『CHESS THE MUSICAL』世界中で絶賛
を浴びる伝説のミュージカルが日本で
開幕、圧倒的な歌唱に拍手喝采が止ま
らない

世界中で賞賛されている伝説的なミュージカル『CHESS THE MUSICAL』の日本公演が1月25日(土)、大阪・梅田芸術劇場メインホールで開幕した。
●ロンドン初演版の台本を用いた新たな演出
1984年、初演に先駆けてリリースされたコンセプトアルバムが大ヒットを記録。1986年にイギリス・ロンドンのウエストエンドで初演され、1988年にはブロードウェイでも開幕。以降は世界各国をまわり、日本では2012年、2013年にコンサート版、2015年にはミュージカル版が上演された。今作は、日英ドリームキャストの共演が実現し、ロンドン初演版の台本を用いながらも新たな演出が施されている。
アナトリー(ラミン・カリムルー)、フローレンス(サマンサ・バークス)撮影:岸隆子(Studio Elenish)
物語の背景にあるのは、米ソの冷戦関係。イタリアのメラーノでチェスの世界一を決める選手権が開かれ、ソビエト連邦のアナトリーが、アメリカ合衆国が誇る世界チャンピオン・フレディに挑戦。アナトリーは国家を背負うことへの重圧に苦しみながらもゲームを優位に進行。フレディが精神的に追い詰められて試合を放棄したため、不戦勝で新王者につくことに。
さらにアナトリーは、故郷に妻子がいながら、フレディのセコンド・フローレンスと敵味方の関係を超え、恋に落ちてしまう。フローレンスは、1956年にハンガリー動乱で親を亡くし、孤独な身の上。アナトリーは亡命を決意し、フローレンスと生きることを選択する。
第三次世界大戦の可能性も膨らんだ、当時の米ソの睨み合い。チェスの世界試合も単なる王者決定戦におさまらず、両国の威信をかけたものとなる。その異様な緊迫感に襲われながら闘いに挑むアナトリー、フレディの姿が劇中では巧みに描かれている。また、「国」という大きなテーマをもとに、故郷を捨てて亡命の道を選ぶアナトリー、敗北によりチェス界を去るフレディ、ホームを持たないフローレンスの三者が、個人にとっての居場所を探す物語にもなっている。
ABBAのベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルヴァース作曲のナンバーと出演者の圧倒的な歌
アナトリー(ラミン・カリムルー) 撮影:岸隆子(Studio Elenish)
アナトリー役には、『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』など多数のミュージカルに出演するラミン・カリムルー。政治の駒として利用されてしまうことや、うまくいかない夫婦関係など、様々な憔悴と葛藤の中で生きる男を演じている。
フローレンス(サマンサ・バークス)撮影:岸隆子(Studio Elenish)
フローレンスに扮したのは、映画『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役で印象を残したサマンサ・バークス。幼少期の出来事を乗り越えられない苦しみを、観る者に訴えかけてくる。
フレディ(ルーク・ウォルシュ)撮影:岸隆子(Studio Elenish)
フレディを演じたのは、『ロック・オブ・エイジズ』UKツアーで主演を務めたルーク・ウォルシュ。カリスマ性があり、自信をみなぎらせながらも、実は愛情に飢えていて弱さを備える複雑な心情を表現している。
アービター(佐藤隆紀)撮影:岸隆子(Studio Elenish)
各出演者の芝居はもちろんだが、それぞれの圧倒的な歌唱力もステージに凄みを与えている。ABBAのメンバーでも知られるベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが作曲した「Endgame」「Anthem」などのナンバーが次々と披露され、一瞬たりとも目が離せない。ボーカルグループ・LE VELVETSのメンバーで、今作では世界選手権の審判・アービター役でストーリーテラーの役割も担う佐藤隆紀のパワフルな歌声にも心が揺さぶられる。
『CHESS THE MUSICAL』は1月28日まで梅田芸術劇場メインホール、2月1日から2月9日まで東京国際フォーラムホールCで開催される。
取材・文=田辺ユウキ 撮影:岸隆子(Studio Elenish)

アーティスト

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着