を突き破り僕の胸に状態なのですが、ステージ上でモニターから返ってくるものは、感慨も含め、凄まじいものがあります。
私が奇妙さんと初めてお会いしたのは、大阪の「梅田ムジカジャポニカ」という場所。SEBASTIAN Xでライブ後に打ち上げをしていたら、偶然奇妙さんが飲みに現れ、元々大ファンだった私はすぐさまご挨拶に伺いました。
「あの、わたしずっと尊敬してて…」
緊張しながら話しかける私に、奇妙さんは
「ほえ、今僕は、けん玉やりたいねん」
と、まさかの斜め上どころか銀河レベルの返答をカマしてきました。大先輩ゆえ、わたしも
「ああ、けん玉ね、いいですよね、たまにやるとね、しかも、脳トレにもなるらしいですよね」
と、何故かけん玉を絶賛した上に豆知識まで披露してしまいました。
その後も酒を浴びながらけん玉に集中する奇妙さんと会話を育む術はなく、私は静かにハイエースに乗り込みその場を去りました。
その後も、何度も何度も会う機会があったのですが、する会話といえば「ケータリングのおにぎり、三種類ありましたよ」だとか「まなっちゃんは相変わらず声高いね」だとか、そのくらいの内容で、会話と言っていいのか、まさに立ち話レベルなのでした。
そんな奇妙さんと、久しぶりに先日のツアーでデュエットをし、打ち上げで「ありがとうございました」と感謝の旨を伝えたところ、はじめて奇妙さんから「またやろうね」と言って頂き、しかも「何曲でもどんな曲でもやろう」と言って頂けたのです!!
これは私にとって、非常に非常に嬉しいことでありました。
あの積み重なる立ち話も無駄じゃなかったんだワ…。
奇妙さんとあっこゴリラ

2.オビちゃんとごっちん

オビちゃん(本名:尾日向優作)はドラマーで、私の新体制バンドのサポートメンバーであります。また、ごっちん(後藤くん)はDALLJUB STEP CLUBのドラマーであり、あっこゴリラのサポートメンバーでもあります。
先日行われた「おはよう世界」ツアー名古屋公演の楽屋で、偶然このドラマー二人に囲まれてしまった私は、驚愕しました。この人たち、ドラムの練習かドラムの話しかしない…。
ドラマーはドラマー同士で連み、ドラムの話をしがちなのは有名なお話ですが、このお方たちは常軌を逸しておられました。
右からドコドコ、左からドコドコ、練習用のゴムが貼られた板に、木の棒(スティック)をドコドコやり続ける二人。それだけで二人は意思疎通が取れているらしく、「じゃあこれは?!」ドコドコ、「これがきついんだよな〜!」ドコドコ…「アッハッハ!それな〜!!」ドコドコ…。まるでハイパーヨーヨーの大会を見ているかのような、凄さがわかるようなわからないような、興味があるような無いような時間が私の全身を駆け抜けました。
しかし私も音楽家の端くれ、ミュージシャン達の会話はそっとしておきたいもの…。
しかしその後もドコドコは鳴り止む気配は無く、むしろどんどんとヒートアップしていき、いよいよもう我慢の限界、サラウンドドコドコに、遂に苛立ちを憶えてきました。
そこで、二人を落ち着かせる目的で、私はとある事実をカミングアウトしてみました。
「ねえねえ、実は最近わたしもドラムの練習をしているんだよ。二人ともちょっと教えてよ」
こう伝えれば、「あー、なんかそういうんじゃないんだよな…」的なかんじで二人もヒートダウンし、ドコドコがおさまるかな?と思ったのです。
しかし二人は「いいよ〜!!!!」と12才くらいの屈託の無さで、私に秒でゴムが貼られた板と木の棒を渡してきました。
「ああ、うん」と言って、ゴムが貼られた板に木の棒をリズミカルにドコドコしてみる私を見て、「いいじゃ〜ん!!」「跳ねっ返りを応用するんだよ」「握る基本フォームはこうだよ」などと、聞いてもいないのに基礎を叩き込んできます。
その時に思いました。ああ、私には、このドコドコはおそらく止められないであろう…だってこのお方たちは、ドコドコで人に親切に接する術すら持ち合わせているのだもの…。観念した私は黙って二人から基本を教わり、感謝を述べ、静かに間に座りました。その後、ほんの少しだけ、ドラムが上手になりました。
新体制もエイエイオー

3.トップヲタKちゃん

長年音楽活動を続けていると、友人同然、いやいや下手したらそれ以上のトップヲタ(お客さん)が出来ます。
病めるときも健やかなるときもを共にし、紆余曲折、ドラマチックな時間を共有したお客さんというのは、替えの効かない存在なのです!
そして、バンドマンたちに紆余曲折があるように、彼、彼女たちも勿論いろいろあるのです。例えば日々の家庭環境や人間関係ももちろんそうですが、受験、就活、卒論、失恋、結婚など…。
ツアー会場で久しぶりに会ったKちゃんは、「失恋したんですよ〜〜〜」と大声で叫びながらビールをガブガブ飲んでおり、わたしは「ほう、まあそういうこともあるわな」と、だらだらと窘めておりました。失恋したことは本人から事前に知らされており認識していたのですが、思ったよりも元気だったので安心したのです。そうして翌日もライブだった私は早々に打ち上げを切り上げ、また明日ね〜!とKちゃんに別れを告げました。
そして翌日ステージに立つと、ぽろぽろ泣いているKちゃんの姿がフロアにありました。歌に集中していた私の頭の脳裏に、突然「男一瞬、ダチ一生」という言葉がよぎり、歌詞を間違えそうになりました。
フロアのお客さんたちと一人一人話して聞いて頷くことはできないけれど、わたしはどんな彼氏やお婿さんよりかっこいい、世界で一番の友達で、親友で、王子様みたいな音楽ができたらいいなと思いました。
泣いて笑って、どんなときもいつだって君は世界一かわいいぜベイビー!
Kちゃんが撮ったライブ後のわたくし

ということで、今月の立ち話はツアー中に集約されました。
「おはよう世界」ツアー、ご来場くださったみなさま、出演者のみなさま、サンキュー・ありがとうございました。
3/25には新作12inch「ラヴレター」発売、リリースツアーも行います。
ちゃっかり告知で〆させてもらうぜ!
てことで2020年もはりきっていこう、てきとうにね!love

永原真夏の華麗なる立ち話4はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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